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【推薦図書】開高健、オススメ9冊。

大江健三郎は 
知識人的な作家として生きた。
そんな大江と好対照だったのが
行動派作家、開高健。

どちらが好きか?といわれると
答えるのは難しい。

大江を読みたい日もあれば、
開高を読みたい日もある。
二人は合わせて読むのが
理想かもしれません。

さて、今日は、
開高健を読むなら、
何がオススメかを、
考えてみようと思います。

ちなみに、
開高健が1957年に芥川賞をとり、
大江は1958年芥川賞をとっている。 ほぼ同時代を生きた好敵手でした。
 

◯『最後の晩餐』
論考エッセイ。
食べることを通して、 
人間を考え抜く貪欲な思考の果実。
全21章にわたる食エッセイは
圧倒的な角度から迫っている。

◯『開口閉口』
釣りの話から、
日常の与太話、
自然の変化を嘆く話や、
海外文化を語るなど、
とにかく雑多なエッセイ集。

◯『開高健の文学論』
論考だけど、サクサク読める
文学エッセイ。
開高健が好きだった作家について
様々な視点から見極めようとした
渾身なエッセイ。
取り上げられている本が
読みたくなります。

◯『ベトナム戦記』
ベトナム戦争に臨んだ
渾身のルポルタージュ。
一度は銃撃戦に遭遇し、
死にかけた体験の持ち主の
ルポルタージュはやはり
凄みがあります。

◯『私の釣魚大全』
気軽な釣りエッセイ。
開高健の作品で
いちばん肩のチカラが
抜けている読み物。
釣りが好きでない人でも
するっと読めちゃう本。
釣りを通して、自然や人間を
見つめる開高のまなざしは
子どものように無邪気。

◯『輝ける闇』 
ベトナム戦争に従軍した体験を
投影したフィクション。
一見、開高自身の
ノンフィクションかと感じる、
戦争小説の傑作。

◯『夏の闇』
ベトナム戦争によって
あらゆる希望を喪い、
絶望に蝕まれてしまった知識人を
描いたフィクション。
これもまた、一見、開高の
私小説かと見紛う小説。

◯『珠玉』
開高健、生前最後の遺作。
文体を極め尽くした 
晩年ならではの、
リズミカルな名調子の作品。
三つの不可思議な短編集。

◯『流亡記・歩く影たち』
オススメなのは『歩く影たち』。
ベトナム戦争に従軍して以来、
大きく変わった人間観や世界観が
描かれた短編集。
人間とは歩く影に過ぎない、
というのは、シェークスピアの
言葉に由来している。
人間は歩く影かあ。

ベトナムの戦場で開高は
人間のギリギリの姿を
見たにちがいない。

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