見出し画像

23/『巨人の星』のデカダンス

<3,663文字>

【記事のポイント】『巨人の星』『消える魔球』『宇宙戦艦ヤマト』『ワープ航法』は、デカダンスの文脈で捉えると、とても似ていることがわかります。



第3章/2. 世紀末と消滅の夢


少し話を急ぎ過ぎたかも知れません。
モチーフがデカダンスなのですから、その特質に即して時間を間延びさせるべきでしょう。

デカダンスのもっとも大きな特質とは、極小の時間の中に寄生し、細部にこだわることだからです。

結末までの限られた時間をどれだけ濃密に過ごせるかが、重要な課題でした。
全体の限界が、部分への耽溺をいやましに誘うわけです。


ヨーロッパにおいて、デカダンス文化がもっとも花開いたのは、19世紀末でした。
新しい世紀を迎えられないかも知れないという世俗的な恐怖がまずベースにあり、政治の混乱が不安をさらにあおりました。
迫りくる世紀の終わりに向けて、緊張感が徐々に高まっていきます。

ここから先は

3,299字 / 4画像

現在の日本の文化がいかにしてつくられたかを、ルネサンス以来の大きな流れの中でひもときます。

マインドブロックをつくり出しているのは、自分自身です。それが腑に落ちると、すべては一気に好転し始めます。ただし、つくり出す過程は『自分一人…

1975年には、時間意識の大きな断層があります。 そのことをテレビマンガをテーマにひもときます。

日本人の意識が、なぜ1970年代に大きく変わったのか? それは、ビデオの登場によって映像の視聴体験がまったく別の形になったからです。 ビデ…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?