虐待犬ナツ 〜幸せな犬生へ〜
人からの虐待を受け、完全に心を閉ざしてしまった犬にアナタの人生の最後を看取ってもらえたら人として、どんな気持ちになれるんだろうか?
第一話
体中傷つき動けなくなっている犬がいると動物保護センターに連絡が入った。
連絡を受け現場に向かったのは、カタツムリという保護センターの職員【山岸 佳子】だった。
川沿いのサイクリングロードに着くと一匹の柴犬がいた。
体は信じらないぐらい痩せ細り、尻尾もなく毛並みは酷すぎるぐらいに荒れてしまっていた。こちらを睨んでいるようだが、動く気力もなく遠くからでも震えているのが分かる様子だった。
山岸佳子「もう大丈夫。私たちはアナタの事助けにきたのよ」
佳子が優しく話しかけながら柴犬へと近づいていった。柴犬の目は威嚇しているようだったが、吠えたり抵抗したりも出来ないほど憔悴しきった状態で、佳子に抱きかかえられ車の中のゲージへと入れられた。
すぐに動物緊急センターへ連れて行き、獣医に診断してもらう事になった。
15分ぐらい経ち獣医が佳子の元へきた。
獣医「正直なところ、この子はこれから先生きて行くのも難しい状況にあります。おそらく人間からの虐待を受け、餌も与えられず餓死寸前で右足も骨折しております。最善の手は尽くして命はとりとめても、間違いなく後遺症は残り心も閉ざしてしまう一生を過ごしてしまうかと思われます。安楽死という選択肢を考えた方がよろしいかと」
山岸佳子「...そうですか。一度本部に確認を取りたいと思います。」
本部とのやり取り。
山岸佳子「獣医は安楽死を勧めている状況です。私の目から見ても確かにもう...厳しい状況なのかと思うぐらい酷く見えます。」
本部「そうか。その子の先が苦しくなってしまうのなら安楽死という決断もあるが、現場にいる山岸が今その子を見て、その子にとってどっちが正しいのか判断してくれ。」
無言のままガラス越しに犬を見続け、佳子は口を開いた。
山岸佳子「正直なところ全体を見てこの子の事を考えると安楽死を選ぶべきだと思います...しかし、この子はずっと私を見続けています。そしてその目は生きたい。そう自分に言ってくれてるように見えます。」
本部「現場の人間がそういうなら判断は任した。獣医に伝えてその子の命を絶対に助けてもらえるようにお願いしてくれ。」
山岸佳子「分かりました。」
その後、佳子は獣医にその旨を伝え緊急オペが始まった。
これが佳子とナツという柴犬の人生と犬生の始まりだった。
2時間ほど経ち獣医がオペを終え佳子の元へきた。
獣医「一応オペは終わりました。骨折などは今後時間が経てば治っていくとは思いますが、あれだけ痩せ細ってしまい、尻尾も切られてもの凄くストレスも感じている状況ですので体調の方が回復していけるかは今のところは何とも言う事ができません。病院の方で何ヶ月か入院させて回復するのを待つしかないかと思います。」
山岸佳子「ありがとうございます。治療に関しては獣医さんに任せるしかないので宜しくお願いします。私の方でも毎日見守りに来ますので。」
それから毎日、佳子は仕事の休憩時間や終わってから病院へ足を運び状況を確認しに通った。
しかし、餌を貰う事も嫌がり病状はなかなか回復しない日々が続いた。
2ヶ月ぐらい経った頃病院に来ていた佳子に獣医が話し始めた。
獣医「ほんの少しずつではありますが食べてくれるようにはなってきました。今まで沢山の虐待を受けてきた犬達を見てきましたが、ここまで体も心もボロボロになってしまっている子は初めてかもしれません。退院出来るぐらい回復するにはまだまだだと思います。退院出来たとしてもこの子が我々人間に心を開いてくれる可能性はほぼゼロに近いかと思います。」
山岸佳子「そうですか。私もこの仕事で犬だけじゃなく沢山の動物と触れ合い色々見てきましたが、今回のこの状況だと、この先厳しい現実が待っているかもしれませんね。けど、私が判断した事なんで私の一生をかけてこの子に幸せな犬生を過ごさせたいんです。人間がやってしまった事だから、私達がこの子を救ってあげたい。だから先生この子が回復するまで宜しくお願いします。」
獣医「そうですね、我々としても全力でこの子が回復するまでは尽くしていきます。」
心にも大きな傷を負ってしまい、体重や毛並みもほぼ保護された時と変わらない様子だった。
一年後
体重も毛並みも若干ではあるが良くなっていき、獣医としてもこれ以上の治療は続ける事は出来ずあとは自然に良くなって行くのを自然な生活の中で行っていくようにとナツを退院させた。
山岸佳子「君と出会ったのは夏の夜だったから今日から君の事を【ナツ】と呼ばせてもらうよ!これからはここがナツの家になるから宜しくね、カタツムリ保護センターのナツ君!」
第二話へ続く
「ど・ヤンキーホームレス中村君」
2018年11月7日。
東京都府中市の伝説のホームレスヤンキーは、
34歳の若さでこの世を去った──。
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実際に暴走族だった作者の体験をもとに書かれた血湧き肉躍る青春フィクション。
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最後まで見て頂いて本当にありがとうございます! 皆さんに喜んで頂ける物語を今後も頑張って作っていきたいと思います!宜しくお願いします