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いのちをいただく 〜 お肉を食べることについて



僕は最近、お肉を食べる事について考えています。

なぜなら、
お肉を食べた夜は、必ずと言っていいほど、悪夢を見るようになったからなんです。


どんな悪夢かというと、

自分が何者かに追いかけられたり、
誰かにすごい剣幕で怒られたり、
はたまた殺されたりして、

その度に僕は怯えたり、悲しんだり、苦しんだり、を、繰り返すのです。

目が覚めると、僕の体はその恐怖でぐったり疲れていたり、緊張して固くなっていたりします。

お肉を食べると毎回そんな悪夢を見るので、さすがに気づきました。
あぁ、お肉に残っていた記憶や感情を、夢の中で「追体験」しているんだなぁ、って。


お肉は、単にスーパーで売られている「食材」ではありません。
「生命」です。

彼らも人間と同じ生命体、
痛い、とか、苦しい、とか、怖い、とかを感じたりします。

僕らが恐怖を感じた時、体を硬直させて身を守ろうとしたり、痛さに対して身構えたりするのと同じように、

牛さんや豚さんも、危険を察知したり恐怖を感じると、ぎゅっと体を硬直させます。


かたくて筋張った肉、食べたことありますよね。
そしてそういったお肉はたいがい安く手に入ります。

お肉がかたいというのは、例えば牛だったら「肉」にするため絞める瞬間、要は殺される瞬間に、恐怖の感情や痛みを、強烈に感じてしまってるんですよね。そのお肉のもともとの性質もあると思いますが、お肉がかたい、というのは「絞め方」によるものが大きいんじゃないかな。

腕がいい農家さんは、絞める時に家畜がなるべく苦しまないよう見事に急所を狙う、と聞いた事があります。
そこには家畜へのリスペクトや愛が感じられます。
人に食べられる運命として生まれてきた生命だけど、
恐怖や痛みを感じずに締められた牛さんや豚さんは、きっとその人に感謝するだろうし、お肉も良い波動を携えて人々のもとへ届くだろうなぁ、と思うのです。


以前、パートナーもインターンをしたアメリカ西海岸・バークレーのレストラン「シェ・パニース」。アメリカのオーガニック文化の発祥とも言われているレストランですが、その店で食べた仔羊の衝撃は今でも忘れられません。

普段、ドーンとかたまりのお肉はいただかない僕たち。フルコースのメインディッシュに、まさにドーンという大きな仔羊肉のステーキがテーブルに運ばれてきて、「おぉ…」と戸惑いつつも、せっかく来たのだから美味しく頂こうと口にしてみたら…  それがもう、美味しくて美味しくて。口に入れた瞬間の、あのエネルギー。噛みしめるたびになんだか幸せな気持ちになる。

「わぁーーーーーーー、生命だぁ、生命を頂いているんだぁ!」

と、はっきりわかるほど、そのお肉は「生き生き」としていました。とにかく、美味しかった。

きっと素晴らしい畜産農家の方から仕入れているんだなぁ、と思いました。その仔羊ちゃんも、本当に愛されて育ったんだなぁ、ということがよく伝わりました。

その夜は悪夢なんてもちろん見ず、幸せな気持ちで眠れたことは言うまでもないです。


僕は一時期、厳格にヴィーガン(完全菜食生活)をしていましたが、

今では何でもいただくようになりました。

でもお肉を食べたいと思うこと自体が少ないので肉屋で買ってまでは食べませんが、
外食のメニューで見つけて、肉が食べたい気分だったらいただきます。

だから、基本的に僕が「肉を食べた」という時は外食なんですね。悪夢を見た日も、ちょうど外食でお肉をいただいていたのでした。

自分で買うなら質の良いお肉を選べるけど、外食ではなかなか「シェ・パニース」のようにはいきません…


手に入りやすい比較的安価なお肉でも、あなたがもし食べて負担にならないのであればもちろん食べても良いと思います。

ただ、自分で料理をする時は、そのお肉への感謝と愛を忘れないであげてほしい。

例えば、

かたくこわばったお肉を手でじっくり揉んで柔らかくほぐしてあげたり、
質の良い調味料に漬けてあげたり、
ハーブで下味を付けて香りをうつしてあげたり。

それらの行為は、「生命」に対しての「弔い」であり、「偲ぶ」ことなんです。お肉に残った恐怖の感情の浄化にもなります。

動物という生命に接していることを忘れずに。


そして、食べる時にはぜひ手を合わせましょう。

そう、いただきます、です。

私たちは、死者への弔いとして、手を合わせますよね。
奇しくも、「いただきます」と弔う型が一緒です。
きっと、昔の人は知っていたんだと思います。
食べる事は、「生命をいただく」ことなんだ、と。


あれこれとお肉のことを考えていたら、あの本を読み返したくなりました。


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「いのちをいただく」
文 内田美智子 絵 諸江和美 監修 佐藤剛史
西日本新聞社


大好きな本で、いつも本棚に並んでいます。何年かぶりに読み返してみると、なんだかこみ上げてくるものがあって思わず涙が出ました。

お肉を食べるという事、お肉も「生命」なんだという事、
ここ最近感じてモヤモヤしていた事が、子供でも読めるような軽やかな文体で優しく綴られていて、

あぁ、やっぱりこの本は名本だなぁ、と、改めて思いました。
ぜひ皆さんに読んでもらいたい本です。
本当に心が熱くあり、僕たちにその生命を捧げてくれるお肉に感謝とリスペクトを送りたい、
そんな気持ちになります。


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お肉を美味しく頂くことは、生命を捧げてくれた彼らの運命を祝福し、感謝することだと思っています。

だから、お肉を食べること自体を否定はしたくないな、って思います。肉食を否定することは、彼らの運命を否定することでもあるから…

(もちろん、やがて人々はお肉を食べなくなっていくだろうけれど)


ありがとう、美味しくいただくね、

そう思いながら料理をして、きちんと手を合わせてあげたら、
どんなお肉も美味しくなる。

そうやってお肉をいただいた夜は、きっと良い夢が見られるはず。



2019. Oct
Photo & Writing by kai



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