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日本国内でのアジアの人財を採用するための適切なビザの選択②

はじめに

日本の経済成長と多様性の拡大を背景に、アジアからの人財の雇用・活用が増加しています。

日本の出入国在留管理庁入国管理局が発表した統計によると、令和4年(2022年)末の在留外国人数は307万5,213人で、前年末比で31万4,578人(11.4%)増加し、過去最高を更新しました。初めて300万人を超えました。その中で、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人の数は、311,961人でした。この在留資格は、「永住者」「技能実習」「留学」「特別永住者」に次いで、在留資格別構成比で5位にランクされています。

私は、その背景の中で、アジアからの人財の雇用・活用のために、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格について、適切なビザの選択とその手続きは、外国人が、採用後に、日本での活動を、円滑に進めるための鍵となると考えていて、具体的にわかりやすく見ていきたいと思います。


前回の就労ビザの中で代表的なものを6つ挙げさせて頂きました。その中で「技術・人文知識・国際業務」ビザについてみていきます。

(6)技術・人文・国際業務ビザ

在留資格取得のための職務設計


私は、外国人採用のために、アジアの人財を採用しようとする候補者が、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得できるよう、現実の職務内容を設計することが重要だと思います。
具体的には、留学生が自身の専門知識や技術を活かすことができる職務を提供、計画、予測して、その実際の職務内容が、在留資格取得の要件を満たすようにすることが、求められます。

技術


技術的な業務や研究、人文科学や国際的な業務を行う外国人を対象としたビザです。

  • 内容 技術的な業務や研究、人文科学や国際的な業務を行う。

  • 例     ITエンジニアや研究者、国際的なプロジェクトを担当する
           マネージャーやコンサルタントなど。

人文知識・国際業務


企業の内部での専門的な業務国際的な業務を担当する外国人を対象としたビザです。

  • 内容   企業の内部での専門的な業務や国際的な業務を担当。

  • 例      国際的なマーケティングや営業を担当する外国人、
            外国の文化や言語を活用した業務を担当する人材など。

それでは、不許可の事例も、見て行きたいと思います。

事例❶
情報システム工学科を卒業
した者から,本邦(※)の料理店経営を業務内容とする 企業との契約に基づき,月額25万円の報酬を受けて,コンピューターによる 会社の会計管理(売上,仕入,経費等),労務管理,顧客管理(予約の受付)に 関する業務に従事するとして申請があったが,会計管理及び労務管理について は,従業員が12名という会社の規模から,それを主たる活動として行うのに 十分な業務量があるとは認められないこと,顧客管理の具体的な内容は電話で の予約の受付及び帳簿への書き込みであり,当該業務は自然科学又は人文科学 の分野に属する技術又は知識を必要とするものとは認められず,「技術・人文知 識・国際業務」のいずれにも当たらないことから不許可となったもの。

出入国在留管理庁「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について

※本邦とは、日本国内のことを言っています。

事例❶

情報システム工学科を卒業した外国人を採用しようとするならば、プログラム、システム構築分野が望ましいと思います。
 緩和的に技術の基準に照らして、インタネット構築で料理店の販路拡大のため、新商品で海外への輸出までの販路、また、日本国内のその外国人の母国の出身者へ集客のために販路拡大する事業計画が見えていれば、審査基準に乗れるのではないかと思います。この外国人に会社の管理業務を就かせるというのは、かなりの無理を感じます。

事例❷
ベンチャービジネス学科を卒業
した者から,本邦のバイクの修理・改造,バイク関連の輸出入を業務内容とする企業との契約に基づき,月額19万円の報 酬を受けて,バイクの修理・改造に関する業務に従事するとして申請があったが,その具体的な内容は,フレームの修理やパンクしたタイヤの付け替え等で あり,当該業務は自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とするものとは認められず,「技術・人文知識・国際業務」のいずれにも当たらないため不許可となったもの。

出入国在留管理庁「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について

事例❷

これも事業計画が輸出関係の事業拡大や輸出や海外進出のスタートアップ事業に基づくベンチャービジネス学科卒業の外国人採用でしたなら、審査基準は違う展開になったと思います。

事例❸
国際情報ビジネス科を卒業
した者から,本邦の中古電子製品の輸出・販売等を業務内容とする企業との契約に基づき,月額18万円の報酬を受けて,電子製品のチェックと修理に関する業務に従事するとして申請があったが,その具体的な内容は,パソコン等のデータ保存,バックアップの作成,ハードウェア の部品交換等であり,当該業務は自然科学又は人文科学の分野に属する技術又 は知識を必要とするもとのは認められず,「技術・人文知識・国際業務」に該当しないため不許可となったもの。

出入国在留管理庁「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について

事例❸

これも国際情報ビジネス科を卒業する候補者と事業計画や既存事業との関連性が認められない事例です。これも事業計画が輸出関係の事業拡大や輸出や海外進出のスタートアップ事業に基づくものならば、審査基準のテーブルに乗れたと思います。

事例❹
ホテルにおいて,予約管理,通訳業務を行うフロントスタッフとして採用され,入社当初は,研修の一環として,1年間は,レストランでの配膳業務,客室清掃業務にも従事するとして、申請があったが,当該ホテルにおいて過去に同様の理由で採用された外国人が,当初の研修予定を大幅に超え,引き続き在留資格該当性のない,レストランでの配膳業務,客室清掃等に従事していることが判明し不許可となったもの。

出入国在留管理庁「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について


事例❹
ホテルや旅館で一番、人員不足なのが、レストランでの配膳業務,客室清掃等です。これは、申請審査許可のために、研修期間を設けているのが、見え見えです。しかし、似た事例を多く見て来ました。そもそも、通訳を出来る人文知識専攻や国際業務の分野を勉強してきた卒業する候補者は、フロントスタッフや顧客対応やインバウンド客の販売促進を担当させるのが、道筋だと思ます。
レストランでの配膳業務,客室清掃等の人員不足のためなら、特定技能の在留資格を選択することが、自然だと思います。

事例❺
国際ビジネス学科において,英語科目を中心に,パソコン演習,簿記,通関 業務,貿易実務,国際物流,経営基礎等を履修した者が,不動産業(アパート 賃貸等)を営む企業において,営業部に配属され,販売営業業務に従事すると して申請があったが,専攻した中心科目は英語であり,不動産及び販売営業の知識に係る履修はごくわずかであり,専攻した科目との関連性が認められず不許可となったもの。

出入国在留管理庁「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について

事例❺

外国人留学生の就職活動の課題のテーマで、就職活動の際の在留資格申請について細かくお話ししてきました。
候補者の国際ビジネス学科を専攻した科目との関連性が認められず不許可となる事例は、本当に多いです。
私が着目しているのは、この人文知識・国際業務の審査基準の基準が、どのくらい緩和される余地があるのか?という論点です。

今後も変化があれば、お知らせしたいです。

以上、事例❶から❺(6)まで、審査の不許可事例を見て来ました。

これらのビザ(査証)在留資格は、日本国内でのアジアの人財の雇用、採用、活用を円滑に進めるためのものであり、それぞれのビザには特定の要件や条件が設けられています。

適切なビザの選択は、外国人が日本での活動をスムーズに行うための鍵となります。

その他、採用プロセスの計画、そして、新たな労働者のオンボーディングと統合など、さまざまな要素を考慮する必要があります。これらのステップについては、次回の記事で詳しく解説します。


日本は、将来の日本の社会のために、
より良いしくみを構築できるはずです。

お読みいただき、本当にありがとうございます。



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