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「シアワセノカタチ」

恋愛小説の主人公みたいに
途中で何かあっても
最後には幸せになるんだと
そんな根拠もない夢を
信じていた十代のわたし

確かに幸せだったはずなのに
どうして予感のように
何かを恐れていたのだろう
夢中で駆け抜けていた
何もわかっていなかった二十代のわたし

どれだけ願っても叶わないことは
沢山あるのだと
シビアな現実に項垂れて
迷いばかりの毎日を
生きていた三十代のわたし

それから病を得て
五十代……

パートナーと寄り添って暮らす人達が
実は今でも羨ましい
わたしには持てなかった
この先も持てない幸せの形だから
幸せのお裾分けを貰いながらいいなぁと思う

けれど

幸せの形はひとつだけじゃない
それもまた知ったことで
この人生で出会えたひとたちを思えば
わたしは決して不幸ではなかった
いつもどこかで助けられていた

わたしはわたしのシアワセノカタチを
不器用な、わたしの人生を

愛おしいなと思ったりする


【詩集】「黄昏月幻想」つきの より

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