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3.結論「意思決定、力関係、日々の主題」~黒子ホームヘルパーの、味わい「慮り、尊重する」(全9章)~【#創作大賞2024 #ビジネス部門 応募作品】



◼️始めに◼️

 皆様、お世話になっております。

 この作品は8章+番外編で構成されています。お時間のある時にご閲覧頂けましたら、嬉しいです。記事の下部のリンクが、サイトマップとなっております。

 ではでは、宜しくお願い申し上げます。

◼️結論◼️

  「慮り、尊重する」を考察し、私が結論とするのは、以下の3点です。

1.「慮り、尊重する」を形作るにあたり、「意思決定」の視点を意識する。

2.「慮り、尊重する」を継続するには、他者、自己、双方の力関係を調整する。

3.「慮り、尊重する」を尖らせるために、その日の会話等から主題を決める。

 ひとつづつ、見て参ります。

◼️1.「慮り、尊重する」を形作るための「意思決定」の視点◼️

 まず、「1.涙のご挨拶」で述べました例を振り返ります。

【場面1.】
家の主: 
「紅茶とコーヒーのどちらがお好きですか?(慮って下さった)」
私: 「コーヒーです」
家の主: 「では、コーヒーを入れますね。(尊重して下さった)」
私: 「有り難うございます。でも、あなた様のお好きな物をどうぞ。それから、私も手伝わせて下さい。」

【場面2.】
電話にて
: 「私でよろしければ、代わりにご用件をお伺い致しますが、如何致しましょうか?」

 私は、慮り、尊重して頂いたと感じました。それは、よくよく考えて頂いた上で、選ぶ、という意思決定、何かさせて頂く、という意思決定を経験させて頂いたからではないでしょうか。
 この様に「意思決定」は慮り、尊重するを、わかりやすくすると感じました。

 同時に、福祉の世界で活用されている、「バイスティックの7原則」が自然に守られていらっしゃると感じました。
 アメリカのケースワーカーであり社会福祉学者のバイスティック博士の著作「ケースワーカーの原則」に記された援助の基本原則を「バイスティックの7原則」と呼びます。「お相手」に対する「自分」の在り方です。(コラム参照)  

 そこで、これらを「慮り、尊重する」に当てはめて考察しました。
 「バイスティックの7原則」のそれぞれの項目に「お相手の意思決定」を掛けると、「慮り、尊重する」を形作る手掛かりになると考えました。
公式は
「バイスティックの7原則(自分)」×「意思決定(お相手)」=「慮り、尊重するを形作る」
です。

 1: 個別化の原則 × 意思決定

お相手が自分自身の人生に関してどのような選択を望み、どのようなケアを望んでいるかを確認し、それに基づいて個別のサポートを提供します。

2:  意図的な感情表現の原則 × 意思決定

 感情の表現やコミュニケーション方法を自己の意思で決定し、それが尊重されることで、お相手はより安心して自分を表現できる環境が整います。

3.: 統制された情緒関与の原則 × 意思決定

お相手が感情表出する意思決定を尊重することを意味します。

4.: 受容の原則 × 意思決定

お相手が自分の人生においてどのような選択を行いたいのかを受け止めます。

5:  非審判的態度の原則 × 意思決定

お相手が善悪、好み等に左右されずに自分の意思に基づいて行動できるようサポートします。

6:  自己決定の原則 × 意思決定

お相手が自分自身の人生について自己決定し、第三者の意見や情報等を交え、意思決定することを支援することを指します。

7.: 秘密保持の原則 × 意思決定

共有の範囲を自己の判断で決定し、また、こちらの掲示する情報管理内容に同意して頂くことが尊重されます。

※「意思決定」を扱う注意点として、以下の事柄があります。

1: 充分な情報の開示をします。

2: 必要に応じて第三者が助言、情報提供します。

3: 意思決定を強要しない。

4: 全ての決定を受け入れるのではなく、受け入れられない理由をご説明したうえで合意を得る必要もあります。代替案も用意します。

5: 意思決定を重視しつつも、必要な場合は利用者の代理意思決定(家族や法的後見人)を取り、意思決定を行います。(認知症の方など)

・意思決定支援(厚生労働省)

・「地域共生社会」(厚生労働省)↓

・認知症施策推進関係者会議(第4回)(内閣官房)↓


◼️2.「慮り、尊重する」を継続するには、他者、自己、双方の力関係を調整する◼️

・「慮り、尊重する」を継続するには、他者、自己、双方の力関係を調整することが必要です。

・力関係が偏ると、一方が支配的になり、もう一方が疎外感を感じる可能性があります。

・相互の意見や感情を尊重し、真剣に受け止めることが基本です。時には「受け入れる」ではなく、「受け止める」意識で充分です。

・フィードバックの際には、相手の意見を否定せず、その価値を認めます。

・ 日常的なフィードバック文化の醸成により、お互いの成長と改善を促進します。

・権限を分散し、共同の目標に向かって協力できる環境を整えます。

・決定プロセスや情報共有において透明性を確保し、双方が納得する状況を作ります。

・信頼関係を築きます。

◼️3.「慮り、尊重する」を尖らせるために、その日の主題を決める。→その場の日常会話から視点を選ぶ。◼️


・日常会話やご様子から主題を選び、その日の活動を展開する視点を得ます。

  ・その日の主題を決めることで、活動に一貫性と目的意識を与えます。

・混乱を避けられ、集中できます。

・主題に基づいて行動を振り返り、自己評価や成長を促進します。

  ・毎日異なる主題に取り組むことで、新しい行動や考え方を習慣化しやすくなります。

   ・個人の成長と自己理解を深めるための機会として、役立ちます。

・主題をひとつに絞るだけでなく、時折、俯瞰してみます。

・傾向を読み解き、改善に繋げます。

◼️まとめ◼️

 これら3つのアプローチを組み合わせることで、「慮り、尊重する」行動がより具体的で実践的な形で展開されることができると考えました。持続可能な信頼関係を築きたいです。

 「1.お涙頂戴のご挨拶」で申し上げた、「窓ガラスの拭き掃除」も、「何も外が見えない場合は可能です。」とお伝えしても、納得されるはずがありませんので、今回の考察を踏まえて、代替案も考慮しつつ、お話を傾聴して参ります。

 以上が私の考える結論です。

◼️コラム・バイスティックの7原則◼️

1: 個別化の原則
    お相手を一人の個人として捉え、先入観に囚われず、多様な対応をします。

2: 意図的な感情表現の原則
    プラスもマイナスも含め、すべての感情表現を認めます。 話しやすい雰囲気作りをします。

3: 統制された情緒関与の原則
    援助者は自分の感情を自覚し、お相手に影響されないようにします。

4.: 受容の原則
    お相手をそのまま受け止め、背景や行動の要因を理解します。 異なる意見を否定しません。

5: 非審判的態度の原則
     お相手の考えや行動に善悪をつけず、サポート役に徹します。評価しません。

6: 自己決定の原則
    お相手が自分のことを自分で決めます。
  命令的な指示をしません。

7: 秘密保持の原則
    プライバシーを守り、情報を他者に漏らしません。

◼️あとがき◼️

 次回から、「慮り、尊重する」を結論を具体例を挙げて考察して参ります。「慮り、尊重する」を味わって頂くために、調味料を変え、調理方法を変え…また、違ったテイストを味わって頂けましたら、幸いです。

 皆様、ご閲覧、誠に有り難うございました。
 スキ、ご意見、ご感想など、賜れましたら幸いです。お待ちしております。

 また、宜しくお願い申し上げます。

◼️リンク◼️

「1.お涙頂戴のご挨拶」↓

「2.慮り、尊重する、を掘り下げる動機」↓

「4.距離感を慮り、尊重する(秘密保持)」

「5.お気持ちを慮り、尊重する(統制された情緒関与、意図的な感情表現)」↓

「6.意志を慮り、尊重する(自己決定)」↓

「7.虚心坦懐で慮り、尊重する(個別化)」

「8.あるがままを慮り、尊重する(受容、非審判的態度)」↓

番外編・自己の幸せを慮り、尊重する…絶対する!~黒子ホームヘルパーの、味わい「慮り、尊重する」~↓

黒子訪問介護士のひかり


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