「観覧車」
そういえば
最後に観覧車に乗ったのって
あれは、いつのことだったんだろう
登りきった、てっぺんからの
一面に広がる景色や
小さく小さくなった人の姿
不思議なような怖いような気持ちで
ガラスにおデコをくっつけて
魅入られていたあの時は
誰と乗っていたんだろう
祖母と?両親と?恋人と?
家族で?子どもたちとも乗ったはず
なら、想い出の中のあの姿は
わたしなのか、子どもたちなのか
買い物帰りの夕暮れ時
ショッピングモールの屋上に見える
電飾(イルミネーション)がついた観覧車
ゆっくりゆっくりとまわっている
わたしは下から見上げている
もう乗ってみたいとは
思わなくなってしまった
わたしは下から見上げている
観覧車は、ゆっくりとまわっている
今、彼処(あそこ)には
どんな人が乗っているんだろう
夜が近づいてくる
観覧車の電飾(イルミネーション)が
ゆっくりゆっくりとまわっている
【詩集】「満月音匣」つきの より
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