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びっくりのインド ● 07 ● 就寝前の大苦戦

どうにかこうにかトイレを済ませて、シャワーを浴びようとしたら湯が出ない。
3 分くらい出したままにしたら熱くなるのかと思ったが、冷たいまま。
フロントに電話すると 「あぁ、この数日、天気が悪かったから」 と言う。

ん? 天気が悪かった... から?
シャワーの湯が出ない...
え? え? まさか... 天日!

小さいときに過ごしたところが、五右衛門風呂 から 天日でお湯 にアップグレードされたときのことを思い出した。
ホテルなのに、湯を... 太陽の熱で... 沸かす。

ひゃーーーっ

いくらインドだからって、着いたその日に冷たい水のシャワーを浴びるなんて。
doo-dooうんち → 米語、幼児語 ) の後に。

しかも、フロントの人はまるで朝のゴミ出しの時のご近所さんとの会話のように湯が出ないことを説明した。
つまりそれは、「 おてんとうさま のせいであって、私たちに言われても…」 ということだ。
冷たいシャワーを頭からぶっかぶった。
大量の水が出るだけまし。
修行で滝に打たれてると思えば。

それなりにすっきりして、これで、やっと、長い長い 1 日が終わる。
と思ったら、奴らがいた。

部屋に蚊がいる!

部屋に充満するナフタリンの匂いを飛ばそうと窓を全開にしたけれど、部屋は確か 5 階か 6 階だった。
そんなとこまで蚊が上がってくるのか?

あっ!

インドでは、窓に鉄格子はあっても網戸はない。
脱いだTシャツがあまりにもベタベタだったから鉄格子に掛けた。
その汗のにおいを嗅ぎつけたのか。
3 匹も無音でツーンと飛んでいる。

あーっ!

びっくりのインド ● 00 ● 準備 part 1 で、日本脳炎の予防接種を希望したときの先生の回答 「まぁ、大丈夫でしょう。蚊に刺されないように気をつけてください」 が現実となった。
だから先生、わたし、「日本脳炎の予防接種は?」 と言ったじゃないですか! だ。

厚生労働省のサイトには、日本脳炎 について

日本脳炎にかかった場合
一般に、日本脳炎ウイルスに感染した場合、およそ 1000 人に 1 人が日本脳炎を発症し、発症した方の 20 ~ 40% が亡くなってしまうといわれています。また、生存者の 45 ~ 70% に精神障害などの後遺症が残ってしまうといわれています。

と書いてある。
「… といわれています」 って、そんな他人事みたいに。

「1000 人に 1 人なら確率は高くない」 と言う人は、実際にインドに行って複数の蚊に 10 箇所くらい刺されるとよい。
たとえ発症しなくても、潜伏期間の 6 ~ 16 日の間、どんな気持ちになるか実感すべきだ。

窓を閉めて新たな侵入を防ぎ、じっと動かず蚊をおびき寄せ、肌にふわっと着陸した瞬間に叩こうと思うと、寄ってこない。
奴らは、人間の目の動きを観察しているとしか考えられない。
苛々すると、なおさら近づいてこない。
こうなると持久戦である。

心静かに、「蚊を叩き潰すなんて、そんな殺生はしませんよ」 という心持ちで、まるで読書をしているかのような感じでベッドに座って 10 分くらい粘っただろうか、ついに奴らを仕留めた。

これで、やっと、やっと、インドの初日が終わった。
バンコクの空港でワインを飲みながらバンガロールへのフライトを待ってから 1 日も経っていないのに、何週間も前のことのように思える。

惠白さん、日本からの長旅、本当にお疲れさまでした。
ようこそ、インドへ。
今夜はどうぞゆっくりおやすみください。


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