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「いいものを作ろう!」という先生の一体感が今の学校教育に必要だ!

こんにちは!
株式会社すみかの月館(つきだて)です。
高校教員からプログラミングスクールに転職し、「安心して挑戦する環境を作る」をミッションに株式会社すみかを設立。
学校には、探究コーディネーターとして探究学習・キャリア教育のコーディネート、企業には、3歳から大学まで届けられる教育特化型プログラムを開発しています。

今回のテーマは、「『いいものを作ろう!』一体感が今の学校教育に必要だ!」です。

昨年6月から探究コーディネーターとして複数の高校の「総合的な探究の時間」のカリキュラムづくりやキャリア教育のコーディネートをしています。
私が参画した時点で、新陽高校の「総合的な探究の時間」のカリキュラムは決まっていましたが、具体的にどのように運営していくかは決まっておりませんでした。
(以降、読みやすさを優先し、札幌新陽高校を「新陽高校」、総合的な探究の時間を「総探」と表現させていただきます。)

探究コーディネーターという聞き慣れない仕事

今年度は、「ソーシャルアントレプレナーシップ(社会起業家精神)」です。
自分の半径5mを解決するプロトタイプを作ることをゴールに、Inspire Highというキャリア教育のEdTech教材とStartupBaseというアントレプレナーシップ教育の教材の2つの教材を中心に授業を展開しています。

詳細が気になる方はこちらのnoteをご覧ください。

すでにカリキュラムも教材も決まっているのですが、先生が取り組むまでには、指導案作成や逆算してマイルストーンを組み、各クラスの進捗を確認するという仕事が必要です。まさに企業でいうプロジェクトマネージャー的な立ち位置で主任の先生と関わらせていただき、指導案作りやスケジュールマネジメントなどをしております。
「そんなの先生たちでできるんじゃない?」
という声も聞こえてきますが、2学年500名以上が在籍する学校で、一斉に同じ取り組みを進めていくことは容易ではありません。
常日頃先生たちは生徒対応に追われています。むしろ、先生たちが生徒と関わる時間を最大化するために、先生でもない立場の人がやる仕事と捉えてもらえたら嬉しいです。
先生がしなくてもいいけど、学校や生徒や先生のコンテキスト(文脈)を理解しながら、先生たちがカリキュラム&授業運営しやすいように噛み砕くのがお仕事です。

こんな前のめりなMTG(ミーティング)ある?

このカタチで半年が過ぎたのですが、今日のMTGの進み方や関わり方に学校教育のあるべき姿が見えてきたように思います。
というのも、今まででは、私や主任がMTG(会議)を開くことがほとんどでしたが、今回は担当の先生からの要望で開催するになりました。
(こんな自主的にMTGが開かれるということが学校では少ない。)

アジェンダは、
・冬休み前後の進捗確認
・制作物の備品をどのように揃えていくか。
・今後1〜3月をどのように進めていくか。

でした。
各先生から進捗具合を共有していただきましたが、もちろん、ハウスによってバラバラ。ただ、お互いがどの位置にいるかわかったことで、各先生が「いつまでに、何をするべきか」が見えてきました。
担当の先生から今後のスケジュールをシェアしてもらって、逆に他の先生方から困っていることをシェアしてもらいました。
今後プロトタイプを作る上で、学校にあるものor学校の予算で買えるものがわかるリストが必要です。
という話になった時にたまたま代打で入った担当の先生が過去の授業で使っていた予算可視化シートを共有していただき、それを汎用させることになりました。

心理的安全性が発揮された瞬間

ここまででもその場にいないと伝わりづらいですが、私が表現できる最大限の言語化でこの素晴らしい状況を伝えておりますが、ここからさらにすごいことが。。。

準備物を来週までにまとめるという結論がでかけたところに、進捗が遅れている先生から

「正直、私たちのクラスは間に合いません。ただ、この日までには必要なものを間に合わせますので、2回締切を設けさせてもらえないでしょうか。」

まず、これを先生が言える心理的安全性をご理解いただけますでしょうか。
そのMTGの中で最年少の方は、きっと他の先生方に迷惑かけられない、むしろ他の先生より進捗が遅れているということを曝け出すことも不安。変なプライドなども出てきそうなのに、勇気を持って先生方に伝えてくれました。そして、他の先生方も一切に嫌な顔せず、「よし、2回締切もうけよう」と建設的に話が進んでいったんです。
これが前から根回しして起きたことではなく、MTG前までに一切なかった話から、お互いの意見を言い合って、MTGの中の一瞬一瞬に生まれてっていったことに感動しました。
そして、今日から3月末までの総探の授業流れが共通認識をもてたどころか、共通認識がブラッシュアップされて終わりました。

いいものを作ろうという一体感

総探は多くの先生たちにとって、少し厄介な二の次の科目という印象があります。
というのも、総探という授業の他に各担当の教科を持っています。(国数英社理など)
なので、総探、いわゆる探究学習の優先順位が低い方が多いように感じます。
前から感じていたものの、今日のMTGでは顕著に「いいものを作ろう」という一体感を感じられました。
子どもたちが「こういうのがあったらいいな!」という内発的に生まれたアイデアをカタチにしていきます。そのアイデアをカタチにするというプロセスを最大限子どもたちが楽しめるようにしっかり準備をしよう、という姿勢が1人1人から感じられて鳥肌が立ちました。

いいものを作ろうとしている人は、前のめり。

どう思いますか?という質問は、私は学校や企業の打ち合わせに参加することも多いのですが、だいたい出てこないです。笑
なので、大体の場合、「〇〇さんはどう思いますか?」と個別に振ることがあります。
ただ、今日のMTGでは、進行されていた先生が「どうですかね?」と聞くと食い気味に数人の先生から意見や質問が飛び交う。
しまいには、「過去は、こういうシート使っていたんで参考なるかと!」という意見も出て、準備の負担をお互いに減らしていく瞬間もありました。
新陽高校では、職員会議が対話の場(通称:中つ火)になっています。毎月先生たちが対話する場があります。
その賜物を目の当たりにしました。

「早く行きたければ1人で行け。遠くへ行きたければみんなで行け」

スタートアップやベンチャーにいる方だと「当たり前でしょ」と思うかもしれませんが、創業して2年間で、20校以上学校や教育委員会および100社以上企業と打ち合わせ・プロジェクトを進めてきましたが、意見を求めた際に、意見がたくさん出る、質問がたくさん出ることはそんなに多くはありません。
新陽高校の先生全員から感じることは、「いいものをつくろう」とする姿勢です。「総合的な探究の時間」という導入されてから2年目の得体の知れない教科。今まであった教科以上にわかりづらいです。

探究学習は、授業を提供する側も何が正解かわからない。
そんな誰もが不安で、霧の中をかき分けながら進むような取り組みを、1人で進めると不安だし、合っているかわからない。
けど、声かけあって

「こっちには、池があるよ!」
「こっちには木いくつかある!」
「ってことは、一旦こっちに行こう!」

という適切な判断ができるようになってくる。
これこそが集合知と呼ばれるものです。
みんなで知恵やアイデアを出し合って、より優れたアイデアを出し合う。

先生方が協力し合いながら総探を進めていくことが先生にとっての探究学習なのではないでしょうか。(PBLとも言えそうですね。)

「新陽だから」では片付けられない。

最後の懸念として、「これは新陽高校だからできるんです。」という一言で片付けないでほしいということです。
新陽高校だからという特別感は一切感じませんでした。むしろ、どこにでもある総探だし、特別いろんな人を呼んで派手なことをするというより教材を活用して進めるという他の学校と大差はありません。

私立とか公立とか関係ない。
これは、スタンスの問題です。

やろうとする姿勢、
巻き込もうとする勇気、
生徒ファーストを貫く覚悟。

これらを先生としての信念に持っている人が新陽高校には多くいるだけです。

このnoteを読んだ先生が孤独に学校で悩んでいるのであれば、相談しててください。突破口はあります。
先日も大阪の高校の先生から相談を受け、「〇〇に行ってください!」という突破口を作りました。

先生が頼れるようになると、生徒も頼れるようになって、自立していきます。

学校以外に頼れる場所を増やす。依存先を増やす。
僕でよければ私たちを頼ってください。

「総合的な探究の時間」で悩む先生方へ

やろうとする姿勢、
巻き込もうとする勇気、
生徒ファーストを貫く覚悟。

を忘れず一緒に取り組んでいきましょう。

先生が本気で取り組んでいることは、間違いなく良い方向へ向かっています。

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