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人の音楽人生を支える倶楽部

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レッスンの気まぐれな足跡
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#歌のレッスン

練習の目的

練習の目的

Open Lesson備忘録。

社会的発話を身につける以前の発声を、便宜的に"表のハミング"、と呼んでいる。

かつては誰もが全方位性の発声を使いこなしていた。社会性及び言語を獲得する段で、忘れ去ってしまう発声。
フランチェスコ・タマーニョが死後、解剖された時、特筆すべき点は声帯のタコくらいのものだったという。
わたしたちの楽器は、元来極めて平等なのだった。

表現が豊かである、ということはどう

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制約/必要条件の再考について

制約/必要条件の再考について

Open lesson 備忘録。

物理的制約がある"腕"を用いて、無形の"声"のコントロールを試みるということを、たびたび推奨している。
たったそれだけで、漠然とした響きに芯が通り明確なアーチができる。楽器としての身体が歓び震える。

その光景を、今まで幾度目撃したかもう判らないが、何度体験してもこれはいいものだ。
カオスの中から、人の手に凝って弱々しく爽やかなコスモスの出づること。

今日は

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なぜ?に答える声

なぜ?に答える声

編曲を教えている。
こう話すと、座学で理論でも勉強しているのかと思われがちだが、レッスンの中身は対話と声を出す時間、身体を動かす時間だ。

楽曲は、完成されたものではあり得ない。
どんなに練度の高い曲も、生身のパフォーマーや器を介することではじめて曲という概念に昇華する。

最後に器を差し出す人間が、曲を曲たらしめるのだ。
それなのに、どうしてわたしたちは他人の肉体や声によって完成された曲を、まる

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