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国立劇場桜便り& 南座花形歌舞伎かぶきDOU解説②其の49アフタートーク

いつもかぶきDOUをお聴きいただき誠にありがとうございます♪
放送前日に国立劇場の方から素敵な桜のお便りを頂きました📷🌸
現在再整備のため閉場中の東京千代田区の国立劇場で十二代目市川團十郎さんが植樹された熊谷(くまがい)桜が咲き始めたそうです!
この桜は国立劇場開場45周年記念の歌舞伎公演「一谷嫩軍記」で熊谷次郎直実を勤められた十二代目團十郎さんが植樹されました。他の桜に先駆けて咲くことから一ノ谷合戦で先陣争いをした熊谷直実にちなんで熊谷桜という名がついたそうです。十二代目團十郎さんの面影に出会える私の大好きな場所であります…
例年ですと、さくらまつりが行われ美しい花々を楽しめる国立劇場ですが閉場中も桜をご覧いただくことができるそうです!
国立劇場のHPにはさくらの開花情報やお花見に関するお願いも掲載されていますのでそちらを参考にぜひ足をお運びください♪


忍夜恋曲者 将門かぶきDOU解説

かぶきDOUでは南座で開催中の三月花形歌舞伎についてお伝えしております。
まずは、松プロ桜プロ共に上演されています歌舞伎舞踊 忍夜恋曲者(しのびよるこいはくせもの)将門(まさかど)についてです。
初演は1836年(天保7年)江戸市村座です。世善知鳥相馬旧殿(よにうとう そうまのふるごしょ)の大詰に上演されました。
女方の大役といわれる主人公の傾城如月実は滝夜叉姫を中村壱太郎さんが初役で勤められています。
大宅太郎光圀(おおやのたろう みつくに)を中村隼人さんが松プロ尾上右近さんが桜プロで勤められます。

ほぼ出ずっぱり 相反する2つのお役

謀反者として亡くなった父 平将門の意志を継いで妖術使いになった滝夜叉姫。
将門は日本三大怨霊の1人として有名です。大人気アニメ呪術廻戦で登場人物の先祖として出てくる菅原道真。2人目が崇徳天皇、そして3人目が平将門です。
もう一つのお役、如月は島原の妖艶な傾城(位の高い遊女)です。
舞台にほぼ出ずっぱりの状態でこの二つのお役を演じ分けなければいけない点が大変難しいところだと思います。

それでは大まかなあらすじをご紹介します かぶきDOU解説です!

雨が降る夜、舞台には暗くさびれた古い御所。ここ相馬はかつて平将門が栄華を誇った場所です。

傾城如月の出


煙と共に花道のスッポンから如月実は滝夜叉姫が現れます。スッポンから現れるのはもののけの証です。遊女の恋模様を常磐津にのせて如月が傘をさしながら舞っていきます。暗い花道をつらあかりと呼ばれる、柄の長い蝋燭たて、で如月を照らして怪しさと美しさを際立たせます。

光圀の出

この古御所に妖術を使うくせ者が出るとの噂があり、将門の残党ではないかと睨み討伐しにきた源氏方の光圀でしたが、なぜかこの古御所につくと意識が遠のいてしまいました。声をかけてきた京都 島原の傾城を名乗る女を怪しみます。如月はしなやかで妖艶な所作で光圀をクドキはじめます。
如月への疑念が晴れない光圀は、平将門の合戦の顛末を物語ります。

如月の様子が徐々におかしくなり父の無念に涙する様子が客席にも伝わります。その様子に気づいた光圀がなぜ涙するのか尋ねると、如月はうまくごまかして廓の様子を語り再び怪しい色気で光圀を誘惑します。 
はずみで袖から落としてしまった錦の御旗で光圀に正体を見破られてしまいます。

正体をあらわす滝夜叉姫

悔しがりながら傾城のシンボルでもある大きなかんざしを自らの手で引抜き、後見が着物に仕込んだ糸を引っ張ると新たな衣装とその正体が現れる「ぶっかえり」で滝夜叉姫となります。開き直る様がかっこいいです!
「光圀、そちの命を断つ!覚悟しイヤー」と啖呵を切って大立ち廻りとなります。姿は如月のままで美しいのですがキャラクターのあまりの変わり様とその強さに常磐津が光圀の様子を「流石の勇者もたぢたぢたぢ」と表します。
大勢の捕手を相手に滝夜叉姫が大暴れです。
そして光圀との一騎打ち。古御所前から移動して花道で2人が戦うシーンが錦絵のように美しいです。再び2人が古御所の前に戻ると、煙が出て滝夜叉姫が姿を消します。
稲光と共に、大ガマが登場!その妖術に捕手たちも太刀打ちできません。がんどう返しで屋根が落ちてくると、大ガマに乗った滝夜叉姫が現れ錦の御旗を手に、光圀と見得で決まって幕となります。

五感をフルに使った演出

桜プロ松プロそれぞれで中村壱太郎さんが五感をフルに使った演出を生み出されています!ピックアップしてご紹介します。

◎漂う香り

◎将門の代名詞でもあるつらあかりの蝋燭の登場のタイミング

◎滝夜叉姫へのぶっかえりの衣装

◎手拭いの比翼紋(ひよくもん)…ペアで演じられる歌舞伎役者さんそれぞれの家紋をあしらった紋のこと

◎光圀との立ち廻り

◎幕切れの演出

松プロ桜プロで違いを楽しんで頂きたいですね☆詳しくは中村壱太郎さんの公式インスタグラムに載っていますのでぜひご覧ください!


心中天網島 河庄 〜松プロ〜かぶきDOU解説

今年は近松門左衛門が没後300年ということで松プログラムでは尾上右近さんが心中天網島 河庄紙屋治兵衛に挑戦されています。ここからは河庄のあらすじについてかぶきDOU解説です。

主な配役です。

紙屋治兵衛(じへえ)   
尾上右近 音羽屋

粉屋(こや)孫右衛門
中村隼人 萬屋

丁稚三五郎(さんごろう)
上村吉太朗 美吉屋

河内屋お庄        
尾上菊三呂 音羽屋

紀の国屋小春
中村壱太郎 成駒家
他の皆様です                              

舞台は大坂の花街、北新地の「河庄」です。この物語の主人公、紙屋治兵衛の元で奉公している三五郎が治兵衛の恋人のお春に手紙を届けにきました。お春は曽根崎新地の遊女です。
手紙の主は治兵衛の妻おさんからでした。そこには「夫と別れてほしい」としたためられていました。「すぐに返事を…」と三五郎に頼まれ小春は決心をして返事を書き「誰にも見せぬように、おさんさんに渡してください」と頼みます。
三五郎は「御家はん(おさん)が手紙を誰にも見せないようにと言っていた」と告げます。
小春は大事そうに治兵衛の妻おさんからの手紙を懐に入れて「安心してくださんせ」と伝えるよう三五郎に頼みます。手紙には一体どんなことが書かれているのでしょうか?
「太兵衛という男に身請けされる噂があるれけど…」と小春は、お庄に尋ねられます。廓でも悪評の高い太兵衛との話に「死んだ方がマシ」と迷惑する小春です。
そこに例の太兵衛善六をひき連れてやってきますが、お侍とのお座敷があるからとお庄が断るもヅカヅカと上がり込みます。
そこにやってくるのは今宵のお客である蔵屋敷の侍です。
浮かない表情の小春はいきなり、客の侍に効率的な命の絶ち方を聞く始末です。お庄がなんとかその場を取り繕います。

紙屋治兵衛 花道の出

花道から紙屋治兵衛が登場です。頬被り姿で足元がおぼつかない様子が見せ場となっております。片方の草履が脱げて履き直し花道を振り返るさまに治兵衛の心の内が伝わります。
河庄に小春が来ているとの噂を聞きつけて治兵衛は一目会いたさで向かっているのです。
玄関の隙間から覗くと小春の痩せた顔を見つけ、治兵衛は二人でどこに飛ぼうか思案しながら客との話に耳を傾けます。
思いつめた表情の小春を案じて侍は「10両くらいは用立てられる」と告げます。今でいうと100万円くらいの大金です。小春は涙を流し「治兵衛という男と心中する約束がある。その邪魔をしてほしい。期間を伸ばせば命も助かります。なんの因果で約束したのか…」と嘆きます。
小春は気づいていませんが、この会話はもちろん治兵衛の耳にも届いてます。治兵衛が手にする手ぬぐいが効果的に怒りをあらわします。怒りに狂った治兵衛は障子の間から小春を狙って脇差(刀)を突き刺します。
侍は脇差を奪い治兵衛の手首を掴んで格子に縛り付け小春を奥に逃がします。
脇差が治兵衛のものとわかり小春は驚きますが、大目にみてほしいと侍に懇願します。
そこに花道から小春に横恋慕する太兵衛たちがやってきます。格子に手をくくられている治兵衛に「二十両の金かえせ」と詰め寄る太兵衛です。人だかりできて大騒ぎとなります。止めに入った侍が治兵衛の借金の証文を見せるよう促します。侍がそれを破り捨てると、なぜかその20両を肩代わりして太兵衛に払います。
「言い分がなくなったらこれ以上、治兵衛を盗人呼ばわりするな」と侍がいなすと、太兵衛たちが花道から去っていきます。
侍は治兵衛の格子にくくられた紐を外し「頭巾を外した自分の顔を見よ」といいます。顔を見るなり治兵衛は「あんた兄さん!」と驚き逃げようとします。

河庄の侍客は治兵衛の兄

侍の正体は治兵衛の兄 孫右衛門でした。孫右衛門は治兵衛を河庄に連れ戻します。小春がかけよると治兵衛は顔を見るなり殴る蹴るの狼藉を働きます。
孫右衛門は、6才と4才の子供の親でもあるのに家業を傾かせてまで遊女に入れ込む治兵衛を叱ります。
実は治兵衛と女房おさんはいとこ同士です。伯父でもある舅が治兵衛の曽根崎通いを憂い、娘のおさんを連れ戻して大坂天満中に触れ渡すと激怒しています。
それで侍のふりをして兄は治兵衛が入れ込む小春に会いに来ていたのでした。情けなさに泣き崩れる兄です。治兵衛は涙を押し拭い土下座であやまります。

治兵衛と小春の出会い

3年前の天神祭りで治兵衛は友人に連れられて新地に来て小春と出会いました。
小春に横恋慕する太兵衛からの身請け話が出てきてしまいました。治兵衛は「二人で心中しようと言い交わし今度会う日が二人の最期日と。よくも3年も騙してくれた!」と小春をなじります。

天罰起請文がきっかけで…

治兵衛は小春を思い切った確かな証拠として天罰起請文を袂から取り出します。これは心変わりしないよう全国の神様に誓い、月初めに血判をつけてお互い取り交わすもので治兵衛と小春は29枚もこのやり取りをしていました。
「渡した分を小春から返してもらおう!」と治兵衛に急かされ兄が小春の懐から無理に取り出すと、先ほど大切にしまった治兵衛の妻おさんからの手紙が出てました。兄は何かを察し治兵衛を退席させます。
その手紙を読み、小春の愛想尽かしが治兵衛のためであったと気づく兄でした…

放送時間の都合でここまでとなってしまいました。次回の放送で心中天網島 河庄の後半をお届け致します。


縁の一曲〜五代目中村米吉さん


歌舞伎役者さんにゆかりの曲をお届けする縁の一曲のコーナー。
今回は5代目中村米吉さんでした。米吉さんは3/8に31歳のお誕生日を迎えられましたおめでとうございます!
現在ご出演中の新橋演舞場スーパー歌舞伎ヤマトタケルが3/10昼の部で通算上演回数が1000回を迎えられました✨
3/15まで新橋演舞場では上演1000回を記念した特別ポストカードの配布もあるそうです。
10月博多座ヤマトタケルでは米吉さんは中村壱太郎さんと交互でのご出演です、楽しみにしております!
米吉さんは今年1月にご入籍とおめでたいことが続いていらっしゃいます✨✨✨
米吉さんのカラオケの十八番は美空ひばりさんのお祭りマンボだそうです!

生憎、コミてんライブラリーに音源がなく申し訳ありませんでした…一部アレンジされたカバー曲♪忍者 お祭り忍者をお届けしました。


めでてえなぁ 3/6〜3/12

お誕生日を迎えられます歌舞伎役者さんをご紹介するめでてえなあのコーナー。3/6から3/12がお誕生日の皆さまです。
お名前と所属 屋号をご紹介します。五十音順となっておりますのでご了承ください。


3/7 坂東竹之助さん
音羽屋

3/8中村松江さん
加賀屋

3/8中村米吉さん
播磨屋

3/12中村春希さん
中村魁春一門

今回は4名の皆様でした。お誕生日おめでとうございます!


3/12アーカイブはこちらからどうぞ

※権利の関係でYou Tubeには音楽BGMが入っておりません。ご了承ください。

次回は3/19(火)午前10時からコミてんFM77.7Mhzで生放送です!リスラジListen Radioというアプリ、コミテンYouTube生配信でもお楽しみいただけます


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