【連載小説】「きみの手、ばりきれい」#8
俺個人のカリキュラムでは、午後からの授業は一コマだけだったので、四限の終わりに教務棟の前で明坂と落ち合うことになっていた。俺は三限目の『東洋美術史』の講義に出たあと、明坂との待ち合わせ時間まで、構内の図書館で時間を潰すことにした。
『地域研究』という全クラス合同の特別授業では、三つのグループに分かれ、それぞれの班で『京都三大祭』をテーマに発表しなくてはならない。この後、そのメンバーたちとの顔合わせがあった。
数日前、明坂との雑談の中で、俺がうっかりそのことを零してしまっ