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【運気を科学する】あなたは運が良いと思いますか?

パナソニックを一代で築き上げた松下幸之助は、面接で必ずこう質問した。

あなたは運が良いと思いますか?

この質問に対し、Noと答えた人物は全て落としていたそうだ。

調べてみると、結構今も企業の面接でこの問いを取り入れているところがあるよう。就活や面接のトレーニングでも聞いた事がある人もいるのでは無いだろうか。

今日は、この質問の意図を深掘りしてみよう。

運とは何か

運が良いとか悪いとかと言うと、スピリチュアルな話になりがちであるが、今日はそのような内容ではない。

そもそも運とは何だろうか。

どこか人は、運がないから恋人が出来ない、とか、運が無いから良い仕事が出来ない、とか、運が無いからお金が貯まらない、などと思ってしまいがちだが、そんな事はない。

私の考えでは、運などと言うものは存在しない。
運とは、確率と、人間の考え方による行動のポジティブな結果の量に過ぎない。

この考えに科学的に取り組んだ例があるので紹介しよう。

リチャード・ワイズマンの実験結果

有名な検証結果として、エジンバラ大学のリチャード・ワイズマン博士の実験がある。自分のことを「運が良い」と思う人、「運が悪い」と思う人をそれぞれ集めて徹底的に検証したそうだ。

実験では、カフェの前に5ポンド札を置き、店内に入ってどのような行動を取るかを検証した。

運が良いと思う人は、5ポンド札に気付き、店内では隣の客と話し、有意義な時間を過ごしたそうだ。

一方、運が悪いと思う人は、5ポンド札に気づかず、店内では誰とも会話せず時間が過ぎるのをただ待った。

後日感想を聞くと、運が悪いと思う人は特に何も起きなかったと答え、運が良いと思う人はお金を拾ったこと、店内では隣に座った実業家と会話しコーヒーを奢り、楽しく会話したことを嬉々として話したそうだ。

もう一つ例を挙げるとこのような実験がある。

そのうちのひとつでは、被験者に対し、新聞を渡して読むよう指示しました(被験者たちは、自らを幸運だ、または不運だと思っている人たちでした)。ワイズマン教授はその新聞の中ほどのページに、1面の半分ものスペースを割き、大きな文字でこんなメッセージを載せていました。「実験スタッフに、これを見つけたと伝えれば、250ポンドもらえます」。大きなスペースであったにもかかわらず、このメッセージを見つけられた人と、見つけられない人がいました。そして、自分は幸運だと回答していた被験者の方が、高確率でこのメッセージを見つけたのです。逆に自分を「不運」だと思っている人は、いつも何か不安を覚えている様子が見受けられ、そのために観察力が損なわれたようだ、とワイズマン教授は記しています。

引用元:

幸運の4つの条件

ワイズマン氏は数多くの実験を繰り返し、それらの結果から総合して幸運な人間には以下の4つの共通点がある、としている。

チャンスを最大限に広げる
虫の知らせを聞き逃さない
幸運を期待する
不運を幸運に変える

引用元:【要約まとめ】運のいい人の法則 byリチャード・ワイズマン博士〜運を鍛える4つの方法をご紹介〜
https://z0n0.jp/archives/461

以下に私の解釈で解説したい。少し氏の解釈とはずれることをご了承願いたい。

1.チャンスを最大限に広げる

一つ目のチャンスを最大限に広げる行動とは、外交的な行動をとれているかに左右される。家にこもって他人と接触しない、寝ているだけ、テレビを見ているだけでは幸運は訪れない。

幸せとは自分がウソなく楽しいと思える時間が多い状態を指すと考えている。幸運とは、その機会の総量が多い状態だとも考えている。

幸運な人間は、会ったことのない人間と話し、やったことのない経験をし、今までなかった考え方やスキルを身につけることで、幸運の状態に身を置く機会を、チャンスを最大限に広げる行動をとっている傾向にあるとされる。

2.虫の知らせを聞き逃さない

幸運な人間は、直感を大事にするとワイズマン氏は述べている。マッキンゼーのコンサルタントも、この点は共通した考えをビジネスに応用しているそうで、顧客への企画提案を考える際には直感から仮説を組み立てて、裏付け調査をとることが多いそうだ。

普通の人間は逆を行くそうだ。膨大なデータを分析し、そこから規則性を見出し、仮説を立てて、検証し、違うならまた膨大なデータを(略)。このやり方ではいくら待っても正解は降りてこない。

幸運な人間は、ビジネスにおいてもまずは最低限の情報収集の結果から仮説を立てることを優先する。仮説に関連する最小限のデータや検証で裏付けするため、一回の結果が出るまでのスピードが速く、ビジネスの回転率が上がる。

私もITエンジニアをやっていて、トラブルシューティングなどにはこの考え方を応用しており、障害の発生した事象そのものからまずは仮説を立てたうえで、ログ調査を絞って始めると結論まで早くたどり着くことが経験上多い。

闇雲に予測もせずだらだらと調査している人間は、いつまでたっても「分からない分からない」と悩んでいるうちに時間が経ってしまう。

そんなさまをよく見かけるが、調査を肩代わりした際に、ものの数分で解決することがしばしばある。

(自慢話のようになってしまうが)これは、事象から直感による調査範囲を絞って確認したところ、見事当たりだった、と言うケースがほとんどで、インスピレーションを大切にした結果であると信じている。

3.幸運を期待する

一緒に仕事をするなら以下のA、Bの2者のどちらと過ごしたいだろうか。

A「自分はついてない。運が悪い。不運の星の下に生まれたのだ。」

B「自分はついている。きっと自分は運がある方だ。これからきっと良い出会い、良い出来事が待っている。」

多くはBと答えるだろう。明るく、ポジティブな人と一緒に居たいと思う事が自然で、Aのような暗い性格の人といると、雰囲気として伝播し、周囲にもネガティヴオーラが伝染してしまうものだ。

松下幸之助は、「自分は運が無い」と答えた者を採用しなかった理由の一つに、ネガティヴな人間はチャレンジせず言い訳ばかりになるだろうと言う考えがあったそうだ。

社の風土作りの上で、ネガティヴな思考の発生源を排除すると言う意味でも効果のあった採用基準だったに違いないし、チーム形成において現代のリーダーも注意を払うべきポイントだ。

4.不運を幸運に変える

自信が幸運と述べる人間の共通点、最後のポイントに、実際に不運としか言いようがないことを幸運に変える能力というものがある。

雨が降ったから不幸と思う人もいるだろうが、子供と一緒に傘を並べて歩けるから幸せだと感じる人もいる。

仕事で失敗してしまって不幸と思う人もいるだろうが、その失敗が自分の成長の糧となって幸運だと感じる人もいる。

不幸と感じることの多くは、自分の想定を超えた事象を指す。私の考えでは、不幸な事象はそれまでの自分の想像や準備を超えた結果が訪れるものだ。冒頭で挙げたように、運などと言うものが存在し、悪い影響を与えるよう作用しているわけでは無い。即ち運が悪いわけでは無い。

自信を取り巻く如何なる事象も幸運に変換し、チャンスに変え、自身で自身を幸せに導くか。

松下幸之助はそんな仲間たちと未来を作って行きたかったに違いない。

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