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【文豪】安部公房が読み辛いのはなぜだろうか?

今年が生誕100年だからか、
安部公房の文庫本が、
本屋さんでしっかり並べてある。
よく目にしますね。

安部公房。
積ん読派(笑)の私の部屋にも、
新潮文庫の安部公房作品は
全部揃っています。

でも、正直、申し上げます。
長編は1冊も、最後までは
読めた試しがありません。

代表作の『砂の女』も
何度もチャレンジしてますが、
なかなか最後までは…。

どうしてだろう?

思うに、安部公房は
設定が面白いんですよ。
悪くいえば、
お笑いでいうところの
「出落ち」なのではないかしら?

安部公房をリスペクトして
読んでいるファンの方々には
叱られそうですね。

頭に段ボール箱をかぶった男。
顔をケロイドで失った男。
砂地獄からずっと出られない男。
核シェルターから出られない男。
ひざからカイワレ大根が生える男。
逃走する妻をひたすら追いかける男。

なんていうのか、
長編は、設定を読んだら、
どれもミステリーというか
サスペンスというか、
面白そうとワクワクしますよね。

なのに、
安部公房っていうと、
サスペンスとかミステリーと
扱われたりしない。
安部公房は「純文学」扱いですね。

私は、でも、
安部公房は、
その不可思議さから、
サスペンス扱いしたら、
もっと読めるのかなあ?

わたしが今まで、安部公房を
踏破できないのは、
純文学扱いだからだろうなあ、と。
それも自分でそう無意識に
思い込んじゃってるんだから、
タチが悪いのかな。

明日からは、
安部公房は、
2時間サスペンスだと思い込んで、
敷居を低くしよう。
そしたら、もう少し、
気楽に安部公房を
読めるようになるでしょう。

安部公房ファンの皆様、
安部公房は出落ちだなんて言って
申し訳ありませんでした。

それにしても、
こんなに自意識の洪水に
溺れるようなテーマばかりの
安部公房だけど、
どれも、映像化は
不思議と成功しているんですよね。

設定がうまく出来ていて、
展開もサスペンスフルなら、
そりゃあ、
映画化、ドラマ化には
向いてますよね。

安部公房は、
2時間サスペンス!(笑)
そう暗示にかけたら、
今度こそ、最後まで
読み通せますかしら?

ちなみに、
余談ですが、
ロシアや東欧では、
村上春樹よりも
安部公房が人気が高いそうです。

表情の薄い官僚、
テクノクラートたちが
無表情なまま世界を支配していた?
そんな地域では、
安部公房の珍奇なはずの設定が
変にリアルで身近に有り得そうで
怖いからでしょうか。

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