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タイムラブ 愛に時間を〜第四部 激闘編

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連載 タイムラブ 愛に時間を〜紫の炎④

連載 タイムラブ 愛に時間を〜紫の炎④

‥上願さんは私の大恩人だった。上願さんが助けてくれなければ今の自分はあり得ない。
彼は仕事での責任をずっと引きずって生きてきたに違いない。そういう意味では敵であった貝原も同じ‥
旧日本時空光学研究所の爆破はおそらくジャックスミスやアース教団が関わっていることは間違いない。
上願さん、私‥必ずあなたの仇を討つわ‥

夕子は今決意を胸にして教団アジトの地下道を走っていた。
1とナンバリングされた部屋の

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連載 タイムラブ 愛に時間を〜紫の炎③

連載 タイムラブ 愛に時間を〜紫の炎③

‥涼‥涼なの?‥

夕子はマスクを外し男の顔を確認した。
間違いなく10年前ジャックスミスらの集団から襲撃されたときの涼であった。

‥あのときから10年、涼の顔はあのときのまま。
どういうことなの?

夕子は上願が先に向かった黒の13号室へ行かねばならない。
電子ホーンで加賀見士郎へすぐさま連絡を取った。

「士郎、こちら夕子」

「夕子、もうすぐお前のいるところに到着するぞ。」

「一人救出を

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連載 タイムラブ 愛に時間を〜紫の炎②

夕子と上願は貝原が持っていた洞窟のマップから黒の十三号室を割り出した。
そして今暗い廊下を走っていた。
ふとそのとき、前方に照光が見えた。
そこには1人の男が立っていたのだ。
それは先程確かに麻酔銃で眠らせたはずのマスクとサングラスの男だった。

上願が叫んだ。
「お前はさっき眠らせたはず。」

男は甲高い声で言った。
「ご苦労様、貝原のお陰で僕もよけいな小手芝居を打たなきゃならなかったよ。」

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連載 タイムラブ 愛に時間を〜紫の炎①

連載 タイムラブ 愛に時間を〜紫の炎①

上願と貝原が放った電子ガンが交差する。

「うっ!」
どちらも声を出して倒れた。
しばらくして立ち上がったのは上願であった。

「ふっ。やはりお前にはかなわねえ。最初からわかっていた。」
貝原の左胸に大きな穴が開いていた。

「いや。一瞬の差だ。」
上願は出血している左腰を押さえていた。

「なあ‥上願。俺たちは立場が違えど、あの20年前の事故から閉ざされてたんだよな‥」

貝原が苦しそうに喋る。

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連載 タイムラブ 愛に時間を〜紫の雨③

連載 タイムラブ 愛に時間を〜紫の雨③

中野が突如貝原と戦闘員らの真っ只中に飛び込み電子ガンを撃ちまくった。

「お前ら、雑魚には用はねえんだよ。上願さん、真木村指揮官を頼みますよ。
あぁー残念だな。指揮官とのデートはこれでどうやら無理になっちゃった。」

「中野君、やめて!」
夕子は泣き叫んだ。

「すみません、指揮官。これしかないです。いい男見つけて下さいよ。」
中野は上着を脱ぎ、左手に持ったスイッチを押す。
身体には電子弾が巻かれ

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連載 タイムラブ 愛に時間を〜紫の雨②

連載 タイムラブ 愛に時間を〜紫の雨②

「大変です。どうも敵に取り囲まれてるようです。」
中野が血相を変えて飛び込んできた。

彼らは今アース教団のアジトである洞窟の入口が見える付近まで迫っていたが、敵は早くも一行の動きを察していた。

「指揮官、どうやら敵は俺たちの動きを初めからずっと追ってたようだ。おそらく最新鋭のレーダーを備え付けている。とにかく防衛局の部隊が来るまで逃げ切れるんだ。」
上願の顔色が変わった。

その時一行に近づい

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連載 タイムラブ 愛に時間を〜紫の雨①

連載 タイムラブ 愛に時間を〜紫の雨①

中野が運転席に乗り込みハンドルを握った。
電子ボックスカーが敵の包囲網を振り切った。
上願が窓から乗り出し、電子ライフルで戦闘員らを撃つ。

「どうやら俺たちの居場所を探りあてたようだな。」

「上願さん、急ぎましょう。」
夕子も電子ガンを撃ちながら答えた。

襲ってくる敵をひとまずは一掃したようだ。
夕子ら一行はアース教団のほぼ近くまで迫っていた。

「加賀見少尉に先程連絡を取りました。彼は部隊

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連載 タイムラブ 愛に時間を 紫の煙③

連載 タイムラブ 愛に時間を 紫の煙③

一行は食料品や医薬品をまとめドラッグストアを出た。
その瞬間、レーザーガンの光が幾十にも走った。

アース教団の戦闘員らは反対側のビルの屋上で待ち構えていた。

上願が大声で叫ぶ。
「しまった。みんな電子カーまで走れ!」

夕子と中野はその瞬間,一気に走り抜けたが折口は一瞬の差で出遅れた。

「折口さん、気をつけて」
夕子は叫んだ。

折口はパソコンを抱えてダッシュする。
しかし右胸にレーザーが貫

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連載 タイムラブ 愛に時間を〜紫の煙②

連載 タイムラブ 愛に時間を〜紫の煙②

夕子ら潜入メンバーは星王シティー西部街区155のドラッグストアに駆け込んでいた。
ここで彼らは食料品と薬品を調達した。

「捜査官が勝手に取っていいかな?泥棒‥うーん、迷う。」
中野は真面目顔で言った。

「中野君、今回は私が特別に許可するわ。」
夕子が微笑む。

「ひゃっほー、指揮官のお墨付きだー」
中野はおどけて返した。

‥はあ,ちょっと疲れるわ。
でもこれでドライブテクニックは超一流なんだ

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連載 タイムラブ 愛に時間を〜(激闘篇)紫の煙①

連載 タイムラブ 愛に時間を〜(激闘篇)紫の煙①

‥ビッグウォールの大災害から10年、私と絵里と士郎は5年間の仮死状態から目覚めた。それからまた5年、既に10年という年月が過ぎている。
なのにこの辺りの風景はほぼ10年前と変わってない。
というよりビッグウォールは起きたの?
どういうことなんだろう?
ビッグウォールの被害は東日本から中部にかけて広範囲だと聞いてる。
とてもそんなふうに思えない。‥

真木村夕子は空や大地の途方もない大災害の光景を目

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