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タイムラブ 愛に時間を〜第二部 潜入篇

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タイムラブ 愛に時間を〜冬の稲妻③

タイムラブ 愛に時間を〜冬の稲妻③

「うわー光の壁にぶつかりそうだ。」
中野がヘリの操縦桿を握り締める。

「中野君、一旦停止を頼む。」
折口が声をかける。

その瞬間上願が乗り出した。

「中野、正面A2ー3地点へ突っ込め!」

「上願さん、そりゃー無謀です。ヘリが壁にぶち当たりますよ。」
中野が叫ぶ。

「上願さん、中野君のいう通りよ。無茶はやめて。」
夕子も叫ぶ。

「代われ!おれがやる。」

上願はすぐさま中野を強引に助手席

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タイムラブ 愛に時間を〜冬の稲妻②

タイムラブ 愛に時間を〜冬の稲妻②

そこはまさに闇の洞窟であった。
だがおそらく最新鋭のコンピューター設備と兵器は悪の軍事要塞といえるものであった。

ドクタースミスはその最深部、総統の間にて信者や戦闘員らに指示を出していた。

「リョウ指揮官をわしのところに呼べ」

「かしこまりました、スミス総統」通信官は直ちに指揮官に連絡を取った。

暫くして指揮官が総統の間に入ってきた。

「スミス総統、何かご用でも?」
リョウ指揮官は黒い仮

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連載 タイムラブ 愛に時間を〜冬の稲妻①

連載 タイムラブ 愛に時間を〜冬の稲妻①

地下の深い洞窟から、黒い邪悪なエネルギーが四方に発散していた。

「総統、見知らぬヘリ一機が14街区付近に近づいております。

レーダーを探知していた男が中央の人影に声をかけた。

「この旧中央シティーには強大なバリアが張られている。外からはまったく見えない。安心しろ!」

総統といわれた人物が顔を向ける。
「しかし、総統。」

男が声を発したその瞬間総統の電子ガンが頭を貫く。
「うぎゃー」男が

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連載 タイムラブ 愛に時間を〜冬の嵐④

連載 タイムラブ 愛に時間を〜冬の嵐④

電子ヘリが、海西ポートの空上を高く舞い上がる。
その瞬間、かなり大きな振動がきた。

「おいおい、中野どうなってんだ!大丈夫か?」
上願が大声で怒鳴る。

「大丈夫ですよ。上願さん。そんなに怒鳴らなくても、中野君はちゃんと読んでますから。」
折口はパソコンのキーを叩きながら無表情で答えた。

「なんだと貴様、捜査官はな‥現場をみるんだよ。わかったか‥‥」
上願は言いかけて、折口のパソコンを眺める。

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連載 タイムラブ 愛に時間を〜冬の嵐③

連載 タイムラブ 愛に時間を〜冬の嵐③

「防衛局軍事作戦部、加賀見です。皆さんよろしくお願いします。」
加賀見士郎は頭を下げた。

「天王シティーからの協力者、加賀見少尉だ。
彼は真木村捜査官とも旧知の間柄。潜入計画が成功次第、部隊を率いて全線に立ってもらうつもりだ。」
藤島課長が力強く述べた。

「加賀見少尉よろしくお願いします。」
夕子が久々に見る士郎の顔は昔と比べてたくましく感じた。

「さて電子ヘリの準備も整ったようだ。只今から

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連載 タイムラブ 愛に時間を〜冬の嵐②

連載 タイムラブ 愛に時間を〜冬の嵐②

海西ポート、ここは海西シティーの中心となる空港だ。
夜零時前、人の気配は全くない。
夕子は電子バイクを空港エリア3Aに停めた。

10号倉庫の地下3階に作戦会議室がある。
ここは事前にもらう入室許可証がないと部屋に入ることが不可能なシステムになっている。

夕子が部屋に入ると既に作戦メンバーは集まっていた。
部屋の照明は薄暗いがはっきりと顔は見える。

「おっと、やっと指揮官様のお出ましか」
左頬

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連載 タイムラブ 愛に時間を〜冬の嵐①

夕子は写真をじっと見つめる。フードを被りサングラスにマスク、男の顔ははっきりと確認できないが、胸に付けてるロケットペンダントは夕子と涼のお互いが身につけていたものに間違いなかった。
霧島課長は気になったのか夕子に尋ねる。
「どうかしたか?この写真?」

夕子は涼と交換したロケットペンダントであることは黙っておこうと考えた。
100%の確証が得られるまで‥‥

「いえ、なんでもないです。」
柚木局長

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連載 タイムラブ 愛に時間を〜冬の始まり⑤

連載 タイムラブ 愛に時間を〜冬の始まり⑤

霧島課長が説明する。
「この写真の男だが、国際テロリストと自称するジャックスミスだ。しばらく前からこの海西シティーに潜んでいたことが判明したんだ。」

夕子はジャックのことは既に承知済みだが、ここでは黙っておくことにした。
もしかしたら絵里に迷惑がかかってはいけないと思ったからだ。
「課長、この男はいったい何を企んでるんですか?」

霧島課長は「破壊活動‥」と言い掛けたところを柚木局長が遮ぎる。

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連載 タイムラブ 愛に時間を〜冬の始まり④

連載 タイムラブ 愛に時間を〜冬の始まり④

夕子の務める捜査情報局は海西シティーの中枢部、A街区一番地にある。
そして今彼女はビルに入り、所属する捜査第三課へと向かっていた。

夕子は昨日絵里が話してたジャックスミスのことが気にかかってた。
彼は大災厄ビッグウォールにどう関係してるのか?自然災害ではないのか?
それより東日本を壊滅させ、危険区域にするほどの災害自体も信じられなかったのだ。

突如電子ホーンが鳴る。
「真木村君、わたしだ。今局

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連載小説 タイムラブ 愛に時間を〜冬の始まり③

連載小説 タイムラブ 愛に時間を〜冬の始まり③

10年前夏‥

快速ロードを疾走していた夕子と絵里の電子バイク、そして士郎はトンネル内から発するグラフィックセンサーの映し出す映像に気づいた。

どうもトンネル内に組み込まれた非常ロードへ誘導してるようだ。
士郎、絵里を載せた夕子は案内されるまま、非常ロードに進む。

夕子は疑問に思ったが、トンネル内にはめ込まれた新たな映像に気づいた。

そこにはあの邪悪な男の顔が浮かび上がる。

「われは地球革

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連載 タイムラブ 愛に時間を〜冬の始まり②

連載 タイムラブ 愛に時間を〜冬の始まり②

「初めまして、香月所長‥‥なんて、もう堅苦しい挨拶なしよ。3年ぶり大出世ね、絵里。」
真木村捜査官は微笑みながら答えた。

「ただいま、夕子。大出世?まぐれまぐれ。」
香月絵里は三年前ニューヨーク本部の時空光学研究所へ赴任、つい先日帰国したばかりだった。

「絵里、変わったわね。中央シティー第三高校の泣く子も黙る女ボス‥」

「やめてよ‥昔の話は。夕子に負けて目が覚めたのよ。天狗だったわたしがね。

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連載 タイムラブ 愛に時間を 潜入篇 冬の始まり①

連載 タイムラブ 愛に時間を 潜入篇 冬の始まり①

あれから10年も経つのか‥

真木村はふとそんなことを考えながら日本時空光学研究所の駐車場の前に電子バイクを止めた。
今日は朝からここへ赴くことになっていた。

災厄後海西シティーに移転した研究所は第12街区にある。
緑の木々におおわれた静かな所だ。
郊外に面した建物はとても科学施設にはみえず、まるで図書館か博物館かのように見えた。

真木村は建物の裏側にまわった。
厳重な取締りがなされてて入口は

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