「性善説」

生きていくことは

難しいことかい?

辛いことかい?

生まれたことを

悔やむ日が来たら

命が突然惜しくなる

投げ出すには

あまりにもこの命は

美しすぎる

化石みたいに

見知らぬ宇宙に

放り出されて

膨大な時間を

かけてどこかで

僕の名前を

ふいに思い出した

人の記憶に

魚みたいに

泳いでいたい

ほんの少しだけ

だから今に

雨みたいに

アスファルト

穿つように

叩きつける

足跡のステップ

軽やかに

この身を翻し

いつかこの焦燥が

この苦悩が

花となる日を

雲となる日を

ひそやかに待ちわびている

抱きしめた悪意は　いつか

優しさとなるでしょう

誰かがそう　呟いてくれる。