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虐待犬ナツ〜幸せな犬生へ〜

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人に虐待され生きる気力すらも失った犬。生きたいと思う少しの可能性にかける動物保護センターの佳子と犬の人生と犬生を描いた物語になります。
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虐待犬ナツ 〜幸せな犬生へ〜

人からの虐待を受け、完全に心を閉ざしてしまった柴犬にアナタの人生の最後を看取ってもらえたら人として、どんな気持ちになれるんだろうか? 第十一話 この日も奈津と母親とナツの3人で公園に出かけ、公園には子供連れの家族や犬の散歩に来ている人達が沢山いた。 シートを広げて、母親の作ってきた弁当を奈津と食べ、母親はトイレに行くためその場を離れた。 奈津「ナツ今日もいい天気だね。お外に出るって気持ちいいね」 ナツに寄り添い、頭を撫でながら話かけていた。 そこへ3人の奈津と同じ

虐待犬ナツ 〜幸せな犬生へ〜

人からの虐待を受け、完全に心を閉ざしてしまった柴犬にアナタの人生の最後を看取ってもらえたら人として、どんな気持ちになれるんだろうか? 第十話 10月初旬の秋晴れの日。 母親と奈津はナツを連れて三人で公園へと出かけた。 母親「じゃあ奈津ここで、シート広げてお弁当たべようか?」 奈津「うん!!」 母親「いっぱい作ってきたから、全部残さず食べてね!」 ナツをドッグカートから降ろし、2人はシートに座りお昼ご飯を食べ始めた。 奈津達の前の丘の上では、昼の散歩で訪れている

虐待犬ナツ 〜幸せな犬生へ〜

人からの虐待を受け、完全に心を閉ざしてしまった柴犬にアナタの人生の最後を看取ってもらえたら人として、どんな気持ちになれるんだろうか? 第九話 奈津が自宅での療養になり、帰宅に備えてナツをセンターから奈津の自宅へ戻す事になった。 奈津「ようやくナツに会えるんだね!良かった。」 母親「良かったね!ナツも家で待ってるから早く帰ってあげようね」 車に乗り母親の運転で家に向かっている車中で、お爺さんと散歩をしている柴犬を見て奈津は母親に問いかけた。 奈津「ママ、なんでナツは

虐待犬ナツ 〜幸せな犬生へ〜

人からの虐待を受け、完全に心を閉ざしてしまった犬にアナタの人生の最後を看取ってもらえたら人として、どんな気持ちになれるんだろうか? 第八話  奈津の余命宣告が医師から母親へ告げられた日、センターに戻ったナツにも変化があった。 山岸佳子「ナツ、ご飯の時間だよ。最近あんまり食べてないから、沢山食べてね!」 普段と同じようにナツに餌を与え、なかなか食べようとしないナツに佳子は話しかけていた。 山岸佳子「ナツは寂しいよね。せっかくナツの事を一生懸命に思ってくれる人が出来たの

虐待犬ナツ 〜幸せな犬生へ〜

僕の夢 自分は小さい時から親にお願いをしていろんな生き物と生活をしてきた。 熱帯魚、ピラニア、大型の魚、ヤモリ、カエル、カブトムシ、昆虫類、ハムスター、インコ、犬 自分が小さい時から両親にこういった環境を作ってもらえたから今でも生き物という存在が好きで、生き物を大切にしたい。そういう思いになったんだと思います。 生き物と人との共存て当たり前のように感じるけど、生き物を飼う、生き物に接するという事は人が人に接するのと同じく、言葉は通じないけど、どんなに小さい生き物でもお

虐待犬ナツ 〜幸せな犬生へ〜

人からの虐待を受け、完全に心を閉ざしてしまった犬にアナタの人生の最後を看取ってもらえたら人として、どんな気持ちになれるんだろうか? 第七話 奈津の緊急オペは5時間に及んだ。 医者「オペは終わりました。心臓の動きが非常に弱まっているため、今後も入院してもらい経過観察をしていかなければなりません。完治出来る可能性は今のところ、非常に少ないかと思われます」 母親「先生、この子をなんとか助けてください。お願いします。」 医者「我々も全力で奈津ちゃんの回復をサポートしていきた

虐待犬ナツ 〜幸せな犬生へ〜

人からの虐待を受け、完全に心を閉ざしてしまった犬にアナタの人生の最後を看取ってもらえたら人として、どんな気持ちになれるんだろうか? 第六話 カタツムリ保護センターを離れ、父親、母親、奈津の三人とナツの一般家庭での生活が始まった。 奈津「ナツ、いらっしゃい!今日からずっと一緒にいられるね。ご飯も私があげるからお腹減ったら教えてね!」 奈津は毎日朝は早起きをしナツに餌を与え、学校へ行き帰宅したらすぐにナツの横に寝っ転がるようにして話しかけ、ナツはリビングで寝ていたがナツに

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人からの虐待を受け、完全に心を閉ざしてしまった犬にアナタの人生の最後を看取ってもらえたら人として、どんな気持ちになれるんだろうか? 第五話 奈津「ママ、ナツうちで飼ってもいい?私ずっとナツの面倒見るから」 母親「だーめ。生き物を飼うって奈津がおもってるほど簡単な事じゃないんだよ」 十月の秋晴れの日の里親探しのイベントだった。 奈津「ご飯も寝る時も奈津が全部やるから。ママお願い」 母親「...だめ。」 佳子はこのやり取りを微笑みながら見ていた。 山岸佳子「奈津ち

虐待犬ナツ 〜幸せな犬生へ〜

人からの虐待を受け、完全に心を閉ざしてしまった犬にアナタの人生の最後を看取ってもらえたら人として、どんな気持ちになれるんだろうか? 今この時、この瞬間にも我々が幸せに生きてる時にも心に大きな傷を負わされてしまう人間、動物がたくさんいると思う。 この作品を通じて一件でも多くの被害をなくしていきたい。人と動物を大切に想う人のためにその想いで僕はこの作品を描いていきます。

虐待犬ナツ 〜幸せな犬生へ〜

人からの虐待を受け、完全に心を閉ざしてしまった犬にアナタの人生の最後を看取ってもらえたら人として、どんな気持ちになれるんだろうか? 第四話 職員会議の打ち合わせでナツについての話し合いがあった。 山岸佳子「心は開いてくれない日々が続いていますがご飯も食べるようになってきています。立ち上がる事は一度もないです。健康面では足などに異常はなさそうですが、なぜ立ち上がる事をしないんでしょうね。」 職員「どういった状況で虐待を受けていたのかは分からないけど、立ち上がる事すらも許

虐待犬ナツ 〜幸せな犬生へ〜

人からの虐待を受け、完全に心を閉ざしてしまった犬にアナタの人生の最後を看取ってもらえたら人として、どんな気持ちになれるんだろうか? 第三話 半年以上経ってもナツの状況は変わらなかった。 佳子は2年前の事を思いだした。 虐待を受け、深夜に動物病院の前に捨てられた、まだ子犬の柴犬の事だ。両耳は切断され、片方の目は失明していた。この子もナツと同じく病院で治療を受けカタツムリ保護センターで生活をしていた。この子の将来が幸せになるようにと佳子はこの子をハッピーと名付けた。 山

虐待犬ナツ 〜幸せな犬生へ〜

人からの虐待を受け、完全に心を閉ざしてしまった犬にアナタの人生の最後を看取ってもらえたら人として、どんな気持ちになれるんだろうか? 第二話 保護センターでの佳子とナツの生活が始まった。 保護センターには三十匹近い犬と他にも色々な事情を持つ動物達が暮らしていた。 他の犬達が物珍しそうにナツの周りに集まり尻尾を振りながらナツの匂いを嗅いだりしナツを歓迎してくれているような雰囲気だった。 しかし、ナツはただ震えるだけで仲間達と目すらも合わせる事が出来ていなかった。入院の間

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人からの虐待を受け、完全に心を閉ざしてしまった犬にアナタの人生の最後を看取ってもらえたら人として、どんな気持ちになれるんだろうか? 第一話 体中傷つき動けなくなっている犬がいると動物保護センターに連絡が入った。 連絡を受け現場に向かったのは、カタツムリという保護センターの職員【山岸 佳子】だった。 川沿いのサイクリングロードに着くと一匹の柴犬がいた。 体は信じらないぐらい痩せ細り、尻尾もなく毛並みは酷すぎるぐらいに荒れてしまっていた。こちらを睨んでいるようだが、動く