見出し画像

世界屈指のGKとして圧倒的な存在感を放つメアリー・アープス :: P2W011 :: WSL Watch #054

アーカイブ的な意味合いもあるかも? って思って気まぐれに量産体制に入った'P2W = person to watch(注目したい人)'シリーズの第11弾はマンチェスター・ユナイテッドのイングランド代表GKのメアリー・アープス(Mary Earps)を。言わずと知れたビッグ・ネームだから取り上げるのが遅すぎなんだけど。

パワフルなプレイと強烈な存在感が魅力の実力派GK

プロフィール的な部分は後回しにして、とりあえず、メアリー・アープスのざっくりとした印象を言うなら、「ゴールを守るための総合的な守備能力と強烈な存在感を兼ね備えた世界屈指のカリスマGK」って感じかな。

マンチェスター・ユナイテッドを取り上げた"WSL Watch #013"でもちょっと触れたけど、具体的にはまずはシンプルにゴールを守る能力の高さが際立ってて。基本的に体格ががっしりしててすごくパワフルで、強烈なシュートにも負けない強さ、ハイ・ボールの競り合いでも相手選手を吹っ飛ばしながらボールに先に触れる強さが魅力。身長も173cmあって、シュートへの反応も速いし、相手選手との1v1のシーンでの距離の詰め方とか身体全体を使った面の作り方も上手いし、弾くかな? ってシュートをキャッチできちゃうシーンもわりと多かったりするし。あと、ゴール・セービングの技術と並んでGKの能力で大事な要素である雰囲気、つまり、安心感とか存在感とかオーラとかって部分でもやっぱり突出してる印象で。もちろん、実績だったり経験だったりがあってこそなんだろうけど、なんか「甘いコースのシュートは前部止められちゃうだろうな」って思わせるようなタイプのGK。それこそ、立ち振る舞いとかリーダーシップの部分も含めて。ビルドアップへの関与がものすごく上手いって印象ではないけど、ゴールを守る能力の高さではWSLってリーグ自体を代表するGKって言っていいはず。

イングランド代表でも絶対的な存在

プロフィール的な部分も押さえとくと、メアリー・アープスはノッティンガム出身のGKでマンチェスター・ユナイテッドでは背番号27を付けてて、1993年3月7日生まれなんでちょうど31歳になったところってことになる。マンチェスター・ユナイテッドでは2019年からプレイしてるんだけど、2009年にレスター・シティで本格的にキャリアをスタートさせてからノッティンガム・フォレストだったりコヴェントリー・シティだったりレディングだったりいくつかのクラブを渡り歩いてて、マンチェスター・ユナイテッド加入直前にはドイツのヴォルフスブルクに在籍してたこともあったりするらしい。19/20シーズンからマンチェスター・ユナイテッドでプレイしてて、20/21シーズン以降は全試合フルタイム出場中で、リーグ戦出場数はもうすぐ100に届きそうなんで、完全にファースト・チョイスのGKとして君臨してる感じ。

ユース年代からイングランド代表には呼ばれてて、2017年にフル代表でも初出場、2019年にFIFAウィメンズ・ワールドカップ(FIFAWWC)のメンバー入りを果たしてるんだけど、本格的にファースト・チョイスのGKになったのはサリナ・ヴィーグマン(Sarina Wiegman)現イングランド代表監督が就任した2021年以降で、2022年のUEFAウィメンズ・ユーロ(WEURO)で全試合フルタイム出場してイングランド代表の初優勝に、2023年のFIFAWWCで全試合フルタイム出場してイングランド代表の準優勝に大きく貢献してる。

WSLの最も優れたGKに贈られる個人賞のゴールデン・グローヴを22/23シーズンに、ザ・ベストFIFAゴールキーパーを2022年と2023年に受賞してて、2023年のFIFAWWCでもゴールデン・グローヴを獲得してたりして、近年はGKが得られる賞はほとんどもらってる印象。"WSL Watch #028"で紹介したESPNのベスト・プレイヤー50人のランクでは3位、"WSL Watch #030"で紹介した『ザ・ガーディアン』のベスト・プレイヤー100人のランクでは9位に入ってて、どっちもGKとしては最上位だったりもする。文字通り、現在のウィメンズ・フットボールを代表するGKって言っていいはず。

イギリスを代表する女性アスリートとしての評価も

もうひとつ、メアリー・アープスを語るときに欠かせないのは、ある種、時代のアイコンっていうか、イギリスを代表する女性アスリートであり、時代を代表する女性みたいなカリスマティックな存在になってるって点がある。例えば、2023年にBBCスポーツ・パーソナリティ・オブ・ジ・イヤー・アウォードを受賞してるんだけど、この賞は名前の通りサッカーの賞でもなければ女性が対象の賞でもなくて、実際に過去にはF1ドライバーのルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)とかテニス選手のアンディ・マレー(Andy Murray)なんかが受賞してたりする賞で。実は前年にはアーセナルのベス・ミード(Beth Mead)もこの賞を受賞してて、他の競技と含めてもいかにWEUROの初優勝とFIFAWWCの準優勝のインパクトが大きかったかがよくわかったりもする。あと、2024年には大英帝国勲章(MBE)も与えられてたり。それから、2023年のFIFAWWCのタイミングでイングランド代表のユニフォームのサプライヤーのナイキがGKのレプリカを販売しないことに選手の立場から声を上げたことでも話題になったこともあったんだけど、そういう社会的な立ち振る舞いなんかも含めて高く評価されてるし、大きな人気を集めてる印象がすごく強いかな。端的に言って、すごくカッコイイってことなんだけど。

今シーズン終了後の去就にも注目

実はメアリー・アープスは去年の夏と今年の冬の移籍ウィンドウでアーセナルへの移籍がかなり実しやかに噂されてて、実現すれば過去最大級の大型移籍になるなんて言われたりしてたんだけど、結局は実現しなくて。当然、今シーズン終了後にもまた話は再燃しそうなんだけど、最近のいろんな報道とかを見てる感じだと、アーセナルじゃなくて国外? みたいな話もあったりして。GKだからフィールド・プレイヤーよりは長くプレイできるだろうけど、31歳って年齢を考えると大きな移籍のチャンスって意味では最後のタイミングになりそうだし、今年の夏の移籍ウィンドウの大きな目玉になりそう。


more persons to watch ::

この記事が参加している募集

サッカーを語ろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?