吾輩は童貞である。魔法使いになる気はまだ無い。㉓マッチングアプリ編その7
前回の記事
これは魔法使い化の未来に抗う、アラサー童貞の記録である。
筆者スペック
身長:160後半
体型:ギリギリ普通
学歴:私立文系
職業:税金関係
スポーツ経験:バドミントン、水泳
趣味:映画鑑賞(ハリウッドからクソ映画まで)
マイブーム:マチアプ系Youtuberを反面教師にする
登場人物紹介
後輩くん
職場の後輩。
根暗チビの俺に対し、陽キャ高身長細マッチョと真逆の存在。
この俺相手に懐に入ってくる対人能力を持つ。
アプリでできたドチャカワ彼女と絶賛バカップル中。
人妻の先輩
30代の先輩。本当にお世話になってます。
後輩くんに輪をかけて陽キャで呑んべぇ、旧官卒、体育会系、資格を目指して通学中で二児の母。強すぎないか人として?
マチアプ芸人が発狂しているのをいつも横目で見ている。
問われる黄金週間の内訳
ゴールデンウィークが終わってしまった。
特に充実したとは思えないが、かといって悲壮感はない。
というか、一年前が虚無すぎたのだ。
そういえばペアーズで女にドタキャン食らってからそんなに経つのか…
…
……
………
読者諸君は、GW明けの職場の会話はどんなものになっただろうか?
「GW何してた?」「どこ行った?」そんなところだろう。君たちは何してた?どこへ行った?中三日を有給取って旅行でも行った?ディズニー?USJ?それともおうちデートでもした?結構結構。
…え?俺?
職場のお姉様方「GWは何してた?どこか行った?」
特に公表していないが彼女の存在にそれとなく言及する後輩くん「〇〇とか行きましたね」
死ぬほど歯切れの悪いマチアプ芸人「と…"友達"と"ご飯"行きました…」
言えるわけねえだろ。
…
……
………
全てを知っている人妻の先輩「苦しんでるところ悪いけど、後輩くんに続いてケツアナゴ(筆者)まで付き合い出したら面白くないんよね。こいつがノロケたら一緒にご飯食べるのもやめるかもしれん」
後輩くん「ちょっとwww酷いですよwww人が頑張ってるのにwww」
人妻の先輩「漫画でもドラマでもなんでもそうなんよ。他人の恋路は付き合うまでが一番面白いけん。私はケツアナゴが地獄から這い上がろうともがいている様を見るのが何よりも楽しいんだよ!」
俺「あ…悪魔たん…(孫悟飯)」
読者諸君も先輩と同じ気持ちなんだろうなぁ。
肥溜めの中の宝石
もはや言うまでもないが、俺のGWは(アプリで女を食い散らかしている)友達と飲んでいるか、(アプリの女にドタキャンされた)友達と飲んでいるか、それ以外は寝てるかアプリの女の子と会っているだけだった。
自分の価値を棚に上げて言うことではないのは分かってはいる。分かってはいるが、厳然たる事実としてマチアプは玉石混交の肥溜めで、宝石を漁るが如き不毛な行為。そんなものに耽っていただけの大型連休であったというのに、特に悲壮感はない。
それを味わうことはないかもしれないし、これから味わうかもしれない。
…
……
………
更に遡ること4月。
アルピニストに袖にされた俺は、怒りのままに別のアプリを並行し、特級呪物のカリンに怯える傍ら、とある女の子とマッチしていた。
それが今回の、モノリッド(26)である。Monolid(一重瞼)。笑うと視界が消失するらしく、友達と一日中ゲラってた時は視覚的な記憶が何も無いとか言っていた。本当だったらかなりおもろい。
ぶっちゃけ女の子が一重か二重かなど割とどうでもいいし気にしたことなどない。故に揶揄する意味はない。タグ付けのようなものだ。誤解なきよう。
前々回も書いたが、勢い任せでもう一つアプリを入れたものの、仕事で帰りが遅くなりながら二つのアプリを同時に並行して記事を書いてお店を調べてメッセして電話して勉強してとかやってたので、俺の恋愛キャパシティは完全に崩壊していた。むしろ繁忙期によく崩壊しなかったな。
彼女と会いたいと思った理由の一つは、そんな中でも無理なくやり取りができたところにある。withは互いの共通点や価値観からマッチングを促してくる傾向が強いが、その中でもとりわけ共通点が多かったのが彼女である。
また、複数人との同時メッセージや、基本1分以内に返事が返ってくるホラー世界の住人であるカリンに張り付かれたということもあり、パンドラの箱を開けた自業自得とはいえ完全に疲弊していた俺にとって、このテンポ感は非常にありがたかったのだ。
…「疲弊してるのは忙しいのにこんな記事書いてるからでは?」
言うな。
ラウンド1:澄んだ時空、空隙を埋める
モノリッドの予定の都合で、マッチしてから会うまでに三週間弱を要した。ともすれば永遠にも等しい三週間弱であった…。
この三週間、本当に色々なことがありました。カリンにロックオンされる、一週間もメッセージを塩漬けにした上でしれっと返事を返して会話を続けようとする30代に呆れる、広瀬すず似のドチャカワに互いの予定が合わな過ぎて切り捨てられる、人生で初めて女の子に割り勘させる、提携先の先生に縁談の件で更に追撃される…色々ありましたね、本当に。
後輩くん「本当にこの男は…聞けば聞いただけネタが上がってくるくらい女の子に会えてるのに、何にそんなに怯えてるんですか?先輩のそれは完全に女の子と会えない男の悩み方なんですよ」
俺「逆に指先一つで断ち切れる程度の関係性の何に安心すればいいんですか?」
後輩くん「なんすかその言い回し。歌詞でも書いといてください」
──記事は書いてるけどね…。
閑話休題。
少し早めに到着して、モノリッドを待つ。
しばらくして、モノリッドからも着いたとの連絡が。
周りを見渡す。
待ち合わせ相手を探しているような女の子は一人しかいない。
──え?この子?全然違うやん。写真詐欺?ついに俺も真のマチアプの闇に呑まれたとでもいうのか?さすがに勘弁してほしいんだけど。マジでこの子だったらお茶一気飲みして帰ろう。いやマジで落ち込むわ…
…人違いでした。申し訳ございませんでした。心よりお詫び申し上げます。
偽モンの背後から不安そうにモノリッドがやってきた。
──え?この子?全然違うやん。写真より可愛くない?
またしても逆パネマジにエンカウントした。なんか早とちりでボルテージが乱高下したゴミがいたような気がするが、それについては捨て置いてほしい。
…
……
………
モノリッドとは軽めのランチをした。
過去一盛り上がった気がする。…こいついつも過去一盛り上がってるな。ボジョレー・ヌーヴォーかよ。
まあ、多少は自分の経験値の積み重ねが次のマチアプ体験に活かせているということでもあるのだろう。無論、相性もあるだろうが。
互いの休日の過ごし方、連絡のペース、考え方、適度にゆるいスタンス、どれをとっても共感しかない。
正直今までの女の子には、俺がノリや価値観を無理に合わせにいっていた感じが否めない。カラコンに対してでさえもそうである。
今まで目を背けていたことだが、結局のところ、俺自身の自己開示が方便と見栄によって希薄になり、合わせに行く意図が見え透いてしまったからカラコンは熱を上げなかったのだろうし、アルピニストは俺に見切りをつけたのだろう。
そんな中で、合わせにいく必要が無く、肩肘張らずに沈黙でさえも楽しめるモノリッドとのやり取りは非常に心地の良いものであった。よく喋りよく笑う。つくづく女の子は愛嬌だと痛感する。
…
……
………
熱せられた空気はそのままに、俺たちは店を後にする。
モノリッドにこの後予定があるのは知っていたので、自然と駅の方へ歩を進める。
すると。
モノリッド「この後どうしますか?」
俺「…ゑ?予定って…」
モ「〇時までに××に行ければいいので…」
俺「そそそうなんだ。じゃあ、どっかカフェでも入る?」
モ「はい!お話したいです!」
…
……
………
まずい。
完全にノープランだ。
これは魔法使いの未来に抗う、アラサー童貞の記録である。
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