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【映画】小津安二郎の映画は年齢とともに好きになる?

今年2023年は、
小津安二郎監督の生誕120年、
だそうです。

『東京物語』『麦秋』『晩春』
『彼岸花』『お茶漬けの味』など、
名作は数多い。
日本より海外で人気かもしれない。

私が20歳の頃、
今から30数年前ですが、
映画好きと名乗るような人間は、
小津安二郎監督と
黒澤明監督の二人の作品は、
あらかた観るのが、
なんとなくあたり前の「教養」?(笑)
みたいになっていて、
私も名画座などに通ってました。

20代は、小津安二郎の良さは
あまり分からなかった。
分からなかったけど、
そんなことは絶対に言わなかった。
分かっているふりをしました。

一方、派手で勧善懲悪な
黒澤明監督の映画は、
その面白さはよくわかりました。
『七人の侍』『椿三十郎』
『生きる』『野良犬』『羅生門』
などなど、ストーリー展開を
そのまま味わえばもう充分。
難しいところは一つもなかった。
だから、20代は黒澤明派でした。
(笑)。

ところが、です。
40代くらいになると、
黒澤映画は噛んで噛んで、
もう味がしなくなってきたんです。
黒澤明はミステリーも上手いし、
分かりやすい人生哲学もあるし、
痛快な時代劇は特に真骨頂。

でも、それぞれ、
数回みたら、まあ、味がしなくなる。

ところが、
小津映画は、
若い頃はよく分からなかったのに、
歳をとると、ますます味がするんです。
それも得も言われぬ味がする。

50歳を過ぎると、
小津映画の味はますます深まり、
黒澤映画の味はますます薄くなる。

もちろん、黒澤明は
スピルバーグらに影響を与えた
名匠であることは間違いない。

アクション満載、
展開キレキレ、
恋に、友情に、悪党成敗、
何でも揃うデパート映画です。

でも、小津安二郎は
ストーリーはあまり関係なく、
ただただ会話のテンポがよく、
おしゃべりしたり、
笑ったり、泣いたり、嘆いたり、
食べたりするシーンが続いていく。
あらすじにしたら、
200字以内で書けてしまいそう。
日常的な場面がシンプルに続いてく。
これが人生なんだと言うように。

それが小津映画を観ていて、
ぜんぜん飽きない理由なのかも。
何回も、噛んでも噛んでも
味がし続けるんですよね。

人生は、小津映画のように
シンプルに続いていく。
シンプルの美しさは、
歳をとってやっとわかる類の
魅力なんでしょう。

ちなみに、私が一番好きな
小津映画は『秋刀魚の味』です。
小津安二郎最後の遺作。
『東京物語』よりも好き。
カラーだからかな?(笑)。

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