伊藤潤一

東京大学卒業。ゴールドマンサックスで日本株のポートフォリオ・マネージャーをやり、その後…

伊藤潤一

東京大学卒業。ゴールドマンサックスで日本株のポートフォリオ・マネージャーをやり、その後は20年程度ヘッジファンドにて日本株の運用を行った。金融の学びのプラットフォームを構築中。

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  • 株式に流動性は本当に必要か?

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Style Flipうんぬん言う前に

1. Style Flipとは? 投資における”Style Flip”とはプロの世界では”割安株(Value)投資”を期待されている人が”成長株(Growth)投資”に手を出したり、反対に、”成…

伊藤潤一
3か月前
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流動性で適当なことを言わせない為に

“1日の出来高が1億円だと十分じゃない!証券会社から出来高3億円はないと機関投資家が入ってこない“と証券会社の方に言われるんで流動性対策に困ってますと僕のところに…

伊藤潤一
1年前
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最適PERを考える

前回に続き、“市場で評価される=バリュエーションが拡大する“には業績の安定感が大切だということを数字的に説明してみる。 PERは色々な会社を加えることが可能である…

伊藤潤一
1年前
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市場で評価される会社になる為に考慮しておかなきゃいけないこと

以下は個人的な思いを徒然に書いたもので投資判断を促すものではないです。 時価総額300億円未満の創業社長は2通りの考え方を持ってる人が多いなという印象。 1つはある程…

伊藤潤一
1年前
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小型成長株の落とし穴について

市場全体に対する感応度のβについては、その算出方法により結果が異なり脆弱な数字になりやすいし、コロナのようにその算出期間に異常値が普通にカウントされてしまってる…

伊藤潤一
1年前
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市場の流動性

最近、事業会社のIRと話していると“流動性がないから株価が上がらないと“証券会社に言われると耳にする機会が多い。 気になってチェックすると時価総額350億円、過去30…

伊藤潤一
1年前
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SaaS関連銘柄のスナップショット

こんなの有料にしてもしょうがないのですが、凄く気合を入ってる方の意見が欲しいので最低金額で載せます。 そして、もっと、こういう指標やデータがあると有難い(無理な…

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伊藤潤一
3年前
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ホープの今後

以下は個人的な見解で投資判断を促すことを目的にしたものではない。

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伊藤潤一
3年前
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怖いグロスのリスク

以下は個人的な感想で投資判断を促すものではない。 ヘッジファンドでの主流の戦略がロング・ショートで、これは買いと売りを合わせる戦略だというのはこれまでにも触れて…

伊藤潤一
3年前
44

今回のアルケゴス問題

今回の問題は著名投資家ビル・ファン(元タイガー・マネジメント)のファミリー・オフィス(アルケゴス)の運用トラブルである。ビル・ファンは過去にも大きな問題を起こし…

伊藤潤一
3年前
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ヘッジファンドの報酬って高いの?

ヘッジファンドの報酬体系 高額で知られるヘッジファンドの報酬体系は千差万別だが、オーソドックスな体系を紹介する。まずはサラリーマンと同様に年ベースの固定給与があ…

伊藤潤一
3年前
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投信の世界をチラ見

ヘッジファンドで生きていると、自分たちは年金やら投信の運用者とは違ってパフォーマンスが全てだと差別化理由を言う人が多いのも事実だ。確かに、自分の腕が良いと思って…

伊藤潤一
3年前
21

アクティビスト投資

以下は個人的な感想で投資判断の推奨を行うものではない。 常盤開発(1782)は、“スパリゾートハワイアンズ“などを経営する常盤興産の前身の石炭会社から土木やボーリン…

伊藤潤一
3年前
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海運株をどう判断しようか。

以下は個人的な感想文に過ぎず、何らの投資判断を促すものではない。 日本郵船、商船三井などの海運株の戻りが止まらない。11月以降のValue優勢の相場に乗って低PBR株の逆…

伊藤潤一
3年前
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ちょっとマニアックなLS戦略のイロハ

以下は個人的な見解で何の推奨をも促すものではない。

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伊藤潤一
3年前
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テックの1側面のみに焦点を当てて俯瞰

個人的な意見で投資を推奨するものではない。 Twitterで書ききれない部分を補うものなので、中身薄いので。ポイントは大きな流れを読む際に、注目すべきものはそんなに多…

伊藤潤一
3年前
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Style Flipうんぬん言う前に

1. Style Flipとは?

投資における”Style Flip”とはプロの世界では”割安株(Value)投資”を期待されている人が”成長株(Growth)投資”に手を出したり、反対に、”成長株(Growth)投資”を期待されている人が、”割安株(Value)投資”に手をだして、本来の自分のスタイルとは異なることをやってしまうことを指す。

相場は循環的な要素が強いことから、例えば現在のよう

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流動性で適当なことを言わせない為に

“1日の出来高が1億円だと十分じゃない!証券会社から出来高3億円はないと機関投資家が入ってこない“と証券会社の方に言われるんで流動性対策に困ってますと僕のところにくる経営者やIRの方が多いので、これについて、誰でもできる分析法を伝えたい。

以前、投資家によって基準は異なるが時価総額は、その会社が投資対象になるかどうかと言う観点では重要だと話した。それと並んで、この“流動性“も重要なのは事実だ。

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最適PERを考える

前回に続き、“市場で評価される=バリュエーションが拡大する“には業績の安定感が大切だということを数字的に説明してみる。

PERは色々な会社を加えることが可能であるが、DCFの変形版としてCFの代わりに利益で代替して数字をいじくってみる。

マーケットリスクを8%とする。

変数を分子については今後10年間の利益成長率(CAGR)、分母については割引率を構成するβとする。この2変数を基にしたマトリ

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市場で評価される会社になる為に考慮しておかなきゃいけないこと

以下は個人的な思いを徒然に書いたもので投資判断を促すものではないです。

時価総額300億円未満の創業社長は2通りの考え方を持ってる人が多いなという印象。
1つはある程度の財を成したし、“うぇーい“と楽しんで実質経営は任せてしまっているワンマンCEO。
もう一方は、飽くなき追求心で、経営を改善させ、資本市場で評価されるように努力を続けるCEO。

今回は後者のようなCEO向けに、“市場で評価される

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小型成長株の落とし穴について

市場全体に対する感応度のβについては、その算出方法により結果が異なり脆弱な数字になりやすいし、コロナのようにその算出期間に異常値が普通にカウントされてしまってる場合のノイズ処理、更には同期においてもより直近の動きを色濃く反映さえるかどうかの調整など、なかなか実体が掴みにくい。

通常はBloombgergのデータなどを使うか、ファンド内のリスクチームが独自に算出したものを使ったりして管理している。

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市場の流動性

最近、事業会社のIRと話していると“流動性がないから株価が上がらないと“証券会社に言われると耳にする機会が多い。

気になってチェックすると時価総額350億円、過去30日の1日当たりの平均売買高150百万円。

別に、何ら問題ないような気がするので、”証券会社の担当者はいくらくらいだと良いと言ってるんですか?”と聞くと、少なくとも300-500百万円程度と。理由を尋ねると、特になく肌感だと。

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SaaS関連銘柄のスナップショット

こんなの有料にしてもしょうがないのですが、凄く気合を入ってる方の意見が欲しいので最低金額で載せます。
そして、もっと、こういう指標やデータがあると有難い(無理なくメンテできる範囲で、かつ少なくともヘアリングベースで会社が開示してくれる)と思うものを以下に意見をください。ニーズが強く、銘柄をみる上で納得性があるものを取り入れて行こうと思ってます。

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ホープの今後

以下は個人的な見解で投資判断を促すことを目的にしたものではない。

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怖いグロスのリスク

以下は個人的な感想で投資判断を促すものではない。

ヘッジファンドでの主流の戦略がロング・ショートで、これは買いと売りを合わせる戦略だというのはこれまでにも触れてきた。そして、同時に、ハイ・ウォーターマーク(自分自身のピークのパフォーマンス)から5%下がったら強制的に使えるキャピタルが半分にされ、10%になったら解雇されるシステムがあるというのも触れてきた。結果、運用者は買いサイドも売りサイドもか

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今回のアルケゴス問題

今回の問題は著名投資家ビル・ファン(元タイガー・マネジメント)のファミリー・オフィス(アルケゴス)の運用トラブルである。ビル・ファンは過去にも大きな問題を起こしたことがある。

アルケゴスはモルガン・スタンレー、クレディスイス、野村ホールディングス、ゴールドマン・サックスなどから資金を借りて、コロナで伸びたビデオ配信ビジネスに関連した中国のハイテク企業(テンセント、GSXテクエデュ、バイドゥ)A

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ヘッジファンドの報酬って高いの?

ヘッジファンドの報酬体系
高額で知られるヘッジファンドの報酬体系は千差万別だが、オーソドックスな体系を紹介する。まずはサラリーマンと同様に年ベースの固定給与があるものの、インセンティブボーナスが固定給与を上回ればインセンティブボーナスのみが収入となる。このインセンティブボーナスの決定方法は極めてシンプルである。基本的には、自分が獲得したリターン(自分が儲けた利益総額)に対してペイアウト(リターンの

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投信の世界をチラ見

ヘッジファンドで生きていると、自分たちは年金やら投信の運用者とは違ってパフォーマンスが全てだと差別化理由を言う人が多いのも事実だ。確かに、自分の腕が良いと思っているPMの多くは、ヘッジファンドでその腕を試してみたいという衝動に駆られるであろうし、結果として、ヘッジファンドのPMの質が全体的に高いとみて問題ないだろう。一方で、投信のパフォーマンスはどんなものかとチラ見してみた。

一定の基準で選んだ

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アクティビスト投資

以下は個人的な感想で投資判断の推奨を行うものではない。

常盤開発(1782)は、“スパリゾートハワイアンズ“などを経営する常盤興産の前身の石炭会社から土木やボーリングなどの部門が独立する形で設立されたいわき市を拠点とする建設会社。

2020年11月13日に、マネジメント・バイアウト(MBO)の一環として、佐川藤介会長らが設立した“エタニティ“がTOB(株式公開買付け)をすると発表した。買付価格

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海運株をどう判断しようか。

以下は個人的な感想文に過ぎず、何らの投資判断を促すものではない。

日本郵船、商船三井などの海運株の戻りが止まらない。11月以降のValue優勢の相場に乗って低PBR株の逆襲に乗ったというファクター面からのサポートとともに、大きな要因となっているのが海運市況の戻りだ。下の図は上海のコンテナ市況の動向だ。既に2020年初頭の水準から既に3倍近く上がっており、流石に上がりすぎだろうとの意見が多いのも事

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ちょっとマニアックなLS戦略のイロハ

以下は個人的な見解で何の推奨をも促すものではない。

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テックの1側面のみに焦点を当てて俯瞰

個人的な意見で投資を推奨するものではない。

Twitterで書ききれない部分を補うものなので、中身薄いので。ポイントは大きな流れを読む際に、注目すべきものはそんなに多くないんだよってこと。

過去の東京エレクトロン(8035)の動きをチャートで確認して欲しい。2013年と2014年は上昇し、2015年は下落。2016年と2017年は株価上昇し、2018年は下落。過去2年、2019年、2020年と

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