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ラスベガスパパから学ぶ最強の人生訓 第二章 何もないところからでも見つけようと思えば見つかり、色々叶っていく

パパと午前中のゆっくりとした時間をパパが入れてくれたコーヒーと共に過ごしていると、2階からミユキさんが降りてきて、朝食のベーグルを食べ始めた。

(イメージ)

「さて、今日はどこに行こうかしらね。カイノミがアメリカのハンバーガーを食べたいって言ってたし、ひとまず近くにあるIn and outっていうハンバーガー屋さんにお昼に行ってみようかしらね」

私が今回ラスベガスの旅で楽しみにしてた一つでもあるローカルのハンバーガー。これはすごく楽しみである。しかし、その後にミユキさんが言った話が私の価値観に大きく影響を与えた。

「そういえば、日本人の人ってさ、休みの日とかレジャーを楽しむ日でも、⚪︎曜日の何時には⚪︎⚪︎に行って、⚪︎時だからもうご飯を食べないといけない、とか計画を立てて、その通りに実行するのが好きよね〜。でも、休みを楽しむってそういうことじゃなくない?仕事じゃあるまいし、計画通りにこなすなんて、それで楽しめるのかねー?

計画通りが好きな日本人

好きな時に好きなことをして、食べたい時に食べたいものを食べる。そういうのが休みを楽しむってことじゃない?」

この話を聞いた時は、私は正直そんなことを考えたことすらなかった。限られた休みを最大限に充実させるためにはそうすることが最も効率的だと勝手に思い込んでいた。しかし、アメリカ人からするとそれは窮屈に見えるそうで、私たち日本人の性格なのかもしれないが、本当に目の前のことを楽しむということを忘れていたのかもしれないと思った。

目の前のことを楽しむ

私とミユキさんは身支度を整え、車へと乗り込んだ。
ミユキさんはいつものように軽快に車を街の方へ走らせて行く。
着いたのは、とあるハンバーガー屋さん「In and out hambergar」アメリカ人のみならず日本人にも人気のハンバーガー屋さんである。

実際に訪れたIn and Out burger

三つのメニューから選ぶシンプルな注文方法だ。裏メニューもあるそうだが、とりあえず一番ベーシックなセットを頼んでみる。

(実は裏メニューもたくさんあるそう)

席について辺りを見回すと、アメリカ系、メキシコ系、インド系、など様々な人種の人たちが家族や恋人とハンバーガーを楽しんでいる。
近くにも同じようなハンバーガーショップもあるそうだが、なぜかこのIn and outが大人気で常に客席はいっぱいとのこと。

様々な人種

円安の影響で全ての物価が高いと思っていたが、こういったローカルのお店は思ったほど高くなかった。
ニュースやYouTubeでは人の目を惹くためにインパクトのある値段のお店が紹介されていたりするが、地元の人々が日々訪れるお店はさほどびっくりする値段ではなかった。

セットで約7ドル

「日本のニュースとかYouTubeで色々見てて、アメリカはとんでもなく物価が高いって聞いてたけど、こういうお店はそうでもないんだね」

私はミユキさんに尋ねてみた。

「そうね、日本食レストランとかメインストリートの有名ハンバーガーショップとかに行けば高いかもしれないけど、それもごく一部を報じてるにすぎないんじゃない?カイノミも地元のスーパーとかに行ってわかったと思うけど、学生や主婦が選ぶようなお店にいけば、そんなに高額なことはないと思うわ」

ミユキさんはポテトをケチャップにつけながら答えた。

本当に美味しかった

食事を終えた後、私たちは再度ラスベガスの中心街へ車を走らせた。
昼間のラスベガスは昨日の夜に見た「夜のラスベガス」とはまた違った雰囲気であったが、昼間でも観光客が歩く姿は絶えなかった。

Coca-ColaとM & M

ここでもミユキさんがカジノホテルについて色々教えてくれた。
ホテルも売却と買収を繰り返しており、違うホテルの名前であっても同じオーナーであることがよくあるとのこと(MGM系列のホテルなど)、さらに各ホテルもおなじような作りやサービス内容になっておらず、噴水ショーがあるホテルもあれば、New Yorkやベネツィアの街を再現したホテルがあるなど、それぞれ特徴を持っており、観光客に飽きられないように常に投資を行なっているとのこと。

二大カジノホテルグループ

ホテルの中には、カジノもあれば、ショッピングモール、プールもある。旦那さんはカジノで遊んで、奥さんはショッピングやショーを楽しむ。まさに大型テーマパークのようになっていて一日中遊べる施設になっている。
ショッピングモールに入っているテナントも半年契約で常に入れ替えを行なっており、客を飽きさせないようにしている。それはテナント側のマンネリも防ぎ、半年間必死にサービスを提供することに繋がっているとのこと。

活気のあるショッピングエリア

また、銃社会のアメリカでありながら、ホテルに入る際セキュリティチェックがない。銃や麻薬を持ち込み放題に思えるが、天井を見ると無数をカメラが設置されていて、おかしな動きをすればすぐに警備員が駆けつけてくる。常に誰かに見られているという状況を作り出すことで犯罪の抑止力になっているそうだ。

天井には無数の監視カメラ

私たちは「昼のラスベガス」を観光した後、家に帰ると、パパがすでにバーベキューの肉を焼いていた。

「おかえり!肉がもう焼けてるよ!」

タレに漬け込んだリブ

パパが汗だくになりながら、裏庭で特大リブステーキを焼きながら言った。
私たちはさっそく特大リブステーキを堪能し、昼からウイスキーを嗜んだ。

特大リブと米、さらに炭酸とウイスキーで胃の中へ流し込む。最高だった。

一通り、食べ終えると、パパがまた元気にこう言った。

「コーヒー飲むかい?」

いつもパパは私のことを気にかけてくれる。

「うん、いただくよ」

淹れたてのコーヒーを飲みながら、またパパと話を始めた。

「そういえば、軍人を退役した後ってみんな何やってるの?」

私は率直な疑問をぶつけてみた。

「色々だけど、私が知っている人の中には、戦争に行った時のことがフラッシュバックして、それを忘れるために酒やドラッグに溺れる人も少なくない。それが原因でホームレスになる人もいるし、軍人を辞めた後も何かしら生活の糧を見つけないと長く幸せに生きていくことはなかなか難しい。私もそういう先輩たちを沢山見てきて、行動を起こすようになったんだ」

アメリカは軍事費に多額のお金を当てているように見えるが、なかなか現実は厳しいようだ。

「パパは退役したあと、家族を連れてラスベガスに来たって言ってたけど、その時、仕事もコネも何もなかったんでしょ?家族は反対とかしなかったの?」

私は質問を続けた。

「私の嫁も娘たちもまったく反対しなかったよ。嫁も「いいじゃない!楽しそう!行ってみましょう!」と私を信じてついてきてくれた。娘たちも同様にね。もちろん最初の頃は仕事のスキルや経験、コネもなかったらから、仕事を2、3つ掛け持ちして必死に働いたよ」

さらに私は自分が思っていることを正直に聞いてみた。

「私の周りにもそうやって人生を切り拓いていく人もいるけど、ほとんどの人は、事前に調べた情報で計画を立てて、それ通りにいかないと失敗だと意見する人が多くいる。そういう意見に惑わされてなかなか行動できない人も大勢いると思うんだ」

するとパパは言った。

「もちろん事前に調べたり、計画を立てたりすることは大事だ。しかし、世の中は計画通りにいくことばかりじゃない。行ってみたら思ってたのと違うことばかりだし、逆に思いがけないチャンスが舞い込んで成功したりする。要はやってみるまでわからないんだよ。もちろん一足飛びに目標を叶えることなんてできないから、何もないところからでも、少しずつ試していけば、色んなものが見つかり、叶っていくんだよ。

昨日も話した通り、少しずついろんなことを試していくとね、その時々の少しずつの経験が後になって繋がることがよくあるんだ。この仕事はあの時の、この経験とこの経験が生きてる!っていう具合にね。その時はわからなくても、後になって気づくことが多いが、いろんな経験をすることはとてもいいことなんだ。

あと、矛盾してるように聞こえるかもしれないが、過去のことは忘れて常に新しいことに挑戦するんだ。
もちろん過去の経験は役立つ場面は多い。しかし、過去やっていたことと同じことをするのではなく、過去の経験を活かして新しいものを生み出していく。それが価値のあるものを生み出していくコツなんだ」

私は説得力のあるパパの言葉に心底耳を傾けていた。
窓の外を見ると、あたりはすっかり暗くなっていた。

ヘンダーソンの夕暮れ

ヘンダーソンの夜は、驚くほど静かでゆっくりとした時間が流れている。
リビングのテレビにはずっとメジャーリーグの中継が流れており、その他にはたまに天気予報やニュースを見る程度であった。

こうして、二日目は日本とアメリカの休みの過ごし方の違い、パパの生きる姿勢や仕事への向き合い方について学んで終えた。

私はベッドで横になりながら今日聞いたことや体験したことを振り返っていた。

まず、休みの楽しみ方の違い。休むとはどういうことなのか。休みの日でさえ、何かしなくては!と詰め込んで、目の前のことを本当の意味で楽しんでいなかったのではないか?と振り返る自分がいた。リラックスすることを最優先した考え方で休むことの本質を捉えているような気がした。

パパの仕事に対する考え方についても、最初から計算通りにいくことなんてない。トライしながら少しずつ経験値を増やしていくことで、いつかすべてが繋がる日が来る。最初に何もなくても、何か見つけようと思えば、そこに道は開け、見つかり、色んなことが叶って行く。

そんなことを振り返りつつ、目を閉じていると、気づけば朝の4時だった・・・。

第三章へ続く。

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