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1.京都盆地は断層運動と複合扇状地、チャートと花崗岩の4つでほぼ理解できる。

京都盆地は地球表面のシワのようなもの。フィリピン海プレートが南海トラフに沈み込むエネルギーの流れを妄想する。

 京都には京都盆地を一望できる場所がいくつもあります。タモリさんならその風景を見ながら盆地がどのようにできていったのかの妄想を膨らませていくことでしょう。このnoteでは、そんな妄想を膨らますためのプチ知識をわかりやすく解説していきたいと思っています。まずは断層運動から。
 京都盆地は三方を山に囲まれて南北に細長い形状をしています。盆地内は緩やかに傾斜しており北側が高くて南側が低く、盆地周辺に降った雨などは桂川や鴨川、宇治川、木津川などに集められ、男山と天王山の間の狭い狭隘部を通って淀川となり大阪湾へ流れていきます。下の地形図では断層と明治期の地図を重ねていますが、盆地のもっとも低い場所に巨椋池《おぐらいけ》という大きな池があったことがわかります。

京都盆地の地形図に断層と明治期の地図を重ねています。(カシミール3Dで作成)

 上の地形図では盆地内の断層は基本的に縦に流れて、東西方向から強い力を受けて東西の山々は隆起し、中央部の南側が沈降していることがわかります。特徴的なのが盆地の北部。丹波高地と呼ばれる山々も隆起しており盆地内は緩やかに北から南に傾斜しています。

京都盆地形成機構のモデル
「京都盆地周縁部における第四紀の断層活動および盆地形成過程(吉岡敏和)」より作成

 上の図は盆地形成のしくみを3つのブロックに分けてわかりやすくした概念図です。東西から信楽高原と北摂山地に押されて京都盆地が沈降し、丹波高地はその東西両側で横ずれを起こしながら隆起しています。この概念図で着目したいのは、丹波高地のブロックがやや北東部分が高く傾斜しているところ。次回以降の鴨川のつけかえ説の解説とも関係してきます。

京都盆地周辺の活断層の分布(広域)
「京都盆地周縁部における第四紀の断層活動および盆地形成過程(吉岡敏和)」より作成

 広域の地形図と重ねるとそのしくみがより理解しやすくなります。丹波高地のブロックが東西ブロックに乗り上げる形となって丹波高地が隆起し、同時に近江盆地や亀岡盆地が沈降したことがこの地形図からもわかるのではないでしょうか。では、東西から押されたといわれる強力な力はどこからきたのでしょう。

日本列島周辺のプレート構造
萩原尊禮編「日本列島の地震,地震工学と地震地体構造/鹿島出版会」に加筆

 上の図はプレートテクトニクス の概念図です。日本列島周辺には4つのプレートが入り組んだ地球上でも稀有な場所です。この中で関西の地形に大きな影響を与えているのがフィリピン海プレートの動きです。かつてフィリピン海プレートは北に向かって南海トラフに沈み込んでいました。ところが今から300万年前に運動方向を45度北西に変化させます。それは、巨大な太平洋プレートとの衝突を回避するためだと考えられています。その変化によって日本海溝は西側に進み東日本は強く圧縮されて奥羽山脈などの山々を隆起させました。西日本では中央構造線が動き出して南側が西へ引きずられていきます。

瀬戸内海の隆起域と沈降域 (巽好幸先生 @VolcanoMagma の画像を参考に作成)

 上の図は中央構造線の南側の地塊が西向きに動き出したことで、その北側が引きずられるようにシワのような凸凹の地殻変動が起きた様子を表しています。瀬戸内海では島々が集まった隆起域と灘が広がった沈降域が交互に並んでいることがわかります。その延長線上にある関西エリアでも大阪湾〜上町台地〜河内低地〜生駒山地〜奈良盆地・京都盆地など凸凹した地形が交互に並んでいるのです。京都盆地の地形は、地球規模で考えると地球の表面にできたシワのようなものと言えるかもしれませんね。

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