見出し画像

残り2節になったWSLの注目ポイントは? :: WSL Watch #065

10月に始まったWSLの23/24シーズンも残り2節。もろもろの状況が見えてきたんで、1節〜4節までをチェックした"WSL Watch 003"、5節〜8節までをチェックした"WSL Watch 017"、ウィンター・ブレイクのタイミングに開幕からウィンター・ブレイクまでの1節〜10節までをチェックした"WSL Watch #026"、ウィンター・ブレイク明けの11節〜14節までをチェックした"WSL Watch #041"、今シーズン最後の代表ウィーク前までの15節〜18節までをチェックした"WSL Watch #058"みたいにブレイクのタイミングでまとめて振り返った'TW = Table Watch'とはちょっと違うけど、このタイミングでいろいろな情報を整理しとこうかな、と。

優勝するのはマンチェスター・シティかチェルシーか

最大の注目はもちろん優勝争いなんだけど、先に結論を言っちゃうと、僅差で逃げるマンチェスター・シティと追うチェルシーのどっちかに絞られた。アーセナルが20節のエヴァートン戦で引き分けちゃって優勝の可能性がなくなったんで。最新のテーブルは以下の通りで、チェルシーは2試合未消化があるから暫定の順位ってことになるんだけど、どっちも残り試合全勝だと勝点が並んで得失点差の争いになるから、勝ち続けることはもちろん、どうやって勝つか、何点差で勝つかも重要な要素になりそう。

20節終了時点での暫定のテーブル

ちなみに、チェルシーはUEFAウィメンズ・チャンピオンズリーグ(UWCL)の準決勝でバルセロナに負けちゃったんで、エマ・ヘイズ(Emma Carol Hayes OBE)監督のラスト・シーズンに残されたタイトルはリーグ戦だけになっちゃった。ちょっと前まで4冠か? なんて言われてたのに。

次節のシティ対アーセナルに注目

上に「どっちも残り試合全勝だと」ってさらっと書いたけど、もちろんマンチェスター・シティとチェルシーが残り試合全勝できるとは限らないわけで、具体的に残りの対戦相手を確認すると、やっぱり最も注目すべき試合は次節のマンチェスター・シティ対アーセナルってことになる。

現時点でアーセナルは(4位のマンチェスター・ユナイテッドにはもう追いつかれない勝点差なんで)3位以上は確定してるからUWCLの予選ラウンドの出場権は確保してて、リーグ優勝の可能性はなくて2位になるのもかなり難しくて、でも、コンチ・カップは見事に優勝して強豪チームとしてのプライドは保ったって言っていい状況なんだと思うけど、この状況がマンチェスター・シティ戦にどんな影響を及ぼすのかが大きなポイントになるのかな。もう特別なモチベーションがなくてもおかしくないし、変なプレッシャーがない状態でのびのびプレイできるかもしれないし、強豪チームとしてのプライドをかけてマックスのテンションでくるかもしれないし。何とも読めない感じ。

一方のマンチェスター・シティに関しては、ウェスト・ハム・ユナイテッド戦とブリストル・シティ戦で勝つだけじゃなくなるべく得失点差を稼ぐことが大事って"WSL Watch #058"でも書いたけど、その2試合は5-0と4-0で勝ってるんで果たすべきミッションはクリアした状態でアーセナル戦を迎えられたって言えるんじゃないかな。ただ、大きな不安材料として、絶対的なエース・ストライカーのカディジャ・ショウ(Khadija Shaw)がウェスト・ハム・ユナイテッド戦で負傷して離脱しちゃったって問題があるんだけど。とりあえず、今シーズンはもう絶望とのこと。ただ、ブリストル・シティ戦では"WSL Watch #064"で紹介したメアリー・ファウラー(Mary Fowler)がさっそく大活躍してくれたりして、わりといい状態でアーセナル戦に臨めそうかな。"WSL Watch #058"でも、アーセナルは乗り越えなきゃいけない壁で、「アーセナルに一度も勝てないようなシーズンは、そもそも優勝する資格がない」くらいに考えたほうがいいって書いたけど、まさにそういう状況になったな、と。もちろん、最終節のアストン・ヴィラ戦も大事なんだけど。

ちなみに、マンチェスター・シティ対アーセナルは日本時間で5月5日の22:15キックオフっていう日本でもわりと観やすい時間に予定されてて、無料で観れるDAZNのライブ配信には西達彦の日本語実況が付くことになってるっぽい。

チェルシーの最終節はFAカップ準決勝の再戦

チェルシーは今週のミッドウィークと最終節の直前のミッドウィークに延期分の2試合を消化することになってて、最終節の前の週末はFAカップの決勝のために1週空くから、5月2日と5月6日に連戦、5月16日と5月18日に連戦っていうちょっとトリッキーなスケジュールで残り試合をこなすことになってるんだけど、残り4試合の相手はリヴァプールとブリストル・シティとトッテナム・ホットスパーとマンチェスター・ユナイテッドで、やっぱり最終節のマンチェスター・ユナイテッド戦が最大のポイントになりそう。シンプルに実力を考えても、FAカップで負けてるって意味でも。あと、この時点ではマンチェスター・シティ対アーセナルの結果も出てるんだし。もちろん、その前のリヴァプールもトッテナム・ホットスパーも簡単な相手じゃないけど。

あと、WSLの話じゃないけど、チェルシーはやっぱりUWCLの準決勝でバルセロナに負けたショックとダメージはけっこう大きそう。アウェイでの1stレグは1-0で勝って、ホームでの2ndレグはスタンフォード・ブリッジがソールド・アウトで39,398人入ってたにも関わらず、退場者を出して2戦合計で逆転されたんで。いろんな意味で厳しい感じだと思うけど、だからこそ、エマ・ヘイズ監督のラスト・シーズンに残された最後のタイトルのためにリバウンド・メンタリティを見せられるのか、最後はメンタルの闘いになりそうな気がしちゃうかな、チェルシーに関しては。

ブリストル・シティが降格することに

20節まで決まってなかった残留争いは、ブリストル・シティの降格が確定したんで、日本人選手が3人在籍してるウェスト・ハム・ユナイテッドは無事に残留できたってことになる。20試合やって3勝しかできてないからウェスト・ハム・ユナイテッドにとっては厳しいシーズンだったと思うけど、3人の日本人選手はみんな活躍してたし、何と言っても13節でアーセナルに逆転勝ちできたのがものすごく大きかったかな。しかも、同点ゴールは林穂之香のパスで抜け出した植木理子が倒されて得たPKだったし。

昇格チームとして今シーズンのWSLを闘ったローレン・スミス(Lauren Smith)監督率いるブリストル・シティは、実は全チームで平均年齢が一番若いはずで、プレイ自体も攻守にけっこうアグレッシブなスタンスを貫いてて、個人的にはけっこう好感を持ってたんだけど、トータルでみればやっぱり他チームとの差はけっこう感じちゃったかな。実はホーム・ゲームの入場者数もシーズンを通じてけっこう多かったことも含めてすごく残念だけど。

降格するチームがあれば昇格するチームもあるわけで、2部のチャンピオンシップはちょうど全日程が終了したらしいんだけど、クリスタル・パレスが見事に優勝、WSL昇格を達成したんだとか。さすがにチャンピオンシップは全然追えてないんで詳しいことはわからないんだけど。とりあえず、クリスタル・パレスは初めてのWSL挑戦になるとのこと。

日本人選手が5人出場する試合も

来シーズンのUWCL出場権を得る上位3チームと降格チームが決まったってことは、すごい雑な言い方をしちゃうと残りのチームに関しては消化試合っていうか、具体的に何かのために...って感じの試合ではないってことになる。もちろん、少しでも上の順位で終えるための闘いではあるし、来シーズンに向けたチーム作りって意味合いはあると思うし、変なプレッシャーから解放された状態だからこそ面白い試合になる可能性はあると思うし、個人的にはそれを期待してるんだけど。

具体的に残りの対戦を見てみると、やっぱり(特に日本で)注目されそうなのは5月5日のウェスト・ハム・ユナイテッド対レスター・シティ。個人的には特に日本人選手だけに注目してるってスタンスじゃないつもりだけど、さすがに日本人選手が5人プレイするってなかなかないことだと思うんで。もちろん、ウェスト・ハム・ユナイテッドの清水梨沙と林穂之香と植木理子、レスター・シティの籾木結花と宝田沙織のこと。だって、フィールド・プレイヤー20人の1/4ってことだし。たくさんの日本人選手がプレイしてる今シーズンのWSLだけど1試合に出場する日本人選手の数が最多になるのはこの対戦で、籾木結花と宝田沙織は1月の移籍ウィンドウで加入したから前回対戦のときはいなかったし、しかも、何かアクシデントがなければ5人とも普通に(スタメンで)出場すると思うし。男女問わず考えてもかなり珍しい事態なんじゃないかな? 残念なのはマンチェスター・シティ対アーセナルと同じ日で、マンチェスター・シティ対アーセナルが日本時間で22:15キックオフ、ウェスト・ハム・ユナイテッド対レスター・シティが23:00キックオフだから時間も微妙に重なっちゃってることなんだけど。ちなみに、この試合はDAZNの配信予定には入ってないけどThe FA Playerで観れるはず。

あと、これまた5月5日で時間もマンチェスター・シティ対アーセナル微妙に重なっちゃってるんだけど、4位を争う6ポインターのリヴァプール対マンチェスター・ユナイテッドも面白そう。現段階では勝点3差の4位と5位が対戦だけど、リヴァプールはミッドウィークに未消化分のチェルシー戦があるから、数字上は勝点差を詰めてる可能性もあるし、長野風花と宮澤ひなたの出場も全然ありそうだし。

マンチェスター・ユナイテッドに関して言うと、最終節の前の週にあるトッテナム・ホットスパーとのFAカップ決勝ももちろん注目。詳しくは"WSL Watch #062"で書いたからここではあまり言及しないけど、どっちが勝っても初優勝だし、キャパシティが約90,000人のウェンブリー・スタジアムがソールド・アウトしたらしいし。日本時間で5月12日の22:30キックオフで、この試合もDAZNで無料視聴可能。

得点王争いはショウが独走中

最後に個人の記録、つまりゴールデン・ブーツこと得点王とゴールデン・グローブについて。得点王争いはマンチェスター・シティのカディジャ・ショウが21ゴールで独走状態で、ただ、上にも書いた通り今シーズン絶望のケガをしちゃったから記録はもう伸びないんだけど、"WSL Watch #045"で紹介したチェルシーのローレン・ジェイムズ(Lauren James)と"WSL Watch #059"で紹介したブライトン&ホーヴ・アルビオンのエリザベス・ターランド(Elisabeth Terland)がそれぞれ13ゴールなんで、得点王はさすがにカディジャ・ショウでほぼほぼ決まりかな、と。

クリーンシートの数が多いGKに与えられるゴールデン・グローブに関してはマンチェスター・シティのキアラ・キーティング(Khiara Keating)が9試合で1位、"WSL Watch #054"で紹介したマンチェスター・ユナイテッドのメアリー・アープス(Mary Earps)が7試合で2位、チェルシーのハンナ・ハンプトン(Hannah Hampton)が6試合で3位。それぞれのチームの残り試合数を考えると、残り2試合のキアラ・キーティングが最大で11試合でメアリー・アープスが最大で9試合、残り4試合のハンナ・ハンプトンが最大で10試合だから、(メアリー・アープスだけは単独1位にはなれないけど)この3人には可能性が残されてるってことになる。奇しくも直近のイングランド代表に呼ばれてた3人(ただし、キアラ・キーティングは負傷のために辞退)の争いは最終節までも続きそう。

この記事が参加している募集

サッカーを語ろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?