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【小説】全力投球より、肩の力を抜いた方が名作になる?

いつも全力投球すればいい…訳ではない。
時には肩の力を抜くのも、必要ですね。
それをつくづく痛感するのは、
文豪がちょっとカジュアルに書いた作品が
バランスもよく、押しつけがましくなく、
楽しく読める名作が生まれるから。

遠藤周作『砂の城』。
これは遠藤さんが力を入れてた
救済や罪の問題などはなく、
青春小説としてスラスラ読める名作。
『彼の生きかた』は吃音のため、
人間関係に苦しんで、動物の研究に
身を捧げた研究者の話。
愛にまつわる人物像がユーモラスに
描かれて傑作です。

三島由紀夫は普段はゴリゴリに
芸術的な文章を極めようとしたけど、
たまに、肩の力を抜いた作品があり、
私個人的には、そっちが三島の
得意分野に思えてならないんです。

『永すぎた春』や『夏子の冒険』は
どちらも年若い男女の恋愛模様ですが、
三島作品でこんなサービス精神旺盛の小説、
なかなか、ないんじゃないか?と。
もしかしたら三島はこういう通俗小説が
得意だったのかもしれない。

司馬遼太郎にも、そういう脱力した
作品があります。『最後の将軍』とか
『風神の門』とか。

大抵の作家や漫画家には
そんな風に肩の力を抜いたゆえ
かえって名作になった作品があるもの
かもしれません。

これは、作家や創作に限らないですね。
生きるということにも
同じことが言えるのでしょうね?

毎日、ずっと全力投球では、いつか
精神力が消耗したり、心の筋肉が
ギリギリで断裂するかもしれない。

同じように比較するのは僭越だけど、
ただのヘッポコな私は
noteに書く時はまだ肩にガチガチに
力が入ってしまう。
力を抜いて軽やかにかっこよく
書くことはできませんねえ(笑)。

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