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[Bon Dance]盆踊りをハワイで

日系人の多いここハワイでは、8月になると町のあちらこちらでBon Dance (盆踊り)がある。

日系文化が浸透した今では、日系人に限らずたくさんのローカル達が浴衣やはっぴを着てやぐらの周りで楽しそうに踊っている。

この時期になると決まって思い出す事がある。


時は高度経済成長期、小学生だった私は横浜に住んでいた。

冷蔵庫の製氷噐がまだ多く普及されていなかったのか、大きな氷の塊をノコギリで切り売りする氷屋があったし、第一京浜道路沿いのパン屋のショウケースの中では、はつかねずみが毎日、滑車を回していたそんな時代だ。

子供心に(この店でパンは絶対買うまい)と思っていた。

私が通っていた小学校は公害認定校となり、各教室には天井まで届く大きな空気清浄機が設置されたりもした。

ある日、駅前の高架下に盆踊りのやぐらが作られた。

やぐらの真上は分厚いコンクリートの道路で空が見えない。その上を車が排気ガスをぶんぶんまいて走っていたことだろう。

私は友達と一緒に、やぐらを見上げながら盆踊りの日を楽しみにしていた。

やぐらのすぐ隣のビルの1階は大衆酒場で異様な匂いを放っていた。その上には社交ダンスの看板があって大人の男女がいつもクルクル踊っているのが窓から見えた。

盆踊りの夜の私は、風呂上がりの鼻にひとすじシッカロールで線をつけて、見よう見まねでおどおどと踊っていたんだと思う。

そんな時、盆踊りの曲調がガラリと変わった。明るい大きな声でその歌手はこう歌っていた。


これから31年たてば  この世は21世紀   

その時2人はどうしているの 

やっぱり愛しているかしら

シャンララ    シャンララ     シャンララララララ

21世紀の夜明けは近い 

火星に金星 遠くの星に旅行に出かけているかしら


小学生の私が31年も先のことなど想像もつかなかったが、21世紀に対してとても大きな夢を持たせてくれる歌だった。

それから何十年後、私はこの曲を再度聞くことができた。

それが日本ではなく、ハワイの盆踊りでだったのだ。


この曲を聞いた瞬間、小学生の自分の事や、あの酒場のむせかえる匂いとか、今まで起きた色々な事や、21世紀を生きている事とか、この曲をハワイでまた聞けた驚きとか、たくさんの思い出や感情が溢れだしてきた。


これから31年たてば 地球も変わっているでしょう

誰でもみんなが幸せになり 平和に暮らしているかしら

21世紀の夜明けは近い


あの時の小学生の自分に言ってあげたい。

これから、たくさんの事が待ち受けてるけどあなたの未来、すてたもんじゃないよ......と。


(二十一世紀音頭 オリジナル by 佐良直美)







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