見出し画像

【コラム】クレーム対応こそ満足度の鍵

CA時代に嫌というほど身にしみた教え。
それは、「お客様満足度の鍵を握るのは、イレギュラー対応にあり!」
ということです。

その為、徹底した「イレギュラー対応スキル」を学び、実務の中でそのスキルを応用させることが求められました。

機内という特殊かつ密室的な空間では、対応できることも限られますが、
それでも少しでもお客様のご要望に沿えるような対応を考え、「best」が叶わなくても、「better」な対応を探ることを心掛けていました。

通常、どれだけ親切で良いサービスを提供しても、イレギュラーやトラブル、クレームが発生した際に迅速かつ適切に、そしてお客様の心情を察した対応が出来なければ、一気にその満足度が下がることも痛感しています。

それだけイレギュラー・トラブル・クレームへの対応力は、サービススタッフにとって重要なスキルと言えるのです。

その証拠に…皆さんもこんな経験はありませんか?

レビューサイトで、高評価が並ぶレビュー内に、
「スタッフの対応が悪かった」
といったレビューがひとつでもあると、それまで並べられていた
「美味しい」などの内容が嘘のよう思えてしまうことを。

それだけ、マイナスレビューに対する信頼度は高く、プラスの内容を簡単に覆してしまう威力を持っています。

私は仕事の一環で、インバウンド旅行者も利用しやすい「Google」の口コミを良くみています。

そこで感じるのは、多くのお店で「クレーム対応力」が弱いと言うことです。

ほとんどのお店では、アルバイト店員が接客担当をしていると思いますが、それが故に、最も重要なこの対応方法について、正しい知識を教えてもらえず、なんとなくの謝罪のみでその対応を済ませているケースが多いのではないでしょうか。

その結果、納得感を得られなかったお客様は、退店後にレビューサイトやSNSへ、ネガティブなコメントを書き込むのです。

ここで強調したいことは、直接クレームを仰って下さるお客様は、とてもありがたいお客様だという認識を持って欲しいという事です。

なぜなら、ほとんどのお客様は、不満を感じても、その場では仰って下さらないケースが多く、そのご不満を「口コミ」という形で吐き出されるからです。

それでは、どの業種でも共通して使えるクレーム対応の鉄則を、ここでお伝えします。
これを徹底するだけで、お客様の反応が変わりますよ!

【その1:聴く】

まずはお客様の話を遮らずに聴いてください。

話を聴くことで、こちらが思っていた内容と、お客様が本当に怒っている内容が違うことに気付く場合もあります。

例えば、オーダーしたものがずっと来ないことが発端でお客様がクレームをおっしゃっているとします。

このような状況の時、スタッフ側としては「提供が遅くなったから怒っている」と決めつけがちですが、
お客様のお話を聴いてみると…

「最初から何度スタッフを呼んでも気づいてもらえなかった」とか、
「私たちだけいつも後回しにされている」など、
そもそもの怒りが他にあることに気づけて、その問題に対した謝罪が叶います。

【その2:お客様の「べき」に先回り】

例えば、先程提示した例の状況が、テラス席でスタッフの死角になりやすい席だったとします。

その時、お客様はこのような「べき」を心の中に感じるでしょう。
「見えづらい席なんだから、呼ばれなくても定期的に様子を見にくるべき」と。

つまり、これが良く言われる「お客様の立場に立つ」と言うことなのですが、私はより具体的に「お客様の感じる「べき」を考える」と伝えています。

なぜなら、クレームのほとんどが、自分の中にある常識(=べき)に反した時、そこにストレス環境が重なって生じるものだからです。

この状況で言う「ストレス環境」は、例えば「気づいてもらえなくて寂しい」や「イライラ」を指します。

それが先回りできたら、このような謝罪をお伝えすることができます。

「奥まったお席のため、本来でしたらお客様からお声をかけて頂く前に、こちらからそのご様子を伺うべきでしたが、その対応が十分ではなく、ご不快なお気持ちにさせてしまい、申し訳ありません」

この様な対応がされると、お客様は「共感してくれた」と、ストレス環境を減らすことが叶い、お怒りを鎮めることができるのです。

【その3:代替案を提示】

よくあるクレーム例。
「ラストオーダーは終了しましたと言って、こちらのオーダーを拒否した」

もちろんお店にも都合やルールがありますので、このような対応になってしまうことも分かります。
しかし、ポイントは「伝え方が下手すぎる」と言うことです。

これらは、お店の都合だけを伝え、お客様の「なんで?」を無視する状況になっているので、「対応が失礼だった」と言われてしまう原因になります。

では、どうしたら良いのか?
ポイントは、納得感を与える理由と、代替案の提示です。

「ご来店いただきありがとうございます。
せっかくお越しくださったのに申し訳ないのですが、本日ご用意していた全てのお料理が完売してしまいました。
お飲み物でしたらご用意が可能ですが、いかがでしょうか」

冒頭に書いた「best」が叶わなくても、「better」を考えるがまさにこの対応です。
これはアルバイト店員だけでは判断が出来ないことだと思いますので、あらかじめお店がそのような「better案」を用意しておくことも効果的です。

その他にも、対応時の立ち位置や角度、目線、瞬きなどの立ち居振る舞いや、あいづちの方法などもポイントとして挙げられるのですが…それはまたいつか。笑

クレーム投稿の共通性は、「失礼だった」「差別的な対応だった」「簡単な謝罪で済まされた(=ぞんざいに扱われた)」の3つです。

これは、外国人の方は特に敏感に反応する内容でもあります。
日本の飲食店に対する期待値が高いからこそ生じる落胆もあります。

しかし、今日示した内容を意識した対応をするだけで、恐らくお客様の反応は変わり、むしろその「トラブル」が高評価のきっかけに変わることも多くあるのです。

「〇〇なことがあったけど、迅速で誠実な対応をしてくれて流石だと思った」

クレーム対応は満足度を上げる鍵になることを、ぜひ皆さんにも実感して頂いたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?