マガジンのカバー画像

アンチワーク哲学【ホモ・ネーモ】

162
「労働なき世界」を実現するため「アンチワーク哲学」を紹介するマガジン。なぜ、誰1人労働しない世界が可能なのか? を徹底的に考察しています。
運営しているクリエイター

#雑記

洗濯機は人類に必要なかったのかもしれない

洗濯機は人類に必要なかったのかもしれない

僕は洗濯があまり好きではない。洗濯機に放り込んで回し、干して、畳む。この行為が嫌いすぎて、洗濯しなくていいシャツを購入したくらいだ。なんなら全身洗濯しなくていい服で固めたいとすら思っている。

しかし、この前、おねしょした息子のパジャマを手洗いしているときに感じた。この作業、意外と楽しい、と。

服を縫製する作業もそうだけれど、服を手洗いするときも、服をよく観察できる。言い換えれば、作業を通じて服

もっとみる
申し訳程度のメンバーシップ記事(近況報告)

申し訳程度のメンバーシップ記事(近況報告)

※メンバーシップ限定の近況報告である。悪しからず。

パトロンを募集するという名目でメンバーシップを開始し、ありがたいことに数名の方が登録してくれた。僕は初めに断っておいた。これは単なる贈与であって、僕が何かサービスを提供して、その見返りに金を払ってもらうような関係性ではない、と。

だから別に僕にはなんらメンバーシップ運営に関する義務はない。しかし、せっかく贈与してくれているなら、なにかしらお返

もっとみる
もっと時間さえあれば?

もっと時間さえあれば?

人生の大半を仕事で埋め尽していると、まとまった休みをとって仕事以外のことがやりたくなるのが普通だと思う。

その内容は人によって様々だ。小説を書くことかもしれないし、カフェをオープンすることかもしれない。サイバーパンク2077を日がな一日プレイすることかもしれないし、草野球に没頭することかもしれない。大抵の人はこういったブループリントが複数存在するはずだ。きっと永遠に叶えられることのないブループリ

もっとみる
実りの秋は、苦行の季節か?

実りの秋は、苦行の季節か?

畑を借りている農家のお宅に生えている柿の収穫を手伝った。半分は甘柿で、半分は渋柿。甘柿はそのまま食べ、渋柿は干し柿にする予定だ。

世界の農民たちが年がら年中祭りをやっていた気持ちも理解できる。収穫はさながら祭りである。「もうすぐ収穫だね」なんて話をしながら収穫の日を待ち侘びて、当日になれば子どもたちと一緒になって、柿の木からチョキチョキとみのりをもぎ取っていく。ちなみに「やったー、とれたー!」と

もっとみる
この社会では、役に立つ事業をやっていたら経営破綻するらしい

この社会では、役に立つ事業をやっていたら経営破綻するらしい

テレビを観ていたら大阪ガスが宅食サービスを始めるというニュースがやっていた。

献立を考えるのがめんどくさい人や、そもそも料理や買い物がめんどくさい人のためにサービスを始めたらしい。そのサービスでは食べたいメニューを選ぶという手間すらも肩代わりし、いくつかのアンケートに答えるだけで自動で好みにあった料理が届くとのこと。そんなことを大阪ガスのお偉いさんと思わしき人物が会見で話していた。

サービス過

もっとみる
労働論の限界と、労働の再定義

労働論の限界と、労働の再定義

■巷の労働論の弱点労働というテーマで膨大な紙幅(ビット幅?)を費やしてきた僕が言うのも憚れるが、労働というテーマを1人の論客が論ずるのには限界がある。そのことに最近、労働をテーマにした本を読み漁っていて気づいた。

そもそも「労働」という言葉が意味する範囲が広すぎる。僕が定義する「経済活動」と「政治活動」の区分が十把一絡げにされているだけでなく、ブルーカラーとホワイトカラーもごった混ぜだ。もちろん

もっとみる
食べることは生きること、ではない

食べることは生きること、ではない

「食」という領域が神聖視され過ぎていると感じている。

これはおそらく戦時のトラウマが、僕たちを食事依存症とでも呼べる状況に追い込んでいるように思う。『火垂るの墓』や『はだしのゲン』に出てくる子どもたちは、おはじきをドロップだと思い込むくらいに常に飢えていたし、日本軍の死因の大半が餓死だったことも有名な話だ。だから、「食べることは生きること」「食べていくために働かなければならない」といった食事至上

もっとみる
アナキストがベーシック・インカムを主張するのはどういうわけか?

アナキストがベーシック・インカムを主張するのはどういうわけか?

アナキストであるデヴィッド・グレーバーは、著書『ブルシット・ジョブ』の中で、ブルシット・ジョブを撲滅するための手法としてベーシック・インカムを提案した。

ベーシック・インカムとは、いわば福祉国家の究極形態だ。全国民に対して一定額の金を配り続けることで生活を保障するのだから。絶対的な国家が国民に恵みをもたらし支配する構造、と捉えることは、さほどネガティブな見方でもあるまい。

しかし、ここで疑問が

もっとみる
コンビニとサボリーマン

コンビニとサボリーマン

トラックに乗ってあちこちに行く仕事を始めてから、コンビニの有り難みがよくわかる。車を停めてゆっくりコーヒーを飲めるスペースなど、そうそうあるわけではない。よく行くルートにある駐車場つきのコンビニはだいたいチェックし、配達を終えて一休みするのがルーティーンと化している。

すると気がつくことがある。周りも似たような人々ばかりであることに。営業車で昼寝するスーツ姿のビジネスマン。弁当を食べるトラックド

もっとみる
眠いから仕事を休むことにする

眠いから仕事を休むことにする

僕は最先端のトレンドに敏感な男である。

最近はナウなヤングの間で流行っていると噂のバチェラーのシーズン1を観ていた。11時。見終わって、結果になんだか心が揺れ動いている中で寝ようとしたら全然寝付けなくなってしまった。

明日は仕事だ。6時には起きなければならない。しかし、眠れる気配が全くない。11時にはベッドに入ったが、今は深夜3時である。

無理だ。仕事は休もう。

僕は車を運転しなければなら

もっとみる
Kindleペーパーバック出版の心得(メモ)

Kindleペーパーバック出版の心得(メモ)

本を出したい人にとってはいい時代である。

Kindleダイレクトパブリッシングの仕組みを使えば、パソコンとネット環境さえあれば、誰でも電子書籍や紙の本を、在庫リスクゼロで出版できるのだから。

もちろん、だからと言ってカップ麺感覚で本を作れるのかと聞かれれば、それは違う。僕は170ページくらいの比較的コンパクトな紙の本を出したわけだが、それでも執筆からページレイアウト、装丁まで合わせて20〜30

もっとみる
能力主義と効率主義と酸素ボンベ

能力主義と効率主義と酸素ボンベ

まずはじめに一言宣言してみよう。

男女や人種によって能力に差はある。と僕は思っている。

いや、わかっている。それは機会の不平等などを経て社会的に構成された事実であって、実際の能力の差ではないという主張はもっともだと思う。

だがそれでも、仮に全男性と全女性の生まれつきの能力の平均値を出すことが可能だったとすれば、両者が完全に一致することはあり得ない。このことは疑いようがないだろう。

いや、わ

もっとみる
労働って楽しいよね(笑)

労働って楽しいよね(笑)

『労働なき世界』などという本を出版するくらいなのだから、あたかも僕が労働が嫌いで嫌いで仕方ない怠け者であるかのような印象を持っている人もいるかもしれない。

しかし、実のところその印象は誤りである。僕はなんやかんや、働くのが好きなのだ。

前の仕事はライターでホワイトカラーで広告業界なので、ブルシットジョブ気味な仕事だったのだが、それはそれで楽しめたのだ。取材を通じた思いがけない出会い。コアな価値

もっとみる
食の祝祭性と生命維持

食の祝祭性と生命維持

人間が生きていくにあたって必要な食事量は、恐らくそこまで多くない。全人類が食事量を今の半分に減らしても、餓死する人はわずかだと思う(むしろ健康になる人の方が多いはずだ)。

「食べること」とは、ほとんど祝祭的な楽しみや、コミュニケーションの口実として機能している。あるいは、必要以上の「食べといた方がいい」という義務感によって駆り立てられている。

食の大部分は、おそらく過剰なのだ。

僕は以前、1

もっとみる