📚️影絵草子の怪異大辞林🌳

怪談師、怪談作家です。 語り名:マシンガンジョー 恐い話を趣味と実益で日本各地で…

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怪談師、怪談作家です。 語り名:マシンガンジョー 恐い話を趣味と実益で日本各地で聞いて集めて書いて話してます/稲川淳二の怪談グランプリ2021/怪談最恐戦2021東京予選/怪談王2022、23関東予選大会/島田秀平のお怪談巡り/単著 茨城怪談、屋敷怪談

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記事一覧

「流れ星」

いつもなんとかなると 思ってはいても なんともならないことばかり ある世の中だな 周りが変わったんじゃなく 自分が変わったんだろう 良くも悪くも まっすぐに背筋…

「磁石」

引き合う力がまだ 僕らにあるのなら 明日もまた笑って 昨日の失敗も なかったように 朝にはホットケーキ なんか二人で 食べてるはずだ 罪悪感を抱きつつ 二人で食…

真・実話怪談「コマーシャルソング」

 (この○なんの○……)という歌が流れ、木が画面の中央に映っているという有名なCM曲があるが、  とある企業のCMなのだが私が子供の頃にはよくやっていたが最近は見なく…

「コンセント」

優しくしてあげたいのは山々だけど あなたを見ていると なぜか細かいところが目がついて 神経質な私はついあなたに辛くあたってしまう 悪気はないのに 気づけばいつも…

真・実話怪談「オレンジジュースの出る木」

以下、小関裕太(仮名)の小学生のときにつけた日記の中にある怪異を具体的にしたものである。   ■1998年、7月6日 庭の柿の木からオレンジジュースが出てきた。 (樹液…

真・実話怪談「梅の実」

保険屋をしている女性、味岡さんが契約をしている客の家を訪れた。  保険の更新をするために新しい資料を持って家の居間に通された。庭から子供さんの明るい声が先ほどか…

実話怪談・祟「厄拾い」

地下鉄のロッカーをしばらくタンスがわりにしていた伊藤は、日雇いバイトから帰り、ロッカーから荷物を出そうとした。 ロッカーの奥に何かが見えた。 今までは気づかなか…

実話怪奇異談「新幹線二話」

①「泣き声」 前の席の人が突然、泣き出す。 ものすごい勢いで泣きわめき出したので、 いい加減にしろよと席を立ち上がり 注意しようと前の座席を見た瞬間、 気づいた。前…

実話怪奇異談「マメ」

昔、山で迷子になったことがある。 木のような茶色い肌をした人に山の麓まで送り届けられたというのだが、その人とつないだほうの手のひらにできた小さなマメ。 ぽろりとと…

「風に吹かれて」

歩いてきたよ ここまで いくつも季節を通り過ぎて 桜の花も散り 夏の匂いが町を包んだ あの頃とは少しちがう気持ちで この道を歩いていく 振り返らぬように 忘れ得…

「産地不明の肉のような怪異体験の魅力」

怪異現象っていうのはある種のとあるシチュエーションの提供というか、明確な何かをこうですよ、と提示するものではなく、書き手、あるいは取材者さえもその話の中身、ある…

「サンセット・マーチ」

遠ざかる影の色は 橙と混ざり 消えた 今はもう失われた若さは  遠い日に落としたハンカチーフ さよなら また明日 いつもの帰り道 歩道橋 君は片方のちがう道 遠…

「種を蒔く日々」

ここまで歩いてきたよ 自分のこの二本の足で 悲しみも喜びにも 嫌(や)というほど巡り会い 季節をまたひとつ越えて またひとつ歳をとる ファインダー越しのあなたは …

「アコーディオンカーテンの朝」

言葉では伝わらない 気持ちはどうしたら 伝えることがかなうだろう 糸電話みたいに 細い糸をここまで手繰り寄せて 世界中にいる誰かと お話できる便利な世界 かわり…

「面白い諺の続きを考えてみた」

①両手に花持つ花屋さん。 ②七転び八起きで筋トレを。 ③井の中の蛙大海を知らず、地区大会も全国大会も知らず。

「ベリーショートショート」

猫と人間の立場が逆転した映画を観ながら、犬と人間の立場が逆転した世界で、「こんな世界なら僕は絶望するね」とため息を吐く。   「犬理論」 山で熊に出会い慌てて死…

「流れ星」

いつもなんとかなると 思ってはいても なんともならないことばかり ある世の中だな 周りが変わったんじゃなく 自分が変わったんだろう 良くも悪くも まっすぐに背筋を伸ばして 生きているようで いつの間にか自分より 弱い立場にある人を 見てあざ笑っていた気がする 背筋を伸ばして 見上げた空は夕焼け 真っ赤に燃えていた 何もかも失ったはずなのに まだ泣く余裕があったんだな 夜になって気づくと独り 自販機の影で 逃げ遅れたように群れからはぐれた星を

「磁石」

引き合う力がまだ 僕らにあるのなら 明日もまた笑って 昨日の失敗も なかったように 朝にはホットケーキ なんか二人で 食べてるはずだ 罪悪感を抱きつつ 二人で食べる 甘い甘い人生の 後味はたとえ苦くとも 愛だなんてごまかして 偽りの幸せの中で なあなあの日々を 私鉄に揺られながら 落ちる夕日を窓から 見ては泣きたくなる この気持ちを忘れなければ 明日もまたあなたに会える ただ優しい人でいられる それもいいな それがいいな だから 今

真・実話怪談「コマーシャルソング」

 (この○なんの○……)という歌が流れ、木が画面の中央に映っているという有名なCM曲があるが、  とある企業のCMなのだが私が子供の頃にはよくやっていたが最近は見なくなった。  都内に住む村岡さんが子供の頃に居間でテレビを見ていると そのCM曲が隣室から流れてきた。隣室にもテレビがあるのでおばあちゃんかおじいちゃんがテレビを観ているのだろうと思った。  曲に合わせて家族の誰かが歌を歌っている。だが、音程がまるで合ってはいない。  外れた音程の歌声に下手くそだなあと思っ

「コンセント」

優しくしてあげたいのは山々だけど あなたを見ていると なぜか細かいところが目がついて 神経質な私はついあなたに辛くあたってしまう 悪気はないのに 気づけばいつも 喧嘩ばかりしてる気がしているよ 愛なんて 言葉にするのも恥ずかしい 愛なんて 口にするのも烏滸がましい コンセントみたいに なにかでつながっていたかったから さよならは 言わないまま終わらせる恋だって間違いじゃないはずだよ。

真・実話怪談「オレンジジュースの出る木」

以下、小関裕太(仮名)の小学生のときにつけた日記の中にある怪異を具体的にしたものである。   ■1998年、7月6日 庭の柿の木からオレンジジュースが出てきた。 (樹液とは違う。シャーベット状に近い)  ■同年 7月8日  オレンジジュースが今日も出た。苦い味。 (この時点で歯応えがあるくらい固くなる)  同年7月15日 オレンジジュースと同じ色の小さな人が木の裂け目(うろかもしれない)からあふれでてくる。  ■1999年、4月6日 自分の顔をした人間が木の傷

真・実話怪談「梅の実」

保険屋をしている女性、味岡さんが契約をしている客の家を訪れた。  保険の更新をするために新しい資料を持って家の居間に通された。庭から子供さんの明るい声が先ほどからしている。 姿は見えないので玄関からは死角になっている裏庭で遊んでいるのだろう。  話が終わったタイミングで、「あの、お子さんお庭で遊んでるんですか?」 そう言うとお客様の老夫人は笑いながら、  「いやあ、皆さんそうおっしゃるんですがうちには子供はいないんですよ、ただ……木がありますでしょう。あの梅の木から

実話怪談・祟「厄拾い」

地下鉄のロッカーをしばらくタンスがわりにしていた伊藤は、日雇いバイトから帰り、ロッカーから荷物を出そうとした。 ロッカーの奥に何かが見えた。 今までは気づかなかったがお札のようなものがロッカーにぺたりと貼られている。 爪で引っ掻いて剥がしてみると、そこには「はずれ」と書かれている。 ロッカーに当たりも外れもないだろうと笑っていると、暴漢に襲われ稼いだ金をすべて奪われてしまった。 財布の中にしまったあのはずれの紙も財布ごと盗まれてしまった。 しばらく親のいる実家に厄

実話怪奇異談「新幹線二話」

①「泣き声」 前の席の人が突然、泣き出す。 ものすごい勢いで泣きわめき出したので、 いい加減にしろよと席を立ち上がり 注意しようと前の座席を見た瞬間、 気づいた。前の座席は空席だった。誰一人その泣き声に気づいていないのか 急に立ち上がった自分を見て変な顔をする。 ②「揺すり」 新幹線で少し寝ようと寝落ちかけたとき 誰かに起こされる。だが誰もそばにはいない。 そんなことが何度かあり、体を揺する何者かの手をつかんで正体を確かめてやろうとしたそのとき、つかんだはずの手が手の中

実話怪奇異談「マメ」

昔、山で迷子になったことがある。 木のような茶色い肌をした人に山の麓まで送り届けられたというのだが、その人とつないだほうの手のひらにできた小さなマメ。 ぽろりととれた。今もお守りのように財布に忍ばせている。 おかげさまで、今に至るまで良運に恵まれている。

「風に吹かれて」

歩いてきたよ ここまで いくつも季節を通り過ぎて 桜の花も散り 夏の匂いが町を包んだ あの頃とは少しちがう気持ちで この道を歩いていく 振り返らぬように 忘れ得ぬように 今だけは今だけは 風に吹かれている 車窓に流れてく思い出は 手を振る僕に未練など残さず もう二度と会えないから 輝く思い出だと教えてくれている 浮かんでは消える誰かの顔 それは思い出せない 痛みを どこかに しまったまま 僕もまた どこかに消えてくでしょう そして砂に刻んだ

「産地不明の肉のような怪異体験の魅力」

怪異現象っていうのはある種のとあるシチュエーションの提供というか、明確な何かをこうですよ、と提示するものではなく、書き手、あるいは取材者さえもその話の中身、あるいは本質をわからない状態でおそらくこれは何かの恐怖的体験ではあるが、名も知れぬ得たいの知れない某かであるくらいの理解で、はいどうぞ好きに食べてくださいと提供することがもしかしたらほとんどかもしれない。 でもそれは明確に聞いた話であり、明確に恐かったり不思議だったりするのに、中身が一切わからない封の切られていない合成肉

「サンセット・マーチ」

遠ざかる影の色は 橙と混ざり 消えた 今はもう失われた若さは  遠い日に落としたハンカチーフ さよなら また明日 いつもの帰り道 歩道橋 君は片方のちがう道 遠ざかる背中の影 夕日の眩しさが溶かした 今はもう 見えない背中は 消し忘れた 恋ごころを  いまだ この胸に抱きしめる 短くなった鉛筆がまだ 筆箱に 転がるようにね。

「種を蒔く日々」

ここまで歩いてきたよ 自分のこの二本の足で 悲しみも喜びにも 嫌(や)というほど巡り会い 季節をまたひとつ越えて またひとつ歳をとる ファインダー越しのあなたは まるで夢か幻のよう 見つめるほど遠ざかる 輪郭さえぼやけた蜃気楼 重ねた傷と罪を花束にして 世界中に売り歩いて 旅をしようか  地図にはない場所まで 行けるならば今すぐに そこに住む人の営みや町並みの色彩にふと立ち止まり、振り返る そのひとときの刹那的感傷よ どうか このまま貧しき僕

「アコーディオンカーテンの朝」

言葉では伝わらない 気持ちはどうしたら 伝えることがかなうだろう 糸電話みたいに 細い糸をここまで手繰り寄せて 世界中にいる誰かと お話できる便利な世界 かわりに心の距離を 近づけることが できなくなってしまったり していやしないかい? 目を閉じた瞳にも 強烈に突き刺さる眩しい光 スクリーンの向こう側に 海を描いて 波しぶきが つま先を濡らしたら その冷たさで目を覚ますよ 優しい日曜日の朝 揺れるカーテンはアコーディオン 寝息さえも音楽に

「面白い諺の続きを考えてみた」

①両手に花持つ花屋さん。 ②七転び八起きで筋トレを。 ③井の中の蛙大海を知らず、地区大会も全国大会も知らず。

「ベリーショートショート」

猫と人間の立場が逆転した映画を観ながら、犬と人間の立場が逆転した世界で、「こんな世界なら僕は絶望するね」とため息を吐く。   「犬理論」 山で熊に出会い慌てて死んだふりをしたら 熊も自分の隣に寝そべり同じように死んだふりをした。 「逆効果」 美術館でなんの絵かわからない真っ白な絵があり、タイトルを見て「絵空事」と書いてある。 批評家曰く、絵描きが想像で書いた絵で想像で見るのが正しいこの絵の見方だと「美しい」と恍惚の表情が浮かべる。 「壁の絵」 #ショートショート