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日向坂46

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僕が日向坂46にハマったきっかけ、このグループに感じる魅力についてまとめています。
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僕たちはもうすぐ会えるはず:日向坂46四期生「新参者」感想

僕たちはもうすぐ会えるはず:日向坂46四期生「新参者」感想

2023年は日向坂46にとって苦しい一年だった。これからグループをけん引するエンジンになり得た影山優佳が卒業し、W-KEYAKI FES.の発展的解消や「ひなくり」の開催見送りによりグループがステージに立つ機会は減少。シングル・アルバムのリリース頻度は上がったものの、残念ながらMV再生回数やサブスク配信の指標は右肩下がりだった。雑誌やテレビの出演回数は増えつつあり、けっして露出が少ないわけではない

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流動体について: 「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」感想

流動体について: 「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」感想

「迷おう。それが始まりだから。」のことばに誘われて、アイドルの世界の門を叩いた51,038人の少女たち。その中から選ばれた12人のメンバーが、幕張メッセイベントホールのステージに立っている。2023年2月11日・12日の二日間にかけて開催された「おもてなし会」は、そんな日向坂46 四期生が主役として舞台に上がる最初のライブだった。

見どころの多いライブだったけれど、中でも特に僕の印象に残ったのは

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凡庸に葛藤すること:日向坂46「月と星が踊るMidnight」感想

凡庸に葛藤すること:日向坂46「月と星が踊るMidnight」感想

僕は仏像を見るのが好きだ。見ると気持ちが落ち着くし、癒やされる。気に入った仏像の前では何十分でも立っていられる。しばらく見つめていると、僕の心の中の葛藤や煩悩がぜんぶ見透かされている気分になる。人間が作ったものなのに、人知を超えた何かが宿っている。そうとしか思えない瞬間が立ち現れてくるのだ。

でも、すべての仏像に対してそういう感想を抱くわけではない。仏像そのものだけでなく、その仏像がもつ長い歴史

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十人十色のアイドル論:「アイドルについて葛藤しながら考えてみた」感想

十人十色のアイドル論:「アイドルについて葛藤しながら考えてみた」感想

アイドルオタクの間で話題の新著「アイドルについて葛藤しながら考えてみた」を読んだ。

アイドルとは実に厄介なエンタメだ。外から見ると少々気味が悪い世界(少なくとも僕はそう思っていた)だが、内から見ると眩しすぎるぐらいに輝いている。楽しさもドキドキも切なさも味わえる。坂道のようなメジャーアイドルであれば毎日何かしらのコンテンツ供給があり、本書の中でも触れられているようにある種のインフラのように生活の

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渡邉美穂の卒業と世界の終わり

渡邉美穂の卒業と世界の終わり

渡邉美穂がアイドルを卒業する。

振り返ってみれば、僕が日向坂とともに歩んできたこの二年半は、思い通りに行かないことばかりだった。胸を張って、いまのところ僕の人生でいちばんの谷だと言い切ることができる。二年前の春に彼女に振られて、そのまま世の中はコロナ禍に突入し、年末年始は濃厚接触者になって一歩も家から出られず、年が明けて心機一転と思ったらこんどは職場で激務の部署に飛ばされ、毎日のように怒られたり

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 日向坂46「3周年記念MEMORIAL LIVE~3回目のひな誕祭~」のセットリストを考える

日向坂46「3周年記念MEMORIAL LIVE~3回目のひな誕祭~」のセットリストを考える

ことしの3月30日と31日の二日間に分けて「3周年記念MEMORIAL LIVE~3回目のひな誕祭~」を東京ドームで開催されることが決まった。ついにたどり着いた約束の卵。もともとは2019年末の「ひなくり2019」でサプライズ発表されたように翌年の「ひなくり2020」でその夢は達成されるはずだった。しかし、言わずもがなコロナ禍によって日向坂46の活動は、2020年春以降、大幅に制限されることになる

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迷おう。それが始まりだから。:日向坂46新メンバー募集が示す「選択」

迷おう。それが始まりだから。:日向坂46新メンバー募集が示す「選択」

創業者の正垣泰彦いわく、サイゼリヤは「たくさんのメニューから好きな組み合わせで料理を選べること」かつ「なにを組み合わせてもお手軽な価格に抑えられること」ことを売りにしているらしい。正直、サイゼリヤはお腹いっぱい食べようと思うとそれほど安くはならない。吉野家やマクドナルドの方がコスパはいい。でも、サラダとパスタとデザートとドリンクバーを頼んでも1,000円を超えない。上限が決まっているから、お財布を

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「日向坂46の第三章」へとつなげるバトン :「ひなくり2021 DAY2」感想

「日向坂46の第三章」へとつなげるバトン :「ひなくり2021 DAY2」感想

ことしも残り一週間。祝祭ムード一色のクリスマス当日、僕は幕張メッセで「ひなくり2021 DAY2」を観た。はじめて現地でライブ参戦した「W-KEYAKI FES. DAY2」の新鮮な感動を超えるものではなかったが、日向坂のファンとしてこの一年を締めくくるには満足な内容だった。この興奮が冷めないうちに、感想を書き留めておこう。後半はだいぶ好き勝手な妄想を書いているので、適当に読んでいただければと思い

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ふたりの次世代エースが担う未来:日向坂46 6thシングル「ってか」

ふたりの次世代エースが担う未来:日向坂46 6thシングル「ってか」

日向坂46の6枚目シングル「ってか」が10月27日にいよいよリリースされる。センターは初起用の金村美玖。齊藤京子をセンターに予想する声も多かっただけに、今回の抜擢は若干の驚きをもって受け止められたが、多くのファンの予想をいい意味で裏切る、あたらしい日向坂のセンター像を彼女は作り上げた。本作は「金村美玖のシングル」と言っても過言ではない。このnoteでは、表題曲「ってか」から「アディショナルタイム」

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逆風に立ち向かう力強さ:日向坂46 6thシングル「ってか」

逆風に立ち向かう力強さ:日向坂46 6thシングル「ってか」

PCのキーボードが壊れた。「a」と「o」が反応せず、ほぼ使い物にならなくなった。しかし、だからと言って困ることもなく、一ヶ月近く放置してしまった。当然、noteの更新も滞っていた。きょうやっと新しいPCを買ったので、このように文章を書いている。しかし、この空白の一ヶ間にも、日向坂46は着実に活躍の幅を広げていた。

たとえば、全国アリーナツアー「全国おひさま化計画」の巡業開始。あるいは、濱岸ひより

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「坂道」の女優業を振り返る:乃木坂46、櫻坂46、日向坂46の過去と未来

「坂道」の女優業を振り返る:乃木坂46、櫻坂46、日向坂46の過去と未来

アイドルのキャリアは短い。特に女性アイドルが結婚・出産を経てもなお現役を続けるケースはかなりレアだ。一生続けられる職業ではないとなると、当然、卒業後のキャリアも考えながらアイドル活動をしなければならない。先日「アイドルの元マネージャー」を名乗る人が匿名でアイドル業界の裏側を暴露し、話題になった。ざっくり言うとアイドル業界は「アイドル以外何も出来ない女の子」を量産しているという告発文である。書かれて

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「キョコロヒー」:水曜深夜の異空間

「キョコロヒー」:水曜深夜の異空間

日向坂の出演番組を追いかけていると、たいして興味のなかった共演者の芸人もいっしょに好きになってしまうことがある。冠番組「日向坂で会いましょう」のオードリーはもちろん、吉本臭がキツくてどちらかというと僕の中では「嫌い」のカテゴリーだった小籔千豊も「HINABINGO!」を見ているうちに好感を持つようになった。配信番組だと「大好き!日向坂」のアンタッチャブル柴田やアンジャッシュ児嶋、「日向坂46です。

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「カッコイイ」が勝る瞬間:「W-KEYAKI FES. 2021」DAY2 日向坂46単独公演

「カッコイイ」が勝る瞬間:「W-KEYAKI FES. 2021」DAY2 日向坂46単独公演

アイドルにハマったからには一度は行きたいと思っていた現地ライブ。「W-KEYAKI FES. 2021」二日目の日向坂単独公演のチケットを見事引き当てたので、友だちとふたりで行ってきました。最高に楽しかった。その一言に尽きる。いつもはあーだこーだこねくり回すけれど、今回は興奮を忘れないうちに、純粋に思ったことを書き連ねていきたい。

今回、僕が当選したのは「E14」ブロック。センターステージからは

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日向坂46「君しか勝たん」個人PV感想:[TYPE-B]編

日向坂46「君しか勝たん」個人PV感想:[TYPE-B]編

前回に引き続き「君しか勝たん」の個人PVを振り返っていこう。今回はTYPE-Bに収録されている作品について考える。

潮紗理菜「潮紗理菜の世界民族楽器の旅」

すさまじくEテレ臭のする企画だ。そもそもなっちょ自身、公共放送の趣がある。「今このような状況の中で誰か一人でも明るい気持ちになれるものがしたい」という思いから生まれたこの個人PVは、彼女の狙い通り、ハッピーオーラに満ちた内容になっている。「

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