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心の底にきた話

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特別じゃないあの日々

特別じゃないあの日々

「また乾杯しよう」がテーマなのですが、いきなりこの規則を破って「僕と日記」の話をさせて下さい。

多くの人々が普通に生きてきて、おそらく小学生ぐらいの時に「第一の試練」にぶつかると思うのです。その試練とは「みんなが当たり前にできることを、自分はできない」というもの。たとえば、足が速くて運動会で大活躍するクラスメイトがいるし、勉強ができる子もいる。笑いのセンスがあって、その子がいるだけでクラスに何か

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新しい本に出会うたびに、自分が長きにわたって抱いてきた疑問は「抱いてしかるべき疑問」だったとわかるし、トラウマ治療が進むたびに、自分が長きにわたって感じてきた感情は「抱いてしかるべき感情」だったとわかる。長く生きること、年をとることは、この意味からすると悪いことじゃない。

逃げられないから、逃げるんだ。

逃げられないから、逃げるんだ。

いったいカツオは、なにを慌てているのだろう。

夏休みのこの時期、カツオは毎年夏休みの宿題に追われている。サザエから叱られ、ワカメにたしなめられ、タラオから頓狂なアドバイスを受け、居間に陣どる波平の目を、逃れようとする。小学生のころ、ぼくはその気持ちがまるで理解できなかった。自分のなかに「夏休みの宿題を出す」という選択肢が、まるっきりなかったのだ。カツオの学校はたいへんなのだろうなあ、と思うくらい

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