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『作品の世界観を早い段階でわからせる方法』

ファンタジーや異世界を扱う小説の添削をしていていつも困るのは、その世界観がなかなか掴めないことです。
書いている本人は、よく分かっているのでどんどん書き進めてしまいますが、読者は置いてけぼりになっています。

私たちが本を買うときは、ある程度の内容を知ってから買うので、その世界観にすんなりと入ることができますが、公募は違います。
ファンタジーでも異世界なのか現世なのか、どこの国が舞台なのか、時代設定はいつなのかなど、審査員は手探りで読み始めなければなりません。
ですから「あらすじ」が大事なのは言うまでもありませんが、早い段階でその世界観に馴染んでもらうには、どうすればいいのかをお話しします。


【持ち物を具体的にする】

1つは、持ち物を具体的にすることです。
小説サークルの方が、一人称の話を書いてきたことがあるのですが、最初のうちは「僕」しか出てこず、情報不足でなかなか世界観がつかめませんでした。

途中で龍が出てきたので、やっと冒険ファンタジーだとわかったのですが、今度は舞台が日本なのか外国なのかが、わからないのです。
本人に聞くと、舞台は外国だと言います。

そこでアドバイスしたのは、冒頭に出てくる「財布の中にはお金もない」という部分を「コインの一枚もない」と変更することでした。

私たちが「財布のお金」と聞いたら、まず身近な現代の感覚で感じ取ると思うので、折りたたみ財布か長財布に入ったお札をイメージしがちです。しかし、コインと聞いたら外国だということがすぐにわかります。          

そして現代ではないとなれば、コインを入れるのは財布ではなく布袋ですよね。
でも、「布袋の中にはコインの一枚もない」という文章はあまりしっくりこないので「財布・布袋」という単語は使わず、「ポケットの中には」にしました。
そうすると、「日頃からお金を持ち合わせていない未成年かな」とさらに読者の想像を補うことができます。

          「財布の中にはお金もない」
                ↓
       「ポケットの中にはコインの1枚もない」

【風景は目に浮かぶよう具体的にする】

早い段階で風景などの状況説明も入れたいところです。
例えば、「○○へ向かって歩いていた」とするより、「○○へ向かって、石畳を歩いていた」にすると、また一つ読者の頭の中に具体的な情景が増えます。

しかし、この石畳も人によっては車が通れる大きな道を想像する人もいれば、狭い道を想像する人もいます。ですから、石畳の広さを読者に伝えることも重要です。

「向こうから荷馬車がやって来た」とすれば、広い道だということがわかります。「石畳の上にはロープが張られ洗濯物が翻っていた」とあれば、ヨーロッパで見かける高い建物と建物の間に挟まれた、さほど広くない道を想像するでしょう。

こうした情景描写を丁寧にすることで、読者はその世界を具体的に想像します。 実はこれが大事なのです。ファンタジーや異世界を書くときは、その世界がまるで実在するかのように具体的に書くことをオススメします。

【文字を使い分ける】

日本語が素晴らしいと思うのは、漢字、平仮名、カタカナなど色々な文字を使って表現できることです。

例えば「龍」も「竜」にするのか「ドラゴン」にするのかで、イメージが変わります。西洋と東洋では竜の姿も違うので、その様子を具体的に描くことも忘れないでくださいね。

こうした、具体的な例を用いるのが私の講座の特徴です。
時々、講座も開いておりますので、宜しければこちらをご覧ください。


添削は、あらすじ・プロット・小説・コラム、BL小説、脚本など何でも承ります。
料金は、原稿の枚数や文字数で変わります。お見積りを差し上げますので、 junko.k.aaa@gmail.com  またはTwitter @kuroda_jun_ko のダイレクトメッセージにご連絡下さい。宜しくお願いいたします!!





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