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梅雨和膳

中休み




拭う飲み口苦いは指の腹
染みて咲いた想いを委ね
唇に遊ぶ飴色の思い出に
麻衣網目越し仰ぐ旱梅雨
焼けた栞伝書蛍の幻影に
透けた人の面影なぞる夜
麦魚靡かせる鰭を追うは
酉の刻まで伸びる蜃気楼


癖に仕草が遠のく時薬


追憶の薫り胸を拭うは


短夜の候梅雨の中休み


※旱=読み方は"ひでり"
※麦魚=めだか


ゲリラのしらべ


焼ける夏


白線は黒鍵に線路は白鍵に


弾く音語手アルペジオの名
弦と指が影踏むは雨粒の色
染みた指の腹心音を靡かせ
纏うは奏でる追憶のしらべ
翔る五線譜に引き攣る息を
弾き手から聴き手のあいだ
ストロークに寄せては返す
驟雨音の乱舞狂喜のあめに
咲き荒れるはゲリラの豪雨



※アルペジオ=弦楽器の演奏法・語り方
※ストローク=弦楽器の演奏法・弾き方

あめのち靡くや


夏至の足跡追いあそび駆けるは雨簾


粒の群れをうかがえば向日葵の横顔


前ならえ胸張る日照りに仰ぐ蕾かな


向ける情熱こころね宿すは種のかず


見えない陽を見据え見聞きする花弁


あおいに靡かす日向葵の衣麗しき風



※簾=読み方は"すだれ"
※日向葵=ひまわり


今回の梅雨に関するpoem(詩)は以上です。
※どちらもX(旧Twitterにて投稿済みです)

見つけてくださいまして、ありがとうございました。失礼します。

kabocya

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