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【短編】長編と違って、読み切りマンガは哀しい存在なのです。

今日の「読売新聞」文化欄で
羨ましい記事を見つけた。

戦後マンガの短編アンソロジーが
今年だけで、3シリーズも出たという。
特に70年代に書かれたマンガが
多いらしい。

文学や映画では、これにあたる
企画はあまり見当たらないですね。
マンガは、見込み購読者数が
多いから、企画として
可能なんでしょうか。

ただ、選者が男性作家や
男性のマンガ研究者ばかりで、
少女マンガがごっそり
抜け落ちてるそうで、
それはネットで既に
批判されているらしい。

ちなみに、短編アンソロジーは
○ちくま文庫『現代マンガ選集』
全8巻
○小学館『日本短編漫画傑作集』
全6巻。
○あすなろ書房『家族でたのしむ「まんが発見!」』全9巻。

『孤独のグルメ』で同じみ
谷口ジローのハードボイルド漫画等、
レアな作品が集められているらしい。

そもそも、短編読み切りは、
出版社では「冷遇」されている。
何十巻もの続きものは
ドル箱だけど、
先生がどうしてもこれ、描きたいんだ
といって雑誌に載ったもの、
それも、きっと何か他の連載マンガが
締め切りに間に合わずに
運よく?雑誌に載った読み切り。

そういう作品は、いつか
同じ先生がコミックスを出す時、
ページ数の関係上、
併せ技で収録されるか、
あるいは、もう単行本としては
永久に形になることはないか。

手塚治虫先生にも、
「雨ふり小僧」など、
読み切り短編の名作はいっぱい。

そうした読み切り短編の
名作を集めた選集が集英社文庫から
昔は出てましたけど、売れないのか、
今はみな「絶版」ですから、
電子で見るしかない。

読み切り短編が上手い人って
人気マンガ家にかなり多くて、
きっと担当者は、どう売りだそうか
悩んできたにちがいない。

山岸凉子先生は、
マンガには余りセンサーがない筈の
文春文庫から何冊か出ていたり。
いくえみ綾先生も、
『バラ色の明日』『潔く柔く』の
時期になぜか読み切りが多く、
しかも完成度がめちゃ高くて、
『いくえみ綾読み切り傑作選』として
2冊出ていますが、
長編を大事にし過ぎる出版社の
悪弊のなか、かろうじて
発刊されている感じです。

でも、山岸先生やいくえみ先生のような
大作家で初めて、販売部もしぶしぶ
OKをくれたんだろうなというのは
想像がついてしまう。

文学でも、
6年前、新潮文庫から
「日本文学100年」を記念した
短編アンソロジーが
毎月一冊ずつ出してましたね。
全10巻でした。

あれも、話題にはなりましたが、
いかんせん、間口が広過ぎて、
売れ行きは厳しかったのかなあ。
今、本屋さんの棚にあるのを
見たことがありません。

でも、忘れがたい短編に
出会ってしまうこと、
ありませんか?

個人的なベスト読み切りを
あげろと言われたら、
いくえみ綾さんの
『頼ちゃんは叶わぬ恋をしている』
手塚治虫先生の『雨ふり小僧』は
ずっといつも心の真ん中に
ありますね。

話がまた、逸れました。
元に戻しましょう。

今回、漫画の読み切り短編集が
3企画も別々な会社から
刊行され、喜んでいましたが、
いや、逆に
古いレトロな漫画がまだ人に
影響力を与え得る最後の時代だから…?
そんな思いが背後に秘められている
かもしれません。

今のデジタル化した漫画業界は
明らかに次世代志向ですから。

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