01/記憶は中に取り込み、記録は外に刻むこと
<3,004文字>
【記事のポイント】記憶と記録は似ているようで、まったく違う活動です。そして、ビデオ登場以前は『覚えること=記憶』には特別な意味がありました。それはテレビ番組への『愛』でしたね 😊
第1章 モダン
1. 記憶と記録
記憶と記録がどちらがすぐれているかと言えば、その基準が「正しい情報のストック」という点では、まちがいなく記録です。
しかし、そういう味気ない比較ではなく、もう少しツヤのある話。
長嶋茂雄は記憶に残る選手と呼ばれ、王貞治は記録に残る選手と呼ばれました。
どちらが魅力的であるか、どちらがすぐれたプロ野球選手と思えるかは、人によって判断が異なるはずです。
10代の終わりに美術大学にすすんだわたしは、その進学過程もふくめて「ものをよく見て描く」という技術を学びました。
記録の技です。
何十枚ものデッサンを描いていく中で、絵を描くためには対象をよく観察しなければならない、と教えてもらいました。
いや、本当はもっと前から、小学校の図画工作の時間あたりから、目の前にあるものを見ながら描くことが当たり前になっていたはずです。
友だちの顔を描いたり、風景を描いたり……。
ここから先は
2,511字
現在の日本の文化がいかにしてつくられたかを、ルネサンス以来の大きな流れの中でひもときます。
文化史的セルフイメージ・アップ
10,000円
マインドブロックをつくり出しているのは、自分自身です。それが腑に落ちると、すべては一気に好転し始めます。ただし、つくり出す過程は『自分一人…
1975年には、時間意識の大きな断層があります。
そのことをテレビマンガをテーマにひもときます。
モダンの5つの仮面/日本人が歩いてきた道
3,000円
日本人の意識が、なぜ1970年代に大きく変わったのか? それは、ビデオの登場によって映像の視聴体験がまったく別の形になったからです。 ビデ…
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?