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書評

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記事一覧

【書評】地下アイドルを書くために:ロマン優光『地下アイドルとのつきあいかた』

 地下アイドルの現場は基本的に、アイドル、オタク、運営の三者から成るネットワークとして記述することができる。このネットワークのなかの様々な関係について手広く知りたいときに読むべき一冊として、今やロマン優光の『地下アイドルとのつきあいかた』を挙げることができるようになった。地下アイドルオタクにとっても、そうでない人にとっても、喜ぶべきことであると思う。
 もし本書を地下アイドルに少しでもなじみがある

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どうじんしかいわい - 『推しって呼べない』

「どうじんしかいわい」は『かいわい vol.2』で企画された、同人誌を紹介するコラムのページである。誌面では、ジャンル不定カルチャー誌『アレ』とストリップを扱う『イルミナ』の2冊をとりあげた。

今回のnote版では、CRずるやすみ企画のエッセイ集『推しって呼べない』をとりあげる。

まず書影をみてみよう。

一見してわかるのは、開きの方向だ。この本はメモ帳のように、縦に開いていく。
サイズ感は、

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【書評】ライブハウスの襞に分け入るミュージシャンによる人類学:生井達也『ライブハウスの人類学』

 世の中には、毎週のように小規模なライブハウスに足を運び続けるような人たちがいる。それはバンド好きであったり、アイドルオタクであったりするのだが、本書では、ミュージシャンでもある著者が、自身も関わりの深いライブハウスをその考察の対象とし、そこに通い詰める〈常連〉たちによって繰り広げられる様々な実践の中に入りこんでいく。そうして得られた観察をもとに、人類学的な議論が展開される。

 序章では、ライブ

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