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言葉を超えた力

こんばんは。今、メキシコのグアダラハラは夜10時です。

僕は中学生のころから大好きで聞いている日本のインストバンドがある。

それが上の写真にあるPE´Z(ペズ)だ。

トランペット、サックス、キーボード、ウッドベース、ドラムといういわゆるジャズのクインテットで担当する楽器で構成されたバンドだ。

ステージ衣装もとてもユニークで活動当時は【侍ジャズ】とも呼ばれた。

バンドで使用されている楽器はジャズという形式をとっているが、その音楽のジャンルは、ジャズというよりむしろラテン、ロック、ポップ、クラブサウンドなどいろいろなジャンルの音楽が入っているという感じだ。

メンバーの方の名前もおもしろい。

Ohyama "B.M.W" Wataru(トランペット担当)
・Kadota "JAW" Kousuke(サックス担当)
・Nirehara Masahiro(キーボード・ピアノ担当)
・ヒイズミマサユ機(ベース担当)
・航(ドラム担当)

1999年に結成され、日本だけではなく、アジアやヨーロッパでも精力的にコンサートを行い、自分たちの音楽を世界に届けようとしていたその姿勢にとても衝撃を受けた。年齢も「だいぶ年上のお兄さん」といった感じで、中学生や高校生のときの僕にはとても眩しい存在だった。

コンサートにも何度か行ったことがある。当時MDプレイヤーで耳元から流れてきた彼らのメロディーが、今目の前で爆音で聞こえていると思うと、鳥肌が立った。

彼らが作る音楽には不思議な力がある。

さっきも言った通り、インストバンドなので、歌手は基本的にいない。すべてのメロディを奏でるのはトランペットやサックスやピアノのみだ。

普通、ある曲を聞くとき、その曲に込める思いは言葉に表れる。
歌詞に共感して多くの人に愛される名曲は世の中にたくさんある。

しかし、彼らの音楽には言葉を上回る何か目に見えない強い力があるのだと思う。メロディやリズムだけで何かが体の中に湧き上がってくる。

好きな曲はたくさんあるが、やっぱり一番最初に聞いた曲が印象的で今でも毎日のように聞いている。

メジャーデビューを果たした彼らの代表曲、Akatsukiだ!

強い力を感じる理由がもう一つある。

発表してきた楽曲のほとんどがオリジナルである点だ。

ほとんどの曲がトランペット担当の方(Ohyama "B.M.W" Wataru)とピアノを担当していた方(ヒイズミマサユ機)によって作られたもので、Akataukiもヒイズミマサユ機が作曲したものである。

メロディも素晴らしいし、もちろん演奏技術も高いバンドなのだが、どこか男臭さや泥臭さを感じる。そして、オリジナルであることが彼らの強い力をさらに際立たせている。

なので、完璧な非の打ち所のないバンドというよりは、そういう部分があるので、なぜか親近感がある。

もう一つ好きな曲を紹介したい。

2005年の秋に発表された夢ノエンアレだ!

この年、彼らは初めてNHKホールでライブをした。上にあるYouTubeの動画はその時のライブの模様なのだが、この曲のタイトルのカタカナの部分がおもしろい。

夢ノエンアレ

エン」の部分は

」かもしれない。
」かもしれない。
」かもしれない。
」かもしれない。
えん」かもしれない。

カタカナにしてあることで、こちらがいろいろと想像力を働かせないといけない。

普通カタカナは外国の言葉を表記するときに使うものだ。

そこをなぜカタカナにしたのかは、もうPE´Zは解散してしまったので、聞けないのだが、

もっと自由でいいのではないかと言いたかったのではないだろうか。

タイトルをどうやって書くかを知らずに、ただ音として聞いた場合

「夢の縁あれ」
「夢の宴あれ」

とかになると思う。

これだと日本語として意味がはっきりとは分かるが、それ以上何かを想像することは難しい。

言葉で音楽を表現しないことに長けている彼らなりの作戦だったのかもしれないと今日改めて聞き直してみて思った。

ちなみに、この曲を出した2005年に彼らは初のヨーロッパツアーを成功させている。

自分も今海外で生活していて、彼らのようにアグレッシブでいたいと思っている。10代から聞き続けている彼らの音楽には言葉を超えた強い力がある。

負けてはいられない。


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