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空の公園|写真|散文

なぁ…… どっか行かないか?

僕のなかの誰かが、そう言ったのは
きっと、忙しい日々のなかで
忘れそうになっている大切な何かを
取り戻すためだったんじゃないかな……

空へと続いていくような場所に
優しい香りの花が咲いていた……

チラシに騙された、と不貞腐れたキミの
拗ねた横顔に思わず笑みがこぼれる

牡蠣はどこ?

小さな唇をツンと尖らせて僕をにらむ
ごめんごめん、僕だって騙された側だよ
けど、きっといいことあるからさ……

…………ほら、ね?

僕のなかのキミは
全く興味なさそうに視線を逸らす
だよね、釣らないし要らないし
まず映画を観てな……

あ、みつけた!

キミの瞳が跳ねあがり僕は言葉を呑んだ

立て看板から少しだけ離れた場所に
それは静かに佇んでいた
僕たちが探していたのはきっとこれだ
大切なこと、大切なものは
いつだって心のど真ん中に眠っている

振り返ったキミが優しく微笑み頷いて
僕と僕のなかのキミはひとつになった

大切なひとのために鳴らす鐘の音が
深く澄みきったアオに吸い込まれていく

大丈夫だよ、
なにも心配なんてしなくていい……

あなたのその願いを叶えてあげる……

『幸せの鐘』その鐘の向こう側
どこまでも広がる大海原は約束をくれた

遠く離れた、僕の大切な片割れが
ずっと笑顔を忘れず過ごせますように

そして、今日この記事を読んでくれた
すべてのひとが幸せでありますように

僕の大好きなひとに涙は似合わない……

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