見出し画像

歌詞対訳あるある#1 【歌詞対訳をするようになったいきさつー翻訳家のリアルな体験談】

はじめまして。道産子カナダ人農家のJustinと申します。

農園


北海道函館市の隣町、北斗市でカシス・ブルーベリー専門農園を営んでいる30代の男です。

僕が親の農地を引き継いで本格的に農業を始めたのは2012年で、時を同じくしてフリーランスで翻訳の仕事も始めました。(2019年からは、翻訳業を辞めて農業に専念しています)

普段、自分が過去に出版・翻訳業界に携わっていたことを人に言うことはほとんどないのですが、翻訳業界って結構狭い(?)世界だし、楽しいこと・辛いことを含め、それなりに色々と珍しい経験をさせてもらったので、業界の裏話的な感じであるあるエピソードをツラツラと書いてみようと思います。

とは言いつつも、僕は自分以外の翻訳家とほとんど交流がなかったので全て主観に基づいたあるあるになってしまいますが、悪しからず。

※包み隠さず全部ぶっちゃけてしまった方が面白い内容になると思うので、実際に仕事をもらっていた※エージェントの名前は伏せておきます。それと、出版社に対する誤解を招かないよう、携わった具体的な作品名も書かないでおきます。

※クライアントである版元(著作物や作品を販売する出版社)と、僕らのようなフリーの翻訳家の間に入って仕事やお金の割り振りをする会社。芸能界でいえば芸能事務所のようなものだと思っていただいて概ね間違いないです。



歌詞対訳とライナーノーツの翻訳をするようになったいきさつ


当時は東京のエージェント2社ほどから翻訳の仕事をもらっていて、主にCDのライナーノーツ(歌詞カードの1ページ目によく書いてあるアーティストの紹介文)や歌詞の対訳、児童書・絵本・美術書といった書籍の翻訳などをやってました。

ちなみに、本はこんなのを出してます↓(元英語教師である親父との共著)

↑こちらは、東京のエージェントからもらった案件ではなく、懇意にさせていただいている札幌の出版社から出させてもらったもの。

エージェントからもらった書籍翻訳の案件だと、大御所漫画家の画集、絵本、児童書、アニメ作品のファンブックなどがあります。

あとエージェントの手が回らない時は、助っ人要因として、企業のPR文・ビジネスメールの下訳(原稿を推敲する前にだいたいの訳をつける作業)や、本の装丁(InDesignというデザインソフトを使って本の表紙をデザインする業務)、それに英語の教材の質問づくりなど、色々やってました。

特に下積み時代は、自分の名前が表紙やクレジットに載るようなでかい仕事は当然やらせてもらえず、基本的には、既述のような手が回らない業務をちょくちょく手伝う助っ人要因的な役回りで働いてました。

ある程度責任のある仕事をやらせてもらえるようになったのは、下積みとして働き始めて2年くらい経ってから。特に一番やらせてもらったのは海外アーティストの楽曲の英語の歌詞を日本語に訳す対訳の仕事で、ちゃんと数えたことはないんですが、曲数でいうと多分500〜700曲くらいやったと思います。


画像2

※ちなみに翻訳には、かなり大雑把に分けて

・「直訳

(文構造や単語の意味を崩さず、できるだけ正確にそのまま訳すスタイル)

・「意訳

(作者の意図と文章全体の文脈を汲み取って、ある程度自分の好きなように訳すスタイル)

の2種類があるんですけど、僕は作品に自分のバイアスを加えて創造性を発揮できる意訳の方が、どちらかといえば得意でした。

あと、僕は3度の飯よりも音楽が好きなくらいの音楽オタクなので、エージェントの担当者の方がその辺も汲んでくれて、意訳の力が最も必要な歌詞対訳をやらせてくれてたんだと思います。

好きなヤツにやらせれば、丁寧に仕上げて納期も守りますしね。一般的に翻訳業界では、当然最初は仕事を選ばせてもらえませんが、実績を積んでいけば徐々に好きなジャンルの作品をやらせてもらえるようになっていきます。


対訳した主な作品


携わらせていただいた一部アーティストとバンドは以下の通り↓

・ポール・マッカートニー

・エミネム

・クイーン

・メタリカ

・ニルヴァーナ

・ブライアン・アダムス

・バッド・カンパニー

・エスペランザ・スパルディング

・INXS

・ニッキー・ヤノフスキー 

・ヴィレッジ・ピープル

・ジェントル・ジャイアント

etc...

特に、高校時代からアホみたいに聞きまくってたニルヴァーナやメタリカのアルバムの歌詞対訳をやらせてもらったときはマジで胸アツでした。対訳している間も脳汁出っぱなしで、最高に楽しい体験でした。

が、やらせてもらった作品が過去のアルバムのリイシュー版でどこのレーベルから出されたものなのか忘れてしまったため(対訳文のデータも無くしてしまった・・・)、今もってどこで売られているのか分からない状態です(T_T) 

しかも、実はそういう作品が結構たくさんあります。というのも、なんせあの頃は、エージェントから続々と送られてくる大量の楽曲の歌詞を、締切に追われてヒーヒー言いながら右から左へ対訳してはメール添付して送り返すという毎日を送っていたため、いちいちアルバムの詳細な情報を確認する余裕がなかったんですよね。ちゃんと記録しておけば良かった、と今では後悔しています(T_T)

というか、ここまで来てすでに2000文字以上書いていることに今更ながら気づきましたw。前置きがずいぶん長くなってしまいましたが、この記事を前編ということにして、次回の後編から本題である「歌詞対訳あるある」を書いてみようと思います。

ここまで読んでいただいた方、せっかくお付き合いいただいたのに肝心の本題に入れず申し訳ありませんm(_ _)m 後日、もし良ければ続きを読んでいただけたら幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

続きはこちら👇




この記事が参加している募集

業界あるある

英語がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?