見出し画像

名作ミステリー小説10選・国内篇

ミステリーを堪能する!

『名探偵コナン』や『金田一少年の事件簿』。今や、ミステリーは世代を問わず人気のあるジャンルですね。

ミステリーの始まりはエドガー・アラン・ポーの『モルグ街の殺人』と言われています。その後、日本でも泉鏡花、尾崎紅葉、芥川龍之介、谷崎潤一郎をはじめとした文豪たちがミステリー風の作品を発表しました。
ポーやコナン・ドイルなどの作品を原書で読み、文豪たちの作品に刺激を受けた江戸川乱歩は『二銭銅貨』を発表。この乱歩のデビュー作は日本最初の本格探偵小説とされています。

本格」とは、謎解きを主眼にし、トリックがきちんと読者に開示され、名探偵が活躍するものを指すのが一般的です。

その後、乱歩の親友であり、ライバルの横溝正史が本格推理に欠かせない、「密室」殺人の作品を多く世に生み出し「横溝ブーム」を巻き起こしました。作品に登場する名探偵、金田一耕助はその名を知らない者はいないくらい有名ですね。

やがて、松本清張などに代表される社会派小説がミステリー小説の主流になり、本格推理小説は一旦下火になりますが、綾辻行人の「十角館の殺人」の登場を機に第3次ミステリーブーム、新本格ムーブメントが起こります。

新本格小説は、科学が発展していくに伴い、科学捜査の及ばない現場での殺人がテーマであり、人間性や社会的背景よりも謎をパズルのように解く楽しさや、発想の妙ロジカルな解決方法を重点に置いています。

なお、本格ミステリーという概念・名称は日本独自のものだそうです。
海外作品ではこの「密室」や「クローズドサークル」のような不可能犯罪を取り扱った作品はあまりなく、エンタメ性が強い日本の本格、新本格推理小説は「Honkaku小説」として昨年くらいからイギリスや、アメリカで静かなブームが起きているのだとか。

以降、日本のミステリーは様々な要素を取り入れ、次から次へと新しいものを生み出して多くのファンを獲得してきました。

今回は(新)本格ミステリーを中心に、オカルトミステリー理系ミステリーの各ジャンルでの名作。また、読者の予想を大きく裏切る「どんでん返し」や「叙述トリック」など、ミステリー小説の醍醐味を味わえる10作品を紹介いたします。
あなたを非日常へと誘うミステリーの世界を思う存分堪能してください。

十角館の殺人(館シリーズ) 綾辻 行人

~「犯人ーと呼んでもいいね?そいつが僕らの中にいることに間違いはない。」多くの読者に衝撃を与え続けた名作~

story:十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の七人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける!(「BOOK」データベースより)

名作ミステリー小説と言えば必ず挙がる小説。
「新本格派ミステリー」とも呼ばれ、第3次ミステリーブームが起きるきっかけを作った作品です。
複雑な人間関係や、社会的背景などを抜きにして、純粋に謎解きを楽しめる。人気の「館シリーズ」1作目。

この作品では名探偵ではなく、ミステリ研の学生が、島で次々に起こる殺人の犯人を推理します。彼らが事件を体験し、考察をし、そして次は自分が殺されるのではないかと恐怖に怯える。どこにでもいる普通の学生に自己を投影し、あたかも読者自身がこの孤島ミステリの登場人物になった気持ちで、このスリリングな世界の住人になれます。

たった1行で物語の世界がひっくり返る衝撃と快感を味える。
ミステリー初心者から愛好家まで、誰が読んでも楽しめるおすすめの一冊です。

46番目の密室 有栖川 有栖

~「人を殺したい。と私自身が思ったことがあるからです」火村&有栖川のコンビがはじめて世に出た、話題の傑作シリーズ第1作!~

story:日本のディクスン・カーと称され、45に及ぶ密室トリックを発表してきた推理小説の大家、真壁聖一。クリスマス、北軽井沢にある彼の別荘に招待された客たちは、作家の無残な姿を目の当たりにする。彼は自らの46番目のトリックで殺されたのかー。(「BOOK」データベースより)

多数のミステリーの賞を受賞した有栖川有栖の探偵小説。犯罪学者・火村英生と、推理作家・有栖川有栖(アリス)の2人が数々の難事件を解決する、作家アリスシリーズの第1作目。
2016年、2019年にTVドラマ化されています。

探偵役・火村と助手役・有栖の2人の友達のような、それ以上?のようなバディ関係が面白い。
設定がシャーロック・ホームズと似通っている部分も多く、ホームズの現代日本版のような世界観
雪山山荘の密室殺人ですが、犯人が潜んでいる怖さというよりも、密室のトリックを暴こうとする2人のコミカルなやり取りにほっこりします。

テンポが良く、読みやすい文章ながら本格推理小説ならではの密室のトリックで唸らせる
バディものの本格推理小説を読みたい方に。

仮面山荘殺人事件 東野 圭吾

~「そんな台詞を信じられると思うのかい。それに金なんて欲しくない。俺たちがやらなきゃならないのは、この別荘に居続けるってことなんだ。」あっと驚く予想外の展開~

story:八人の男女が集まる山荘に、逃亡中の銀行強盗が侵入した。外部との連絡を断たれた八人は脱出を試みるが、ことごとく失敗に終わる。恐怖と緊張が高まる中、ついに一人が殺される。だが状況から考えて、犯人は強盗たちではありえなかった。七人の男女は互いに疑心暗鬼にかられ、パニックに陥っていった…。(「BOOK」データベースより)

「実に面白い」一般にも広く定着した福山雅治扮する天才物理学者、湯川学が活躍する『ガリレオシリーズ』を始め、阿部寛が扮する刑事の『加賀恭一郎シリーズ』、木村拓哉扮する 刑事がホテルで起こる事件を捜査する『マスカレードシリーズ』など、数多くの作品が映画化、ドラマ化されてる東野圭吾。書けば売れると言われ、読みやすさ、展開の面白さで名実ともにNo1の作家です。

近年は、現実社会を題材にした重厚な社会派ミステリー中心のイメージですが、初期の作品ではトリックや密室など本格ミステリーのものも多くありました。
そんな初期の頃のこのベストセラー小説は本格ミステリ王道に加え、東野作品に欠かせない人間ドラマもあり、気軽に読めることから今もなお人気です。

多作で、現在100くらいある東野作品。その中でもトップクラスの人気を誇る『容疑者Xの献身』『白夜行』『秘密』『手紙』などもおすすめです。

星降り山荘の殺人 倉知 淳

~「まず本編の主人公が登場する・主人公は語り手でありいわばワトソン役・事件の犯人では有り得ない」新しいスタイルの本格ミステリー~

story:雪に閉ざされた山荘に、UFO研究家、スターウォッチャー、売れっ子女性作家、癖の強い面々が集められた。交通が遮断され電気も電話も通じなくなった隔絶したで突如発生する連続密室殺人事件!華麗な推理が繰り出され解決かと思った矢先に大どんでん返しが!?見事に騙される快感に身悶えする名作ミステリー。(「BOOK」データベースより)

雪山の山荘を舞台とした本格推理小説。「本格ミステリ・ベスト10」や「週刊文春ミステリーベスト10」などのミステリーの賞にランクインしている。

この小説の一番の特徴は、各章や節のような話の区切り事に「まず本編の主人公が登場する」という風な要約が提示されているところ。読者が推理しやすいような工夫がなされている。
登場人物が少なく複雑ではない人間関係、その上「この推理は正解である」などヒントも与えてくれ、どこまでも読者に優しい。
また、ユーモラスな表現と若者らしい等身大の主人公が笑いを誘い、楽しく推理できる。

本格推理小説ながら読みやすい文章で多くの人に読み継がれてる名作。
本格ミステリー初心者にもおすすめの一冊です

ジェリーフィッシュは凍らない 市川 憂人

~「決まってるでしょ、そんなの。殺し合いよ」21世紀の『そして誰もいなくなった』への挑戦~

story:特殊技術で開発され、航空機の歴史を変えた小型飛行船〈ジェリーフィッシュ〉。その発明者であるファイファー教授を中心とした技術開発メンバー6人は、新型ジェリーフィッシュの長距離航行性能の最終確認試験に臨んでいた。ところが航行試験中に、閉鎖状況の艇内でメンバーの一人が死体となって発見される。さらに、自動航行システムが暴走し、彼らは試験機ごと雪山に閉じ込められてしまう。脱出する術もない中、次々と犠牲者が……。21世紀の『そして誰もいなくなった』登場! 精緻に描かれた本格ミステリ(出版社より)

出版社が主催する公募の新人文学賞「鮎川哲也賞」2016年の受賞作品。市川憂人のデビュー作。

物語は1983年のアメリカを連想させますが、厳密には特殊技術で開発された小型飛行船=「ジェリーフィッシュ」で、民間人が日常的に空の旅を楽しめるSF要素のある世界、パラレルワールドになっています。
このミステリーは空の密室「ジェリーフィッシュ」内で起こった生存者0の連続殺人事件。その上、搭乗していた6人全員が他殺であった。外部からの侵入も、内部の人間でも犯行は不可能である状況証拠。この6人に何があったのか?犯人は誰なのか?

アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』や綾辻行人の『十角館の殺人』への挑戦だと言われている本格ミステリー。驚きのトリックと結末に思わずうなる傑作です。

続きはコチラ👇



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?