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[役立つ][生産性]の強迫観念は一体どこから来るのだろう?

「役に立つ」という脅迫観念が
同調圧力として感じることが増えました。
つい先日、ある銀行が65歳まで定年を
引き上げるという話題が出た時。
「70歳まで会社にしがみつく人が
会社を弱体化させる!」という記事が
ネットをざわつかせました。
老害おやじが結果も出せずに威張り続け、
そんな彼らの給料は若い世代が
働いて捻出するほかなく、
若者はどんどん日本の会社を辞めていく…
そうなれば日本経済は弱体化する…
そんな強引な記事でした。

そんな訳ないじゃん?!
どうしてこんな稚拙な人間観察で
書いた記事が話題になるんだろう?
ネガティブ思考の連鎖の連鎖。
正直、もう笑うしかないですね。

まず、たとえ定年70歳になったにせよ、
老人が必ず「老害」になるという
決め付けはナンセンスだし、
老人も愚かかもしれないけど、
若者の負担を大きくするなら、
いつか共倒れになるから、
先に建設的な打開策を模索するはず。

私も50歳だから、若い世代が生んだ利益で
食べさせてもらってる実感があります。
エンタメ出版社で最前線でいられるのは
30代40代前半までかな、
人気や流行を作れるのは。
40代後半や50代は前線の現場管理の担当、
50代後半は組織全体の管理や改善が担当、
というのが妥当な現状でしょうか?

それにしても、この記事の根幹にあるのは、
社員は会社に貢献し生産性を高めるために
働いていくという考え方ですね。
「社会に役立つ」「会社に役に立つ」
そういう狭い視野からなっている。
役に立たないことがそんなにダメというか、
怖いことなのねえ?

そういえば、この夏、
探検家の角幡唯介さんに
若い新聞記者が取材に来て、
探検家って社会の役に立つとか
生産性の向上には繋がらないですが、
どうして探検家になったのですか?
みたいな質問をして、呆れさせた。
角幡さんはこの質問を機に
「役に立つ」「生産性」ということが
今、呪いのようになっているのでは?
といった提言をし大きな反響を呼びました。

確かに、探検家と「経済的生産性」は
一見、関係性が見えないけれど、
探検家のおかげで、私たちは
地球の環境状況に無知にならずにいられる。
ある意味、途方も無く意味のある仕事です。

「生産性」「効率」「利益」に縛られた
人間に足りないのは何でしょう?
それは「自由」ですね、きっと。
自由は、生産性や効率よりずっと重要。
自由より生産性が大切と思われだしたら、
もはやただの働くロボット工場に
成り果ててしまいそう。

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