【短編小説】 甘さがほしい。
久しぶりに、朝食を作ってみた。
目玉焼き二つにベーコン。
ジャガイモのポタージュにクルトンを浮かべた。
コールスローもある。
チンッ。
パンが焼きあがったようだ。
実家にいた頃はパン作りが趣味の時期もあったが、社会人になってからはずっと焼いていなかった。
レシピなんて、もうすっかり忘れたと思っていたが、意外と雰囲気で作れてしまった。
体は作り方を覚えていたらしい。
家にいる”だけ”と思われているんじゃないか。
あの頃、家族の誰も、毎日、”家にいるだけの私”を責めはし