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千穐楽6月博多座大歌舞伎かぶきDOU其の63アフタートーク

6月博多座大歌舞伎は6/17が千穐楽でした。私も昼夜観ましたので翌日の生放送は興奮冷めやらぬ状態でのレポートでした。
タイトル画はシネマ歌舞伎で上演中の桜姫東文章のクリアファイル(私物)と博多阪急の北野エースで6/15迄お目見えしていたカレーなる本棚公式アンバサダー尾上右近さんの等身大パネルです♪  

右近さんによる味のコメント付き

6月博多座大歌舞伎で大活躍の右近さんはカレー好きで有名ですね!

HAKATAZA LOUNGEさんの
博多座カレーも
フルーティで美味でした☆

修禅寺物語

昼の部演目はじめは修禅寺物語坂東彌十郎さんが面作り師の夜叉王を勤められました。
今回私は3回昼の部を観劇しましたが際立つのは景色の美しさです。初めのシーンは夕暮れのカナカナゼミの鳴き声。日没になるとどんどんと虫の鳴き声が大きくなっていく…
源頼家(尾上松也)夜叉王の長女 桂(坂東新悟)が桂川で語り合うシーンでは満月が浮かび白い水しぶきも輝きだして修善寺の自然が美しかったです✨
しかしその後物語は急展開を迎えます。夜叉王が面を何度作っても浮かんだ死相の通り、頼家が北条側に討たれてしまいます。
その面を被り頼家の身替りとなって瀕死の状態で屋敷に戻ってくるのが桂です。夜叉王の求めに応じて桂が最後の力を振り絞って父に顔をむけるのがクライマックスですが、緞帳が降りるスピードに合わせて坂東新悟さん勤める桂の瞼がとじていく様子に気づきました!
現代劇に近いセリフ運びや繊細な心の動きが夜叉王をはじめ登場される皆様の小さな所作からも伝わってきました。



身替座禅

山蔭右京( 尾上松也)の感情が動くたびに客席から笑いが出ていました! 奥方玉の井(坂東彌十郎)も可愛らしい様子でのご登場です。 船乗り込みの式典で「笑わせるつもりはありません」と話されていた彌十郎さんですが、いつものイメージとの強烈なギャップにご登場から客席より笑いが溢れていました。
※やはり千穐楽も彌十郎さんの玉の井がNHK大河ドラマ鎌倉殿の13人の「りく」にみえました

太郎冠者(尾上右近)に身替りを押しつせて愛人の花子に会いに行くルンルンと心躍る感じや、逢瀬の後に花道を戻って来る右京の酔いどれる様が「さぞごきげんなお酒だったのだろうなぁ」と思わせてくれる花道の幅いっぱいをつかってのダイナミックな動きで千穐楽は完全に松也さんの山蔭右京で愉しませて頂きました!


恋飛脚大和往来 新口村

昼の部最後の演目 恋飛脚大和往新口村では中村梅玉さんが亀屋忠兵衛と、父の孫右衛門2役を勤められました。
まずは留守番を頼まれて忠兵衛が傾城 梅川(中村扇雀)と昔馴染みの忠三郎の家の中に入る際に、玄関にかかるのれんを梅川の髷に引っかからないように忠兵衛がそっと手であげる所作がとてもスマートでした☆
追われる身でありながらも梅川に気を配れる優しさが梅玉さんの忠兵衛から素敵に滲み出ていました。
家の前では万歳(中村虎之介)才造(中村玉太郎)百姓水右衛門(中村梅蔵)と出会います。
千穐楽に梅蔵さんから「博多座6月大歌舞伎 何事もなく千穐楽を迎えられました」とあり万雷の拍手となりました。
虎之介さんと玉太郎さんによる大和万歳のご披露は、雪道を意識した難しいステップかと思いますが千穐楽も呼吸の合った綺麗な舞でした。
その間に舞台から花道に移動しての中村梅玉さん早替りの二役目 忠兵衛の父 孫右衛門となります。 花道の出で孫右衛門がゆっくりとセリフもなく歩きます。
番傘にリアルに雪が降り積もり、時折ゆらしておとす様子や、うつむき加減の表情が憂いを帯びていました。
最後の忠兵衛と梅川の見送りまで2度と会えない切ない親子の情愛が溢れた舞台でした。
Youtubeご覧の方はお気づきかと思いますがこの演目にちなんで東京 麻布十番の麻の葉さんのご協力で、手ぬぐい原画作家 大城戸建雄さんの作品 恋飛脚大和往来 新口村の手ぬぐいをスタジオに展示させて頂いております。
実際に飾ると、追い詰められて逃避行する忠兵衛と梅川の心情と父 孫右衛門への想いが手ぬぐいの中からこちらに伝わってきます。 博多座客席1F売店でのみ数量限定販売でしたがおかげ様で千穐楽を前に完売となりました。
今月いっぱいかぶきDOUのスタジオに展示させていただきますのでYoutubeで今月の演目を振り返りながらお楽しみ頂けたら幸いです。
そして6月20日㈭~7月25日㈭に丸善博多店文具スペース麻の葉さんの手ぬぐい展も開催されますのでぜひ足をお運びください♪


通し狂言 東海道四谷怪談

夜の部 通し狂言 東海道四谷怪談
序幕から大詰そして切口上まで、千穐楽で特に気になったところをピックアップしてご紹介いたします。

序幕で お袖(坂東新悟)と与茂七(尾上右近)が地獄宿で思いがけず再会のシーン。
互いに嫉妬したり、ねんごろになったりと微笑ましいやりとりに客席からも笑いが出ました。

二幕目では 尾上右近さん勤めるお岩が毒薬のせいでどんどん恐ろしい顔に変わっていく様をあん摩宅悦が側でみていますが、絶妙な塩梅のリアクションで市村橘太郎さんが魅せてくださいました! 宅悦のおかげで物語全体が暗くなりすぎず進んでいきます。
伊右衛門(尾上松也)がお岩を誘惑するよう宅悦を脅迫したり、お梅(中村莟玉)との内祝言の支度金にしようと、赤子にとって大切な蚊帳やお岩の着物などを奪い取ります。 必死に制止するお岩でしたが、伊右衛門が戸口まで来たところでドスのきいた大きな声でお岩に「離すなよ〜」といって突き放すシーン!千穐楽では観ていて本当に心の底からひどいと思いました…
お岩が伊藤家の毒薬のせいで顔が醜くなる過程で、どんどん浮世絵でみるお岩さんに近づいているようで恐ろしいほどの変貌ぶりでした!
さらに右近さんはお岩から小仏小平に早替りです。 押し入れに監禁されていた際にすべての事を知った小仏小平に伊右衛門がお岩との不義密通の罪をなすりつけて殺害します。
松也さん勤める伊右衛門の色悪が炸裂していました。

大詰では伊右衛門は百日(ひゃくにち)という、まさに百日も髷をお手入れしてないような爆発しているような髪型になるほど、お岩や小仏小平の怨霊に取り憑かれて消耗しています。
ここの右近さんの早替りのスピードも早かったですね!
お岩の怨霊が、伊右衛門とその関係する人たちをある意味「ざまあみろ」といった感じで苦しめていく様が痛快に感じました。
場面転換で照明が落とされた客席後方からお化けや、伊右衛門の仲間 長兵衛(中村山左衛門)が登場し、暗がりで観ているお客さんを驚かせる仕掛けがあったりと物語が沈みすぎず、暗くなりすぎないところがとても良いと思いました!
仇討ちの場ではお岩から佐藤与茂七に早替りした右近さんが花道からご登場で伊右衛門との一騎打ちとなります。
松也さんの、千穐楽終わらせたくない!or伊右衛門ここにあり!という思いだったのでしょうか?
最後は伊右衛門のかなり激しい抵抗があり、なかなか決め討ちできず与茂七からは笑顔が浮かぶほどでした。
クライマックスでは今回の博多座東海道四谷怪段での目玉ともなりました大量の紙吹雪が降り注ぎました。
切口上では「当月はこれにて!」と右近さん、松也さんお二人の挨拶の後、幕引きとなりましたが 拍手なりやまずというか拍手を止めたくない気持ちになりました… カーテンコールとなり客席はスタンディングオベーションに!
お二方とも驚いた様子でしたが、尾上松也さん、尾上右近さんともに 「四谷怪談で博多座に帰って来たい!」との思いを語られました。
松也さんは「その前に歌舞伎座に!」とも話されました 。
右近さんは通し狂言で3役を勤められた直後でしたが、疲れを感じさせない歌舞伎愛溢れる元気いっぱいのご挨拶でした。
右近さんの明るさと、ご出演の皆様や裏方さんとのチームワークで東海道四谷怪談が千穐楽を無事に迎えられたのだと感じました。

船乗り込みの式典では、かつて博多座公演でとんこつラーメンと出会い15キロ体重が増えてしまった逸話をご披露された松也さんでしたが、千穐楽ではお顔がシャープになられていました。
松也さんも昼夜で出番が多くさぞお疲れかと思いましたが、四谷怪談のカーテンコールの後、 幕がお二人の前を閉まりきる直前に紙吹雪を雪合戦のように客席に投げてこられました!
それほどすごい量の紙吹雪だったわけですが、楽しそうな様子を見て松也さんと右近さんの驚くべきスタミナを感じました☆
博多座では22年ぶりの通し狂言でおよそ200分にもわたる東海道四谷怪談は、配役が絶妙で、怖いシーンは寒気がするほど恐ろしくまさに博多座開業25周年記念にふさわしい公演であり、歌舞伎の新たな歴史の1ページが刻まれた瞬間に立ち会えたような気がしました☆

いかがでしたでしょうか?少しでもリスナーの皆様に千穐楽の雰囲気をお裾分けできましたら幸いです。 以上6月博多座大歌舞伎千穐楽のレポートをお伝えしました。


公演かわら版


博多座来年2月上演の歌舞伎NEXT朧の森に棲む鬼の情報です。 2007年に上演された不朽の名作が松本幸四郎さんと尾上松也さんのダブルキャストにより甦ります。今回スタジオにも展示しましたがかっこいい特製チラシもお目見えしました!

折りたたむと筋書サイズになります

公演は来年2/4初日、2/25千穐楽です。 チケットは年内の12/14、午前10:00より販売となります。


映画かわら版


2021年歌舞伎座で36年ぶりに上演され大変な話題となりました、片岡仁左衛門さんと坂東玉三郎さんのゴールデンコンビの桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう)がシネマ歌舞伎で上映中です!
キャッチフレーズは
恋の因果を描いた、歌舞伎史上最もスキャンダラスでドラマティックな物語 

私も観劇しましたがストーリーを知っていても興奮の大映ドラマよりも濃厚なストーリー展開です! 2022年に引き続きシネマ歌舞伎で公開となりました。

◎上の巻(じょうのかん)
福岡市では kino cinéma天神にて 6月20日 迄。

◎下の巻(げのかん)
福岡市では kino cinéma天神 にて7月12日~ 7月18日

シネマ歌舞伎のHPには役者さんのお役のこしらえの顔写真で人物相関図が掲載されていますので それを確認してご覧いただくとわかりやすいかと思います。上映期間が短いですのでお見逃しないようお願いします!




めでてえなぁ6/12-6/18

ここからは、お誕生日を迎えられます歌舞伎役者さんをご紹介するめでてえなあのコーナーです。 6/12から6/18がお誕生日の皆さまです。お名前と、所属 屋号をご紹介します。五十音順となっておりますのでご了承ください。

6/12 中村蝶也さん
中村歌六一門

6/16中村京妙さん
京屋

6/18中村亀鶴さん
八幡屋

6/18坂東八重蔵さん
坂東楽善一門


今回は4名の皆様でした。お誕生日おめでとうございます!


6/18アーカイブはこちらからどうぞ

次回は6/25(火)午前10時FM77.7Mhzで25分の生放送です。

※権利の関係でYou Tubeには音楽BGMが入っておりませんのでご了承ください




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