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ビュッフェ開発担当者のジレンマ、「お客の満足度」ともう1つの「大切なこと」。

あなたにとって外食で重視するポイントはどんなことがありますか。

まず、おいしいのは当たり前だと思いますが、それ以前に衛生的で安心安全なことも当然です。見た目の華やかさだったり、産地や製法にこだわった厳選素材も魅力的ですよね。

料理だけでなく、そこに店内の雰囲気やロケーションといった場の空間、
また、スタッフの素敵なサービスやコミュニケーションだったりも食事の価値に含まれることでしょう。

それらすべてに店側はコストをかけていて、
そのコストが生み出す価値がお客の期待を上回れば上回るほど「コスパ」が良いと受け取られ、その結果として、「満足」や「感動」が生まれます。
それが原動力となって、また利用した人の「口コミ」といった宣伝や「リピート」による顧客化が店舗の売上を支える、
という構図になっているわけです。

つまりは、「コストと価格のバランス」が絶妙であること、
そして、その「コストが生み出す価値の最大化」こそが繁盛の肝
ともいえます。

まぁ、当たり前といえば当たり前なんですが、
この大切な本質をついつい忘れがちな人たちが多いせいで
思うような売上が立たない。
頑張ってるのに結果が出ない、というような状況が生まれてしまうため
外食産業が常に新陳代謝を繰り返している根本ではないかと
思わざるを得ません。


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「価値」とはレベルとバランスの大きさ

私の勤めるホテルの部屋にあるタブレットにあるアンケート項目で、レストランだけの項目に絞ると5つの質問があり、以下の内容です。

①朝食 店内の雰囲気
②朝食 スタッフの応対・態度
③朝食 お料理・お飲み物の味や質
④朝食 店内の清潔さ
⑤朝食 価格に対する満足度

非常にありがちな質問ですが、これを1点~5点つけていただき、それを数値化して上層部が営業内容の良し悪しの判断材料の一つに活用するわけです。現場にもこの数字は毎月フィードバックしてもらい、ミーティングでグラフ化なんかして対策だの議論するのですが、どうもしっくりこない感覚がずっとあるのです。

「この評価は本当に正しいのか」と。


まるでこれがお客すべてのニーズであるかのように扱われていますが、
この5項目だけで果たして十分なんでしょうか。

こんなありきたりなニーズを満たしたとして、どれだけ印象に残るでしょうか。これだけクリアしさえいれば他の競合と差別化していけるのでしょうか。

もちろんすべての項目を満点に近い営業水準を追求していくことは現場に求められている重要な要素だとは理解していますが、だとしてもそれはホテルレストランとしてはあくまで「当たり前」の域を出ないのです。

「それでいい」と言われてしまえばそれまでなんですが、ビュッフェ開発を任されている人間としては、常にそれらを食される「目の前のゲスト(お客様)」の存在があり、そのリアルな反応に日々さらされている環境の中でビュッフェと向き合っているわけで、拭いきれない複雑な思いがあるのです。

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「健康」と「外食」の両立は「AAA」の高難度

恥ずかしながら、長いことこの外食業に身を置きながら「食の健康」に関しては知識レベルも浅く、自ら実践していきた歴史は浅く、20年近い大半は「健康とは言えない食」を消費者に提供し続けてきた私。

この半年くらいでようやく糖質や揚げ物が健康にとっていかに有害かを自覚するようになり、自らの食生活を見直すようになりました。
結果として、3か月前と比べて7㎏近く減量しただけでなく、体調も良く、眠気やだるさも無くなり、肌つやも良くなって白髪もほとんど無くなりました。

「良い食事」がこれほどまでに「最高の体調」をもたらしてくれる効果を誰よりも実感しているのが私なんですが、この効果を自分だけでなく、誰かに伝えたい、発信したい、共有したい、という思いからこのnoteをまた再開しようと決めた経緯があります。

このnoteの記事を書いていくにあたって大事なことは、
やはりできるだけ生の一次情報であるべきだと私は考えます。
ただ、その最前線で「食」に関わる私の一次情報は先に挙げた「良い食事」にすべてがあてはまるわけではありません。

トランス脂肪酸を多く含んだ揚げ物や、糖質たっぷりのスイーツやワッフル、パンケーキ。防腐剤など添加物で加工されたベーコンやソーセージなどの加工肉や業務用食材。グルテン中心のパンや、精製されたごはん、など。
日頃私個人は口にしないものばかりがずらりと毎日ビュッフェ台に並んでいます。

もちろん、安心して食べられるものもたくさんあります。
新鮮な生の野菜、サラダ、トマト、豆類、オリーブ、
豆乳から作った自家製豆腐、納豆、ヨーグルト、味噌汁など発酵食品
焼き鯖や筑前煮、金平ごぼう、おくらの和え物など和食総菜
キウイ、ブルーベリー、りんごなどのビタミン・食物繊維豊富は果物
くるみ、アーモンド、カシューナッツなど素煎りのナッツ

これらは健康意識の高いゲストが安心してとれるものとして、
また私自身も積極的に摂取していきたいものとして、あえて用意しているものでもあります。

最も難しいのがここのバランス。
いかにもおいしそうなこってりしたものや甘いものたちは、多くの人たちの受けはいいのですが、非常に健康的でなかったりします。
そうなると健康を重視する人にとっては食べられないものばかりで、価値も魅力も減っていってしまいます。

かといって、ヘルシーなもの、素材中心で味付けもシンプルなものが中心になってしまうと、こってりしたものが好みな人たちにとっては、なんだか物足りない印象が残ってしまい、評価を落とす結果となってしまうのです。

この点が冒頭の「ジレンマ」の部分なんですが、どこにこれらのバランスの軸を設定するかが、私の役目なのだと最近は自覚するようになりました。
健康的な食を摂りたいという人の気持ちもわかるし、
ホテルの朝食くらい好きなものを好きなだけ食べたいという気持ちも理解できます。

結局のところ、私たち外食を営む者は顧客のニーズに「合わせる」ことしたできないわけで、扇動したりコントロールすることはできません。
健康に良くないとわかっていても、ある部分では提供しなくては商売にならない側面があります。

本当の意味で外食がお客に「健康」という価値をちゃんと届けられるようになるためには、まずは一人一人が「食」に関するリテラシーを高めていくこと、それを社会や教育で常識のレベルまで引き上げていくことが無ければ到達しえないのだと思います。

今は、書籍だけでなく、「youtube」やnote含めた様々なSNSで自ら情報を得やすい世の中にかつて以上になってきています。
私も微力ながらに、ソーシャルメディアを通して「食の健康」について発信していき、一人でも多くの方に食習慣を変えるきっかけになれればという思いで、またnoteを綴っていきたいと思います。


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