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【青春】日本文学はポジティブな青春小説がまだ少ない!?

小説には魂が宿る?

私は、魂は宿ると思っています。

本は古今東西、何万冊もありますが、
私にとって肝心なのは、
その魂がよこすオーラが私の心に
刺さりやすいかどうか?ですね。

はなはだ私的な感覚ですが、
志賀直哉や、島崎藤村、武者小路実篤
といった人々の魂は、
今の私には価値ある問題提議を
してくれない気がします。

だから、
今の若い人で、
志賀直哉や島崎藤村を
愛読してる人に合ったら、
びっくりしますね。
まあ、まだ合った事がないですが。

作家の宮本輝は、
毎年一度は島崎藤村の晩年作品
『夜明け前』を読むと話してた。
『夜明け前』は自意識過剰な
藤村の他の作品に比べて
自己弁明的なナルシストさから
唯一解放された作品ですよね。
島崎藤村は『夜明け前』一作に
尽きる気がします。
 
志賀直哉は、どうか?
これも、若い人たちで、
志賀直哉を愛読してます
なんて人はめったにいない。

志賀直哉や武者小路実篤を
研究するとして、
今なお古びないのは、
芸術グループ「白樺派」の人々が
宮崎県に入って生活共同体
「新しい村」を切り拓いた
という出来事でしょうか。
 
「新しい村」は
いわば、自分たちで
農業をしたり家を立てたり、
芸術にうちこもうとした
武者小路実篤の提唱から
スタートしたものでした。

別に新興宗教やカルト集団ではなく、
「ヤマギシズム」に近いのかなあ。
日本文学で、現実に対して
具体的に強く関わろうとしたのは
珍しい事でした。

ちなみに、今もその村は、
数少ない「村民」によって
宮崎県と埼玉県で、
100年以上続いているそうです。

そうそう、武者小路実篤。 
この作家も『友情』一作に
尽きますが、それは爆笑な
オクテ男子の青春ストーリーで、
森見登美彦さんのデビュー作
『太陽の塔』みたいです。

青春はやっぱり面白くなくちゃ。

青春ストーリーで
男子学生が空回りしたり、
自意識過剰すぎて笑える作品って
どんなものがあるかしら?

庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』1973
三田誠広『僕って何』1977
田中康夫『なんとなく、クリスタル』1980
村上春樹『蛍』1984
村上龍『69 sixty nine』1987
森見登美彦『太陽の塔』2003 
万城目学『鴨川ホルモー』2006
などなど、
暗くない青春文学も、
色々ありますね。

生真面目さが勝りがちな 
日本文学では、
ユーモラスな青春小説は貴重ですね。

まあ、最近人気のライトノベルを
よく知る方々にすれば、
そんなの、もうトックのトックだよ、 
と笑われてしまいそう(汗)。

青春とは
時に孤独とか挫折とか苦悩とか
そんな形容詞の
キャッチコピーが多いけれど、
森見登美彦や万城目学ら辺りから
あきらかに
ユーモラスさの度合いが
激変してきた印象があります。

「文学にもっと笑いを!」
とは、さんざん言われながら、
昭和の作家ではなかなか
笑いは、できなかった。

基本、真面目過ぎる人々が今まで
作家界を形成してきましたからね。

笑いっぱなしの青春文学、
これからももっともっと
たくさん生まれてきますように。

あ、私も笑える青春小説、
書いちゃおうかしら?(笑)
格調高い文学は無理でも。

いや、笑わせるって
感動や癒やしより、
実は一番難しいんですけどね。

 

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