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虐待犬ナツ 〜幸せな犬生へ〜

人からの虐待を受け、完全に心を閉ざしてしまった犬にアナタの人生の最後を看取ってもらえたら人として、どんな気持ちになれるんだろうか?

第七話

奈津の緊急オペは5時間に及んだ。

医者「オペは終わりました。心臓の動きが非常に弱まっているため、今後も入院してもらい経過観察をしていかなければなりません。完治出来る可能性は今のところ、非常に少ないかと思われます」

母親「先生、この子をなんとか助けてください。お願いします。」

医者「我々も全力で奈津ちゃんの回復をサポートしていきたいと思います。」

回復する見込みのない奈津の入院、闘病生活が始まった。

一週間近く意識のない状態が続き、奈津が目を覚ました。

奈津「んっ?ここは...?ママなんでここで寝てるの?」

母親「起きた!?奈津は体調崩しちゃって入院したんだよ、体調良くなるまでゆっくり休もうね」

母親は奈津に寄り添い、介抱しながら優しく問いかけた。

奈津「ナツは?」

母親「ナツは大丈夫よ。ご飯もいっぱい食べて奈津の帰りを待ってくれてるから早く元気になってお家に帰ろうね」

奈津「いつ帰れるの?」

母親「...すぐに帰れるようになるよ。いっぱい食べて、いっぱい寝て良くしていこうね!」

奈津が病院に入院して3日経った日から、ナツは餌を少ししか食べず、奈津がいない事に異変を感じ食欲もなくなり、またずっと下を向き心を閉ざしていた時ようになってしまつていた。 

母親は保護センターの山岸佳子へ連絡をした。

母親「ご無沙汰しております。実は娘の奈津が体調を崩してしまい入院してしまったのですが、奈津がいた頃はご飯もしっかり食べてくれ、心も開いてくれてきていたのですが、私がご飯をあげても少ししか食べてくれない状態になってしまっているんです。このままではナツの体調なども不安になってしまいます。どうしたら良いでしょうか?」

山岸佳子「そうなんですか!!分かりました。今から私がそちらに向かってもよろしいでしょうか?」

山岸佳子はすぐに、ナツの元へと向かった。

山岸佳子「連絡して頂きありがとうございます。奈津ちゃんは大丈夫なんですか?」

母親「奈津の体調は今は意識も回復しておりますが今後どうなっていくかは分からないと言われております。」

山岸佳子「そうなんですね。あんなに元気だったのに...ナツの件なんですが、奈津ちゃんがこの状況で、ナツの面倒までみていただくのは大変だと思いますので、センターとしても異例なんですが、奈津ちゃんが良くなるまでもう一度センターの方に連れ帰ってもよろしいでしょうか?」

母親「えっ!山岸さんは大丈夫なんですか?こちらとしては一度引き取った身なのに山岸さんにもナツにも申し訳ないんですが...」

山岸佳子「お母様いいんですよ。奈津ちゃんとナツの事を考えたら、その方が絶対にいいです。奈津ちゃんがナツに会える日まで、また私が責任を持って一緒にいますから。」

母親「...分かりました。宜しくお願いします。」

母親としても苦渋の選択だった。ナツに対しても非常に悪い事をしてしまい、この状況を知ったら奈津が悲しむ、悩み抜いての決断をした。

またナツの山岸佳子との保護センターでの生活が始まった!

山岸佳子「ナツ、久しぶりだね!3日間ご飯食べてないんだって?ここでは遠慮なく食べてね」

山岸佳子はこの日、奈津の入院する病院へと向かった。

山岸佳子「奈津ちゃん久しぶり!!お母さんから奈津ちゃんが入院してるっていうから、奈津ちゃんが寂しくがらないようにナツの写真持ってきてよ!」

奈津「佳子ちゃんありがとう。ナツの写真見せて!」

2人はナツの保護センターでの写真、奈津がセンターに何度も来てくれていた時の写真を見ていた。

奈津「この時のナツの体細いね。今はご飯いっぱい食べて体も大きくなってるね!顔も可愛くなってる!」

山岸佳子「そうだね!今日もご飯いっぱい食べてたって。ナツも1日でも早く奈津ちゃんに会いたがってるだろうから、奈津ちゃんは早く元気になってナツのところに帰れるように頑張ろうね!じゃあまた来るからね」

奈津「うん!!私頑張る!」

こうして奈津の長い闘病生活とナツの奈津を待ち続ける生活が始まった。

ナツは山岸佳子の元、少しずつ元気を取り戻しているようになり、山岸佳子は仕事が終わると毎日奈津の病院へお見舞いに行った。

3ヶ月経った頃だった。

医者「お母様、今から私が言う事を心して聞いてください。奈津ちゃんの病気は今後良くなる事はありません。目には見えておりませんが、毎日少しずつ奈津ちゃんの体を病気が蝕んでいっています。非常に残念な通告になってしまいますが.....私の判断では.....奈津ちゃんの命はあと半年かと思われます」

母親は泣き崩れた。

母親「先生、なんとかなんとかあの子の命をお願いします。お願いします....」

第八話へと続く








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