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びっくりのインド ● 13 ● 民家に住まう

一昔前に 『 インドで人生観が変わる 』 なんていうのが流行ったけれど、最初の 1 週間であれだけの衝撃があったということは、ひょっとすると私の人生感はインドで変わるのだろうか。
ともかくインドの生活は始まったばかり。
まずはホテルを出て民家に住むところから話しを始めないと。

私が住んだところは、いわゆる富裕層が住む地域で、民家と言っても大抵は 3 階か 4 階建てで、どの家にも屋上にペントハウスがあり、聞いた話しではペントハウスはゲストルームに使うことが多いようだ。
私はその ペントハウス に住んだのだけれど、確かに納得のいくことが多い。
家の中に直接ペントハウスに上がれる階段があり、ほかの住人に会うことなく部屋まで行ける。
家に入るときに鍵を開け、屋上に出るときに鍵を開け、ペントハウスに入るときに鍵を開けて、やっと部屋に入れる仕組みになっていたのでプライバシーが守られていて安心だ。

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これがそのペントハウス。

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屋根の上のタンクには水が入っている。
日本なら台風で吹き飛ばされそうな、ただ置いているだけのタンクだけれど、インドには台風は来ない。
私は神戸で震災に遭ったので、地震で家が崩れたら... と即座に思ってスタッフに訊いたら 「バンガロールに地震はありませんよ」 と笑われた。
災害がない地域は、何だかんだの心配ごとがなくて暮らしやすい。

タンクの左下の大きなボードは南向きになっているから恐らくこれが太陽熱温水器。
晴れた日は火傷するほど暑い湯になるが、天気が悪いと、びっくりのインド ● 07 ● 就寝前の大苦戦 ように水のシャワーを浴びることになる。
外にも手洗い台のようなものがあって、いま改めてみると、なかなかよくできている。

部屋は 1 つ、ベッドは 2 つ。
広さは 20 畳くらいで、天井が高い。

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ベッドカバーはアニメのキャラクターらしき柄 (右側はピカチュー?) だったから、親戚が遊びに来ると、子供たちはペントハウスに泊まるのかもしれない。
ホテルのベッドもそうだったけれど、マットレスにはスプリングが入ってなくて、その代わりに日本の敷布団を 3 枚重ねた感じ、そこそこの硬さがあって寝心地は良かった。

お約束のトイレ。

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金隠しがないから、どっちに向かって しゃがむ のか分からない。
日本の和式トイレなら穴がある方が前だが、びっくりのインド ● 06 ● トイレの試練 で紹介したビデオを見ると、どうやら最後まで方向を間違えていたようだ。
ま、誰に見られたわけでもないので善しとしよう。

ホテルは様式のトイレだったから、和風のトイレだと しゃがみ具合 が分からず最初は慣れなかったけれど、一度コツを掴むと洋風のトイレでしゃがんでお尻を洗うほうが無理があることが分かった。

バスルームは西洋と同じくトイレと一体型で、下の写真の手前に便器がある。
窓も大きいし、壁はタイルだし、これだけ広いと日本なら冬は寒くてシャワーどころではないだろうが、さすが暖かい地域ならではである。

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毎朝、30 代くらいの女性が来てペントハウスの中と外を掃除してくれた。
彼女が掃除の後に、写真の中のピンクのバケツに水を張ってくれるので、用 (大) をたした後は小さな赤色のバケツでお尻を洗う。
(バケツの写真を撮りたかったのでシャワーの傍に置いているが、実際にはトイレの傍にある。)
覗いてみていると、その女性はこのピンクのバケツに水を張って、豪快にザバーっとフロアに水を流して洗っていた。
拭き掃除をするときも、このバケツで雑巾を洗っていたし、まさに 万能のバケツ だ。

キッチンはこんな感じ。
簡素だが、なにかが足りないと思ったことはない。

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手前にあるのはウォーターサーバー。
水がなくなる前にスタッフに頼むとすぐに新しいボトルを持ってきてくれた。
さすがに水道水を飲む勇気はなかった。

ちょっと見づらいが、ウォーターサーバーの向こうにカセットコンロがある。
外食しても 250 円くらいだし、せっかくだからインドで色々なものを食べてみたくてもっぱら外食だったから、これで料理をしたことはない。
コンロは紅茶を入れる湯を沸かすためだけに使った。

あと 1 つ、とても大事なこと、キッチンに冷蔵庫がない
バンガロールはインドで一番西洋化が進んでいるとは言え、インフラが追い付いてなくて、ビックリのインド、しょっちゅう停電する。
1 日に 10 回以上の停電は当たり前 (2008年~2009年頃)、復旧に 10 分かかることもあって、電化製品が役に立たない。
しかし恐らく、日本からわたしが来るということで、インドのスタッフがホテルにあるような小さな冷蔵庫を買って部屋においてくれていた。
スタッフの家にお呼ばれしたときにキッチンを見たら、やはり冷蔵庫はなかった。
冷蔵庫のサイズがサイズなので、私が中に入れていたのは飲み物だけだが。

いくらインドと言っても、古代から文明があったところである。
人が住むのに十分なものは揃っている。
これを 何もない と思うか、無駄なものがない と思うかは、その人次第だ。
わたしには 程よくモノがある生活 だった。
いまでこそ ミニマリスト なんて言葉があるけれど、わたしのインドでの生活はまさにミニマリスティックだったと思う。
わたしは 物に興味がない ことをインドで気付いた。
むしろ物が無いほうがずっと気楽だった。

実のところ、私がインドで過ごした数か月は、いままでで一番健康だった。
体調を崩したことは一度もない、起きてから寝るまで妙に身体が軽くて、なにかに対して 「あー、これは嫌だ」 とか 「これはしたくない」 と思ったことも一度もない。

何が私をそんなに健康にしたかについては、これから少しずつお話ししようと思う。


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