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監査法人の年収とセカンドキャリア

監査法人の年収

筆者は約8年大手監査法人に勤務しておりました。なので年収の実態についてはある程度把握しております。転職サイトによくまとめられているので適宜引用してご説明します。

監査法人の年収は? BIG4と中小の監査法人、役職や年齢などで比較(MS-Jspan)

https://www.jmsc.co.jp/knowhow/topics/11594.html

概ねこちらに記載のとおりで、大手監査法人では、入所1年目〜4年目のスタッフで450万円〜650万円、入所5年目〜8年目のシニアで600万円〜850万円、入所9年目〜のマネージャーで1000万円程度、入所15年目〜のパートナーで1500万円〜となっています。少し補足しますと、スタッフ/シニアは残業代込み、マネージャー以上の管理職は残業代はありません。また、マネージャーとパートナーの間の職階として、シニアマネージャーがあり、年収は1200万円〜1300万円のイメージです。なお、マネージャーになりたての年次では900万円〜950万円です。昔はシニアでも残業代で稼いで1000万円に到達することができましたが、働き方改革の推進や繁忙期である4月〜5月上旬の土曜日や祝日を閑散期に振り替える制度を採用することでこれらが平日扱いになり、残業代が縮小されています。なので、シニアの年収がマネージャーの年収を超えることは基本的にありません。また、パートナーの上にシニアパートナーという職階があり、年収は2000万円〜のイメージです(なりたての方が年末調整なしで確定申告していると聞いたことからの推測)。ちなみに、あずさ監査法人では、シニアとマネージャーの間にアシスタントマネージャー(非管理職)という職階があり、管理職になるのが他法人に比べて若干遅くなっています。

さて、ここまで読んで、どのような感想をお持ちでしょうか。マネージャーから選抜が始まり、パートナーにまでたどり着けるのはほんの一握りです。選抜らしい選抜もなく30代で年収1000万円に到達する大手企業も少なくない中、2年、3年毎日何時間も勉強して取った資格の割には、意外に稼げないなという方もいるかもしれません。仕事内容を度外視すれば、新卒で民間就活を頑張った方がコスパが良いとも思います。

ところで、監査法人の選抜に残れなかった人はどうなるか。昔はやりたいこと(独立開業等)があって辞める人が相対的に多く、監査法人にしがみつくということはありませんでした。なので、定年である60歳までマネージャー(はたまたシニア)で勤務が続けられるかはまだ分からないのが現状です。なお、パフォーマンスが悪い人はカウンセリングアウト(退職勧奨)もあるので、これは必要な人材だが昇格はさせられないといった立ち位置の人の話です。ちなみにリーマンショック後は、追い出し部屋も平気でやっていたので、景気が悪くなるとパフォーマンスがそこそこ良いだけでは生き残れないかもしれません(とはいえ、大手監査法人では品質重視で監査報酬の値上げをちらつかせて採算の悪いクライアントを切ってるくらいなので、当面は大丈夫でしょうか)。

人事評価についてはこちらの記事もご参照ください。

セカンドキャリア

ご多分に漏れず筆者も監査法人では出世できなかった側の人間なので、転職することにしました。監査法人から転職する人は、上場会社やベンチャーの経理に行く人が多いですが、筆者は国税時代に税務署勤務しかしたことがなく、霞ヶ関の本省勤務に憧れがあったこともあり、たまたま募集していた会計検査院の特定任期付職員に応募し、採用していただきました。ここでは、国家公務員の特定任期付職員についてご紹介します。というより強くオススメします。

ちなみに、IPO関係のキャリアについてはこちらをご参照下さい。

それでは、特定任期付職員の制度について、ご紹介します。概要はこちらをご参照下さい。

https://www.jinji.go.jp/saiyo/saiyo/sonota/ninki.html

主に弁護士、公認会計士等が対象で、任期は2年〜3年で募集していることが多いです。制度設計のためのプロジェクト単位で募集している場合は任期満了で退職となりますが、多くは希望すれば5年間まで延長できます。給与については、こちらに記載されているテーブルの4号俸(532千円/月)が適用され、これに地域手当(東京23区は20%)が加わるので月給は638千円となります。さらに賞与が月給に役職加算10%を加えた金額の3.55か月分が支給(支払は年2回)されるので、年収は1000万円を少し超えます。大手監査法人のマネージャーくらいですね。大手監査法人のシニア、中堅監査法人のマネージャーなら年収UPです。ちなみに、5号俸(年収1100万円)以上の公募はなく、監査法人のパートナークラスが出向した場合のレアケースで、金融庁の室長以上のポストが該当します。

さらに、退職金も手厚いです。5年の任期を務め上げれば、500万円以上の退職金がもらえます(5年未満や自己都合退職だとガクッと下がります)。筆者は5年まで任期を延長しましたが、ほかにやりたいことができたので、自己都合退職してしまい、数百万円もらい損ねています。ちなみに採用日を1月か7月に調整してもらうと、12月、6月の賞与支給月にちょうど任期満了となるので、賞与のもらい損ねもありせん。筆者はここでも失敗しています…。

おそらく任期付職員を考えている方の多くが気になるのは、任期満了後のことだと思います。筆者もここに不安がありました。筆者のいた会計検査院では、任期満了後に任期のない職員に任用されているケースが複数ありました。筆者もそのような話をされたことがありますが、年収が監査法人のシニア並みに下がることもあり、別の道に進みました。仕事はかなり面白かったので、できれば続けたかったのですが…。一方、別の任用付職員に応募して、定年まで色んな省庁を渡り歩くということもできなくないかなと思います。実際、筆者は、会計検査院在職中に国税審判官の任期職員採用試験(倍率5倍超)に合格しています。また、3つの監査法人から内定ももらいましたし、監査法人に戻るのも年齢次第では問題ありません。別の監査法人に移る前に役所の仕事をしてみたいという使い方もありですね。監査法人での出世を考えると足踏みになってしまいますが、家族からは監査法人時代より生き生きしていると言われたので、会計検査院に入って本当に良かったと思います。結局、筆者は監査法人にも戻らず、更なる年収UPを狙って別の道に進みました。まあ何とでもなりますというのが結論です。公認会計士ですから。

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